おはようございます。
今日はオリバーの「ジーン」です。
Jean, Jean, roses are red
All the leaves have gone green
And the clouds are so low
You can touch them, and so
Come out to the meadow, Jean
Jean, Jean, you're young and alive
Come out of your half-dreamed dream
And run, if you will, to the top of the hill
Open your arms, Bonnie Jean
Till the sheep in the valley come home my way
Till the stars fall around me and find me alone
When the sun comes a-singin' I'll still be waitin'
For Jean, Jean, roses are red
And all of the leaves have gone green
While the hills are ablaze with the moon's yellow haze
Come into my arms, Bonnie Jean
Jean, you're young and alive!!
Come out of your half-dreamed dream
And run, if you will to the top of the hill
Come into my arms, Bonnie Jean
Jean
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ジーン、ジーン、バラは赤く
葉はみんな緑に繁った
そして、雲はとても低く
手が届きそう、だから
草原に出てみようよ、ジーン
ジーン 、ジーン 君は若く、生き生きしてる
夢半分の世界から出ておいで
走るんだ、そうしたいなら、丘のてっぺんまで
両手を広げて、 ボニー・ジーン
谷の羊が家路に着くまで
星が僕のまわりに落ちてきて、一人ぼっちの僕を見つけるまで
太陽が歌いながら昇ってきても 僕はずっと待っているよ
ジーン、ジーン、君のために、バラは赤く
葉はみんな緑になった
丘は月光の黄色い靄で燃えているみたいさ
僕の腕の中においで ボニー・ジーン
ジーン、ジーン、君は若く生き生きしてる
夢半分の世界から出ておいで
走るんだ、そうしたいなら、 丘のてっぺんまで
僕の腕の中においで ボニー・ジーン
ジーン
(拙訳)
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トラディショナルな曲のような雰囲気がありますが、1969年ですから、”ウッドストック”があり、ビートルズが「アビイ・ロード」をリリースした”激動の年に生まれた大ヒット曲です。
全米最高2位、その上にはその年の年間1位の特大ヒット、アーチーズの「シュガー・シュガー」が鎮座していました。
歌っているオリバーは、本名をウィリアム・オリバー・スウォフォードといい、ノースカロライナ州に生まれています。
人気ミュージカルミュージカル『ヘアー』で使われていた曲「グッドモーニング・スターシャイン」でデビューすると、いきなり全米3位、100万枚以上の売り上げを記録しました。
この曲の次のシングルが「ジーン」だったわけですが、実はその次の3枚目のシングルが、昨日このブログでピックアップしたマーゴ・ガーヤンの「サンデイ・モーニン」のカバーで、全米35位まであがっています。
デビューで”ロケット・スタート”した多くのアーティストと同様、彼もまた失速してしまったようで、この「ジーン」が彼の最大のヒットになりました。
さて、この曲は「ミス・ブロディの青春」(1969)というイギリスの映画の主題歌でした。この映画で見事アカデミー主演女優賞を獲得したマギー・スミスは近年では”ハリー・ポッター・シリーズ”や「ダウントン・アビー」などでも大変魅力のある”おばあさん”役で有名ですね。
彼女の演じた役が”ジーン・ブロディ”なので「ジーン」という曲なんですね。
その主題歌を作ったのがロッド・マッケン(最近は本来の発音により近いマッキューンと表記することが増えています)で、映画では彼自身が歌い、彼のヴァージョンのほうはどうやらヒットチャートには入らなかったようです。
渋い歌声で、口笛の間奏も気が利いていてこちらのヴァージョンも雰囲気がありますね。
でも、ヒットしたのはオリバーの方というのも頷けます。歌声がポップですし、プロデュースしたのがフォー・シーズンズを大ヒットさせたボブ・クルーですから、聴きやすいですよね。
この曲を書いたロッド・マッケン(マッキューン)という人は、詩人、ソングライター、俳優。こんな肩書きを持つ人間は天才か詐欺師かどちらかしかいないと個人的に思いますが、彼の実績からして天才のほうだったのでしょう。
書いた曲は世界で1億枚以上、詩集は6000万部売れたそうで、アメリカで最も売れた詩人のひとりだそうで、「ジーン」の頃はまさに時代の寵児だったようです。大衆から猛烈に人気が高かったことが裏目に出たのか、批評家からは凡庸だと酷評されることのほうが多かったらしく、現在、彼の名前や作品が話題にのぼらないのはそのあたりが原因なのかもしれません。
不遇な幼年期を過ごし若くして家出したあと、職業を転々としながら、正規の教育を受けていないことを補うために日記のようなものを書くようになり、それが詩になっていったと言われています。サンフランシスコに行き、アレン・ギンズバーグやジャック・ケルアックといったビートニクスたちと行動を共にしたこともあったそうです。また、サンフランシスコの有名なクラブ”パープル・オニオン”でシンガーとしての活動もスタートさせています。
レコード・デビューは1956年、「Lazy Afternoon」というアルバムでした。
ポップ・シンガーのスタイルで、当時流行のロックンロールなどもやっていました。
非常に多岐にわたる才能の持ち主でリリースの量も膨大ですので、今回は彼の映画との関わりに焦点を当てたいと思います。
彼の重要な映画の仕事はこの頃に集中しています。
とっかかりは1968年のイギリス映画「ジョアンナ」。1960年代半ばのスウィンギング・ロンドンの雰囲気にあふれた映画で、渋谷系が人気の頃に日本でも注目されたサントラ盤でした。
「ミス・ブロディの青春」と同じ1969年の映画「ナタリーの朝(Me, Natalie )」ではヘンリー・マンシーニの曲に歌詞をつけて歌っていました。
また同年のアニメ映画「スヌーピーとチャーリー(A Boy Named Charlie Brown)」でも主題歌を作り歌っています。これもまた、「ジーン」のようなスタンダードな楽曲です。
こういう作品を聴いても、いわゆるエキセントリックな尖った才能でもアカデミックな人でもなかったことはわかります。そのため、きちんと評価されづらいのでしょう。しかし、歌、詩の朗読からクラシックまで膨大な作品を残し、アメリカ大衆だけじではなくオランダなどヨーロッパでも人気が高かったようですので、日本でも再度見直してみると面白い人物のように思えます。
最後はパーシー・フェイスの「ジーン」のインストに映画の場面を合わせた動画がありましたのでそちらを。
ロッド・マッケンの作品集。オリバーの「ジーン」や「A Boy Named Charlie Brown」も収録されています