まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ワンダー・オブ・イット・オール(The Wonder of It All)」エイドリアン・ガーヴィッツ(1979)

 おはようございます。

 今日はAORの隠れた名曲、エイドリアン・ガーヴィッツの「ワンダー・オブ・イット・オール」です。

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The wonder of it all

When you meet a friend 

You never knew before

And it feels so fine There's nothing on your mind

Hey baby the wonder of it all is you

Yes it's you girl

 

There's somthing in a song

For you and everyone

To brighten up your day

Just you listen close

And you'll find it there

It'll make you smile

Forget yout troubles for a while

The wonder of it all   When you meet 

When you meet a friend 

Well I've just met a friend

 

There's somthing in  us all

Bring us together sometimes

So universal

We came together so right

Made love all through the night ,

through the night, through the night

Hey baby Hey baby

Hey there baby

The wonder of it all

When you meet、when you meet、when you meet

when you meet, when you meet a friend

When you meet、when you meet、when you meet

when you meet, when you meet a friend,,,

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ホントに不思議なことさ

友達に出会う それまで全然知らなかったのに

気分がいいことさ 何も心に浮かばないなんて

ヘイ、ベイビー、その不思議な存在は君のことさ

そう君なんだ、ガール

 

歌の中に何かがある 君やみんなにとって

君に1日を輝かせるものが

よく耳をすましてごらん

そうすればそこに見つかるはずさ

君を微笑ませ 少しの間嫌なことを忘れさせてくれるものが

本当に不思議なものさ 友達に出会う時というのは

僕はちょうど友達に出会ったんだ

 

 

僕たちみんなの中に何か特別なものがある

時には僕たちを引き合わせる

万人に共通のもの

僕たちはそうなるべきして一緒になって

 

一晩中愛し合うんだ 一晩中 一晩中

ヘイ、ベイビー 不思議なことなんだよ

友達に出会う時は、、

               (拙訳)

 

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 エイドリアン・ガーヴィッツはイギリスのシンガー・ソングライター。父親がクリフ・リチャードキンクスのツアー・マネージャーをやっていたそうで、その影響か、彼は8歳でギターを始め、15歳になる頃には様々なバンドでツアーしていました。

 

 1967年に兄のポールと、同級生のルイ・ファレルと3人で”ガン(GUN)”というバンドを結成し、彼が作ってヴォーカルをとった「悪魔天国(Race with the Devil)」がイギリスでトップ10ヒットになりました(この頃彼は、エイドリアン・カーティスと名乗っていました)。

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 ガンはその後ヒットが出ず2枚のアルバムを残し解散してしまいます。

  そのあと、彼は再び兄のポールと新たなドラマーと”スリー・マン・アーミー”というバンドを結成します。

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 スリーマン・アーミーのレコーディングに参加していた、ジミ・ヘンドリックスのバンド”バンド・オブ・ジプシーズ”の名ドラマー、バディ・マイルスに誘われ、彼のアメリカ・ツアーに参加し、そのツアーで元クリームのジンジャー・ベイカーと知り合います。

 そして、彼とポールはベイカーとともに”ベイカー・ガーヴィッツ・アーミー”を1974年に結成することになります。

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 そう、エイドリアン・ガーヴィッツは筋金入りの”ハード・ロッカー”で、ギタリストとしても大変に評価の高い人だったんですね。

 しかし、ベイカー・ガーヴィッツ・アーミーも3枚のアルバムと1枚のライヴ・アルバムを残し1976年に解散してしまいます。

 

 1975年ごろから彼とポールは、ムーディー・ブルースのドラマー、グレアム・エッジから誘われグレアム・エッジ・バンドのメンバーとしても活動していました。

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 彼らは2枚のアルバムをリリースしていますが、どちらもアーティスト名が”The Graeme Edge Band featuring Adrian Gurvitz”となっていますから、彼はバンドでも特別な立ち位置にあったのでしょう。

 そして、彼はソロとなり、E.L.Oで知られる”JET RECORDS”からアルバム「スウィート・ヴェンデッタ(甘い復讐)」をリリース、そこに収録されていたのが「ワンダー・オブ・イット・オール」でした。

 

「僕は15歳から26歳までのとても若い時代にたくさんロックをやってきた。ブルースやロックをすでに何年もやっていて、それが人生の糧になっていたんだ。当時の僕は、ロックだけをやり続けたいとは思っていなかったんだと思う。私はずっとロックをやってきたから。いろいろな音楽をやってみたかったんだ。ポップス、ロック、ソウルなんかを。ヘビー・ロックで頭を悩ませるよりも、曲を作って、その間にたくさんのいろんなスタイルを演奏することに興味があったんだ」

(HIT CHANNEL  2016 May 30)

 

 ガンやベイカー・ガーヴィッツ・アーミーを知る英国ハード・ロック・ファンはびっくりすしたはずです。

 彼はアメリカ西海岸に渡り、TOTOの面々などと、上質なAORアルバムを作ったわけですから。

 例えば、この曲のドラムはジェフ・ポーカロ、エレピはスティーヴ・ポーカロ、ストリングス・アレンジはデヴィッド・ペイチとスティーヴ・ポーカロが手がけています。

 

 しかし、アルバムはヒットせず、日本で彼の知名度が上がったのは翌1980年リリースのこの曲でした。

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    当時、ボズ・スキャッグスボビー・コールドウェルなど数多くのAORアーティストをヒットさせていたCBSソニーが日本独自ヒットを狙ったんですね。当時、僕は結構この曲をラジオで聴きましたから、うまくハマったのだと思います。

 

 そして、彼の本国イギリスでは1982年に遅れて成功を収めます。曲は「Classic」。全英8位、これが彼のキャリア最大のヒットとなりました。

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 彼は様々なバンドに所属しましたが、どこでも常にメイン・ソングライターをつとめてきた、根っからのソングライターなんですね。

 ちなみに、AOR路線の作品でも、お兄さんのポールは共同プロデューサーとして彼をサポートしていました。

 その後はリリースが途絶えますが、日本のAORレーベル(COOL SOUND)から2枚アルバムを発売するなど、日本のAORファンか根強い人気があるようです。

  彼のキャリアの後半はソングライター、プロデューサーとしてピークを迎えました。

 

 1989年に全米24位になったエディ・マネーの「The Love In Your Eyes」

 

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 1999年映画「ボディガード」のサントラに収録された「Even if My Heart Would Break」(Aaron Neville & Kenny G )。最初は1992年のケニーGのアルバム「ブレスレス」 (全米1200万枚の売り上げ!)に収録され、その後「ボディガード」(全世界で4500万枚!!)ですから、エイドリアンさんはとんでもない額の印税をもらったはずです、、

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 さて、個人的な思い出で恐縮ですが、「ワンダー・オブ・イット・オール」は、1990年代にソニーAORのコンピレーション・アルバムを選曲するチャンスがあって、僕がそこに入れた曲でした。

 当時は有名曲をずらっと並べるのが、コンピの鉄則でしたが、僕は知名度の低いアルバムの中のいい曲をどうしても入れたいと思って、有名曲の間にマニアックなアルバム曲を入れるという構成にしてみたんです。

 

 それから、何十年も経って、サブスク時代になり、それぞれのリスナーがアルバムから当時ヒットした、しない関係なく好きな曲を選んで、他の人たちがそれを聴くという流れがいたって普通のことにになりました。

 先日、やはりそんな視点で選曲された「CITY SOUL」というガイドブックにこの「ワンダー・オブ・イット・オール」が選曲されているのを見つけて、僕はうれしくなってしまったのです。

 

 

 

 

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