まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。(現在は不定期で更新中)古今東西のポップ・ソングのエピソード、和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ(NIche)”なものになってしまったのかもしれませんが、みなさんの毎日の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出なども絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「アイ・キャン・シー・クリアリー・ナウ(I Can See Clearly Now)」ジョニー・ナッシュ(Johnny Nash)(1972)

 おはようございます。

 今日はジョニー・ナッシュの「アイ・キャン・シー・クリアリー・ナウ(I Can See Clearly Now)」です。

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I can see clearly now the rain is gone
I can see all obstacles in my way
Gone are the dark clouds that had me blind
It's gonna be a bright (Bright)
Bright (Bright) sun-shining day
It's gonna be a bright (Bright)
Bright (Bright) sun-shining day

Oh yes, I can make it now the pain is gone
All of the bad feelings have disappeared
Here is that rainbow I've been praying for
It's gonna be a bright (Bright)
Bright (Bright) sun-shining day

(Ooh)
Look all around, there's nothing but blue skies
Look straight ahead, there's nothing but blue skies

I can see clearly now the rain is gone
I can see all obstacles in my way
Here is that rainbow I've been praying for
It's gonna be a bright (Bright)
Bright (Bright) sun-shining day

It's gonna be a bright (Bright)
Bright (Bright) sun-shining day
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今ははっきり見えるんだ 雨はあがった
僕のゆく手を邪魔するものも全部わかる
消えたんだ、僕の視界をふさいでいた暗い雲は
やってくるよ、まぶしく太陽が輝く日が
やってくるよ、まぶしく太陽が輝く日が

そうさ、今ならやれるよ 痛みは消えた
嫌な感情はみんな消えてくれた
虹が出てきたよ 僕がずっと祈ってた虹が
やってくるよ、まぶしく太陽が輝く日が

見渡してごらん、一面の青空
まっすぐ前を見てごらん どこまでも青空

今ははっきりわかるんだ 雨はあがった
僕がゆく手の障害物も全部わかるよ
虹が出てきたよ 僕がずっと祈ってた虹が
やってくるよ、まぶしく太陽が輝く日が

やってくるよ、まぶしく太陽が輝く日が
やってくるよ、まぶしく太陽が輝く日が、、 

                (拙訳) 

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 明るくポジティヴなイメージの曲の代表作のひとつですが、アメリカで初めて1位を獲得したレゲエ・ナンバーでもあります。

 しかし、この曲を作って歌っているジョニー・ナッシュという人はジャマイカ人ではありません。しかも元々は全く違うスタイルの音楽をやっていて、長いキャリアの中で紆余曲折あって見つけたのがレゲエでした。

 彼はテキサス州ヒューストンで運転手の息子として生まれました。聖歌隊で歌い始め、13歳の頃には地元のローカル番組に出演してR&Bのヒット曲をカバーして歌っていたそうです。

   1957年17歳でデビュー、翌年「A Very Special Love」が全米23位のヒットになります。この曲はミュージカル・スターのジーン・ケリーが映画「初恋」で歌っていた曲のカバーで、ドリス・デイなどもとりあげていました。 

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 当初彼はアイドル的なポピュラー・シンガーとして売り出されたんですね。

その翌年には、やはりアイドル的な人気があったポール・アンカジョージ・ハミルトン四世と3人で歌った「The Teen Commandments」が全米29位にあがっています。

   彼は俳優もやるほどの人気者でしたが、歌手としては1959年に映画「カサブランカ」で有名な「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」をカバーしてそこそこヒットした以降は、低迷期に入ってしまいます。

 1961年には、なんとフィル・スペクターの作、プロデュースでシングルをリリースしています。フィルはまだ21歳で駆け出しの頃、彼の師匠のリーバー&ストーラーがその仕事をふったようです。

 曲は「Some of Your Lovin」。リーバー&ストーラーの手がけたドリフターズサウンドをフィルなりにトライした”習作”という雰囲気があります。全米104位という成績でした。

