まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「Sunday Mornin'」マーゴ・ガーヤン(1968)

 おはようございます。

 今日はマーゴ・ガーヤンの「Sunday Mornin'」です。

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Sunday mornin' 
Sun shinin' on your eyes, sleepy face
Smilin' into mine, Sunday mornin' 
Lots of time with nothin' to do
Lots of time to spend with you 
On Sunday mornin'

 

It's so quiet in the street
You can hear the sound of feet walkin' by
I'll put the coffee on to brew
We can have a cup or two
And do what other people do
On Sunday mornin'

 

Sunday mornin', Sunday mornin'
Sunday, Sunday, I love Sunday
Sunday mornin'

 

Come hold me in your arms  I love you
Everything's all right Sunday mornin'
Lots of time, lots of time, 
On Sunday mornin' 

It's so quiet in the street
We can hear the sound of feet walkin' by
I'll put coffee on to brew
We can have a cup or two
And do what other people do
On Sunday mornin'

 

Sunday mornin', Sunday mornin'
Sunday, Sunday, I love Sunday
Sunday mornin'

 

C'mon and hold me in your arms  I love you
Everything's all right  Sunday mornin'
Everything's all right  Sunday mornin'
Everything's all right  Sunday mornin'
Everything's all right

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日曜の朝 
あなたの瞳に太陽が輝く、眠そうな顔に
私に微笑みかける  日曜の朝
何もすることがなくれ時間がたくさんある
あなたと過ごす時間がたくさんある 
日曜の朝は


通りはとても静か
通り過ぎる人の足音が聞こえる
コーヒーを淹れよう
一杯か二杯飲もうよ
そして他の人たちと同じことをする
日曜の朝は


日曜の朝、日曜の朝
日曜日、日曜日、日曜は大好き
日曜の朝


ここへ来て私を抱きしめて 愛してる
日曜日の朝は すべてがOK
たくさんの時間が、たくさんの時間がある
日曜の朝は


通りはとても静か
通り過ぎる人の足音が聞こえる
コーヒーを淹れよう
一杯か二杯飲もうよ
そして他の人たちと同じことをする
日曜の朝は


日曜の朝、日曜の朝
日曜日、日曜日、日曜が大好き
日曜の朝


ここへ来て私を抱きしめて 愛してる
すべてがOK 日曜日の朝は
すべてがOK 日曜の朝は、、、

 (拙訳)

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 窓ガラス越しに雨を見つめる印象的なアルバム・ジャケット。昔、通っていた中古レコード店の壁に面出しされていて目をひかれましたが、値段が高くて手を出せず、どんな内容だろうと想像するばかり。何年か経ってCD化されて初めて聴いた時に、クロディーヌ・ロンジェなどウィスパー・ボイス好きには最高の作品だとわかりました。しかも、彼女の場合は自ら曲を書いています。

 (2001年のインタビューで彼女自身もこう語っています

「60年代後半に39セントのコーナーで私のアルバムを見たけど、最近EBayで見たら192ドル50セントで売られていたのよ!今だにどういうことか理解できないわ」)

 

 マーゴ・ガーヤンは当初はジャズの世界で活動していました。

 1937年にニューヨーク近郊に生まれ、幼い頃からピアノを学び、ボストン大学ではクラシック・ピアノを学んでいましたが、ジャズに興味を持った彼女は大学とは別にジャズ・ピアノを学んでいたそうです。

 (高校時代にはアトランティック・レコードのオーディションをうけたことがあったそうですが、上手く歌えず苦い思い出になったそうです)

 しかし、大学2年のときにピアノ科から作曲科に専攻を変えると、彼女のソングライティングの才能はいきなり開花し始めます。

  1957年、彼女が20歳の時にジャズシンガーのクリス・コナーが彼女の書いた「MOON RIDE」という曲を取り上げたのです。

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 1959年にLenox School of Jazzに入学した彼女は、そこで学生だったオーネット・コールマンと出会い、ビル・エヴァンスなどから指導を受けましたそうです。その後、彼女は主にジャズ・ミュージシャンとして活動し、ジャズの曲に歌詞を書いていました。

