まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「アイ・フェル(I Fell)」ザ・フォー・キング・カズンズ(1968)

 おはようございます。

 今日はザ・フォー・キング・カズンズの「アイ・フェル」です。

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To fall in love again
Is to ride aboard a windy carousel
To fall in love again
Is to lose your mind
Is to lie awake at night
And worry the lonely hours away
wide awake at night
And think of a thousand things to say

But I fell
Yes I fell

I fell at the sight of you
I fell at the touch of you
Tried to make light of you
But needed too much for you
To walk away
So I fell
Yes I fell

Yes I fell
Yes I fell

To fall in love again
Is the last thing I had on my mind
To fall in love again
Is to play the fool
So I tried to let you go
I hoped that you'd walk away from me
Tried to tell you "No"
But your love was just too much for me

So I fell
Yes I fell

I fell at the sight of you
I fell at the touch of you
Tried to make light of you
But needed too much for you
To walk away
So I fell
Yes I fell

Yes I fell

 

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また恋に落ちること

それは風に揺れる木馬に乗るようなもの

また恋に落ちること

それは頭がおかしくなってしまうってこと

夜眠れなくなるってこと

孤独な時間を心配しながら過ごして

夜に目がさえて

話すことをたくさん考えてしまう

 

だけど恋に落ちた

そう恋に落ちたの

あなたを見た時に恋してしまった

あなたに触れた時に恋してしまった

大した人じゃないって思い込もうとしたけど

あなたのそばを離れられない

だから恋に落ちたの そう恋に落ちたの

そう恋に落ちたの そう恋に落ちたの

また恋に落ちること

それは考えもしないこと

また恋に落ちること

それはおバカさんを演じること

だからあなたを忘れようとした

私のもとから去ってくれることを願った

あなたに、ノーと言おうともした

だけどあなたの愛は私には大きすぎた

 

だから恋に落ちたの そう恋に落ちたの

あなたを見た時に恋してしまった

あなたに触れた時に恋してしまった

大した人じゃないって思い込もうとしたけど

あなたのそばを離れられない

だから恋に落ちたの そう恋に落ちたの

そう、恋に落ちたの
                       (拙訳)

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 1990年代の”渋谷系”のムーヴメントに当時僕もけっこうハマって、再発見されたレアなLPを買い漁ったものですが、このフォー・キング・カズンズもその流れで知ったアーティストです。

 当時の価値観として、アルバムの内容と同じくらい大事だったのが、ジャケットのデザインだったわけですが、僕はその中でもこのアルバムのジャケットがなんだか妙に好きでした。

 もちろん、内容もビートルズビーチ・ボーイズバカラックと王道に、ロジャー・ニコルズも加わって、とても聴きやすいものです。

 また当時は、彼女たちが上手じゃないところがまたいい、なんて思っていたんですが、久しぶりに聴くと、その上手くなさが物足りなく感じてしまうのですが。

 

 「アイ・フェル」は渋谷系の”聖書”「ロジャー・ニコルズ&スモール・サークルズ・オブ・フレンズ」のロジャー・ニコルズが彼女たちに書き下ろし(歌詞はポール・ウィリアムズ)、彼の持ち味も発揮されていたものでしたので、このアルバムの価値を高めることに貢献しています。

 

 

 それにしても、〜シスターズ、〜ブラザーズ、というグループはたくさんありますが、カズンズ(いとこたち)というのはちょっとめずらしいですよね。

 

 実は彼女たちの”先代”にキング・シスターズという姉妹グループがいて、その娘たちが結成したので、キング・カズンズになったんです。

 

 歴史をさかのぼると、1920年代にユタ州に住んでいた音楽教師ウィリアム・キング・ドリッグス・シニアが妻と子供達と一緒に”ザ・ドリッグス・ファミリー・オブ・エンタテイナーズ”という家族オーケストラを結成して各地を巡業し始めたのが発端でした。

 

 そして1931年に当時人気のあった三姉妹のジャズ・コーラス・グループ”ボズウェル・シスターズ”をモデルにして、年長の姉妹三人で”キング・シスターズ”を、ファミリーからスピンオフさせました(途中六人になったり三人に戻ったりしながら、やがて四人組になっています)。

 彼女たちはラジオから仕事を始め、レコード・デビューも果たし1941年から1945年の間には13曲がトップ30に入っています。

 

 彼女たちが成功するとともに、彼女たちの母体である家族全員”キング・ファミリー”をステージで演奏させると、これが大成功し1965年にはアメリカで「ザ・キング・ファミリー・ショー」というTV番組を持つまでになりました。

 そこで、彼女たちの娘たちで”キング・カズンズ”が結成されたわけです。

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 そして、キング・カズンズはファイヴ・キング・カズンズという五人組になり、やがて、一人が大学進学のために抜け”フォー・キング・カズンズ”になった、というわけです。

 そんな彼女たちが1968年に出したファーストアルバムが「イントロデューシング・・・ザ・フォー・キング・カズンズ」です。

 プロデューサーのレックス・デ・アゼヴェドは、ザ・キング・シスターズのアリス・キングの息子ということで、キング・ファミリーなんですね。

  彼はキング・ファミリー・ショーの音楽監督をやったほか、彼女たちと同じキャピトル・レコードで、やはり渋谷系の流れで人気のあったローリンド・アルメイダの「男と女」というアルバムのアレンジ、指揮、プロデュースも手がけていました。

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 彼女たちはその後ラスベガス・デビューも果たし、ショービジネスで活躍していったそうです。

 また、メンバーのティナ・コールは日本でも放送されていた人気ドラマ「パパ大好き(My Three Sons)」にも出演していたそうです。

 

 さて、ここからが謎なんですが、彼女たちはその後、日本だけでレコードをリリースしているんです。当時、ファースト・アルバムは日本では発売されていなかったのに、です。

 1976年に日本だけでリリースされたシングル「カナダの夕陽/イン・ザ・ムード」

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 翌1977年にはアルバムも発売されています。

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 レコードの帯には”ポピュラー・ボーカル・グループの新星”とありますから、本当に初上陸だったのでしょう。

 彼女たちのマネージメントとつながりのあった人がレコード会社にいたんでしょうね。「追憶」「やさしく歌って」「歌の贈り物」「愛ある限り」など有名曲を女性コーラスで歌う、イージーリスニング的なニーズが当時あったのかもしれません。

 

 その後、2013年には彼女たちの未発表曲集がCDで発売されています。

最後はその中に入っている「ハッピー・ハート」を。

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  ちなみに、キング・シスターズのメンバーの娘でありながら、フォー・キング・カズンズに参加せず、ハープ奏者になったライザ・レイ・バトラーという方の息子は、大人気バンド”アーケイド・ファイア”の中心メンバー、ウィン&ウィル・バトラー兄弟だそうで、アーケイド・ファイアもキング・ファミリーということになるんですね。

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