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 1964年に彼はマネージャーとともにレーベルを立ち上げますが2年で破産してしまい、苦境に立たされます。

 そこで活路を見出すために彼らが向かったのがジャマイカでした。1957年に映画のロケで一度訪れたことがあった土地でした。ジャマイカはレコーディング費用が安く、そこでアメリカのシンガーを売ってみようと思ったようです。

(またマネージャーが黒人人権活動家マルコムXとつながりがあったため、FBIの追求から逃れる意図もあったという話もあります)

 1965年には「Let's Move & Groove Together」という曲が久々のヒットになりましたが、彼とマネージャーはそのままジャマイカに移住することに決めました。

 そして、ジャマイカでジョニーが見出したアーティストがボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズだったのです。そして、ジョニーは彼らを主に作家として自分たちの会社で契約し、深く交流していくことになります。

 また、1968年には彼は、ジャマイカのリズムを取り入れた曲をリリースすることで、約10年ぶりにヒットを飛ばします。それが「HOLD ME TIGHT」全米5位という彼にとって過去最大のヒットになりました。

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 また、この曲のB面に彼が敬愛するサム・クックの「キューピッド」をやはりジャマイカ風のアレンジでカバーし、全米39位のヒットになっています。

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 そして、彼は1971年にジャマイカのバンド"Fabulous Five Inc. "をバックにアルバムを制作し、そのアルバムからのシングルでタイトルトラックがこの「アイ・キャン・シー・クリアリー・ナウ」だったのです。

 このアルバムでは、のちにボブ・マーリーの代表曲になる「Stir It Up」をとりあげていて、全米12位のヒットにしています。

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 ジョニー・ナッシュという人は、単にアメリカ初のレゲエ・ヒットを出しただけじゃなく、最初にボブ・マーリーを見出して、アメリカやイギリスに広めた人でもあったのです。

 彼のマネージャーのダニー・シムズはこう語っています。

「ジョニーはレゲエを愛していました。そして、ボブと仲間たちのことも。彼がボブにマイクを使った歌い方を教え、彼らがジョニーにレゲエのリズムの演奏の仕方を教えたのです」        (Chron  June 15, 2012)

 彼は1975年に「Years On My Pillow」という曲が全英1位になり、翌1976年に彼の敬愛するサム・クックの「ワンダフル・ワールド」を発売したあたりから活動のペースを一気に落としていきます。

  1980年代は1985年に一枚アルバムを出したきりで、それ以降は音楽シーンから完全にいなくなり、1994年を最後に取材なども一切断っていたようです。

 シムズは彼についてこう語っています。

「彼はとても静かで、とても繊細です。過去を振り返ることに興味がないのだと思います」 (Chron  June 15, 2012)

 僕はこの曲をずっと、とことん楽観的な歌だと思いこんでいたのですが、今回和訳してみて誤解していたことに気づきました。

 ポイントはこの一節、

 ”I can see all obstacles in my way”

 僕の行手にある障害物が全部見える、っていうところです。

 普通なら、邪魔するものは何もない、となりそうなもんですが、そうじゃないんですね。自分にとっての問題点が全部はっきり見えたから、気分がすっきりしたんです。問題があることより、どんよりとしてすべてが不明瞭なほうが実はつらい。

 本当にそうです。だいたい、生きていてまったく問題がないことなんて、一瞬たりとてないですもんね。ただ、それがまだ切迫していない時期があるだけで。しばらくして障害物が見えてきます。遠い未来の障害物のことをわざわざ生み出して、いまから不安になる心配性に人もいます。僕もそうかも。

 でも、問題点がはっきりすると、自分が何をすべきかわかる、そして、問題点を一つ一つ退治してゆく、これがすごく大事ですよね。

 (だいたい、コロナがそうです。不明瞭にすることがかえって不安を増大させ、混乱を大きくしたように思います)

 ジョニー・ナッシュは、そのあたりをよくわかっていた人なんだな、と思ってしまいました。

 最後は、ジョニー・ナッシュのオリジナルよりも現在は耳にすることが多い、ジミー・クリフのカバーを.


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