また、

 

 しかし、彼女の音楽性を大きく変える1曲に出会います。

 それが、友人から聴かせてもらったビーチ・ボーイズの「神のみぞ知る(God Only Know)」でした。

 「私はびっくりしたわ。ただ、ゴージャスだと思った。レコードを買って数え切れないほどたくさんかけた後、座って 『Think of Rain』を書いた。 それがまさに、そういう風に書き始めたきかっけなの。ジャズの世界で起こっていることよりもそっちのほうがいいと心に決めたの」

   (Mean Street magazine, September 2001)

 その「Think of Rain」はこんな曲です。いい曲ですね、、

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  クロディーヌ・ロンジェもカバーしています。

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 当時彼女はのちにCTIレーベルを興すクリード・テイラーの秘書をやっていて、彼を通して自分のデモを音楽出版社に聴いてもらうことができて、チャンスをつかんだようです。

 そして、続いて彼女が書いた曲の一つがこの「Sunday Mornin'」でした。

 最初に取り上げたのはスパンキー&アワ・ギャングで、1967年にリリースされ全米30位になりました。

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  同じ年にリリースされたグレン・キャンベルとボビー・ジェントリーのデュオ・アルバムでもカバーされるなど人気曲になります。

 そして、彼女自身も自分のアルバムをリリースするチャンスをつかみました。

彼女はデビューシングルは「Think of Rain」を望んだようですが、プロデューサーの意向で、彼女が自分の歌をヒットさせてくれたバンドへ敬意を込めて作った、タイトルそのままの「Spanky &Our Gang」という曲になります。

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 アルバム「Take a Picture」の評判は悪くなかったようですが、彼女はプロモーションのためにツアーをすることを拒否したそうです。結婚していたことと、ツアーをするにはエージェント、マネージャー、弁護士、ブッキング担当者などが必要で、そういった人たちから支持されることが嫌だったようです。幼い頃から、ステージ・パパだった父から支配されたトラウマがあったようです。彼女はすでに31歳でしたから、自分の考えがしっかりあって、人のいいなりにはなりたくなかったのでしょう。

 しかし、レーベルの方は、当然やる気をなくしてしまうわけですから、彼女の唯一のアルバムも宣伝されないまま終わってしまいました。

 その後彼女は、作家活動をしながらも芸能活動からはフェイドアウトし、クラシック系の音楽に戻っていったようで、主に教師をやっていたと伝えられています。

 

 彼女が再評価され始めたのは、1990年代、ウィキペディアでは日本からその動きがあったとされています。イギリスでは1998年にセイント・エティエンヌがかつて彼女が、トミー・リピューパからの依頼でクロディーヌ・ロンジェのために書いた「I Don't Intend to Spend Christmas Without You」をファンクラブ向けにカバーし、アメリカでは1999年にライナス・オブ・ハリウッドがこの「Sunday Mornin'」と「Shine」をマーゴ本人をゲストに迎えカバーしました。

 

  彼女自身は2007年に、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領が一般教書演説で、イラク核兵器を開発していると強く主張した際に発した「 "The British government has learned that Saddam Hussein recently sought significant quantities of uranium from Africa"(英国政府は、サダム・フセインが最近、相当量のウランをアフリカから入手しようとしたことを知った)」という言葉に、曲をつけた「16 words」という曲を突如発表しています。

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  2018年のインタビューで彼女はクラシックのピアノは弾くが作曲はしていない、多くの時間をパソコンと読書に費やしていると語っています。

  また、政治への関心はいつもあって、最近ジョージ・オーウェルの「1984」を読み直して、今はまさにそういう時代になっていると語っていました。

 

 最後は、ライナス・オブ・ハリウッドの「Sunday Mornin'」を。

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