まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「君を信じたい(I Just Can't Help Believing)」B.J.トーマス(1970)

 おはようございます。

 B.J.トーマスが5月29日に亡くなったというニュースがありましたので、今日は彼の「君を信じたい」を。

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I just can't help believing
When she smiles up soft and gentle
With a trace of misty morning
And a promise of tomorrow in her eyes...

And I just can't help believing
When she's lying close beside me
And my heart beats with the rhythm of her sigh...

This time the girl is gonna stay
This time the girl is gonna stay...
For more than just a day

I just can't help believing
When she slips her hand in my hand
And it feels so small and helpless
That my fingers fold around it like a glove...

And I just can't help believing
When she's whispering her magic
And her tears are shining honey sweet with love...

This time the girl is gonna stay (This time the girl is gonna stay)
This time the girl is gonna stay...
For more than just a day

For more than just a day...
(I just can't help believing...)

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信じずにいられない

彼女がやわらかくやさしく微笑むと

霧の朝が残した跡と

明日の約束をその瞳に浮かべて

 

信じずにはいられない

彼女が僕のすぐそばに横たわると

彼女の吐息のリズムに合わせて胸が高なるんだ

今度はその娘はいてくれるだろう

今度はその娘はいてくれるだろう

せめて1日以上は、、

信じずにはいられない

彼女が僕の手の中にその手を滑り込ませると

とても小さくて力が弱いから

からめた僕の指は手袋みたいさ

 

信じずにはいられない

彼女が魔法の呪文をささやくと

その涙は愛で、蜂蜜のように甘く、輝くのさ

今度はその娘はいてくれるだろう

今度はその娘はいてくれるだろう

せめて1日以上は、、

せめて1日以上は、、

          (拙訳)

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 B・J・トーマスは本名のビリー・ジョー・トーマス (Billy Joe Thomas)の略称で、オクラホマ州ヒューゴで生まれ、テキサス州ヒューストンで育ちました。

 子供の頃から主に教会で歌い、パフォーマンスを始めます。

   ヒューストンを拠点とするバンド”ザ・トライアンフス(Triumphs)”に参加し、”B.J.トーマス&ザ・トライアンフス名義でレコード・デビューを果たします。

 

 一番最初のシングルと思われる「Hey,Judy!」(1963)

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 彼はトライアンフスと並行してソロ名義でもシングルを出していきましたが、すぐには成功しませんでした。

 彼の最初のヒットはトライアンフスと一緒にやった「I'm So Lonesome I Could Cry」(1966)でした。カントリーの最重要アーティスト、ハンク・ウィリアムスのカバーで全米8位の大ヒットになりました。

 

  次のヒットは1968年に全米5位になった「Hooked on a Feeling(心の中まで)」です。

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  この曲は1974年にスウェーデンのグループ、ブルー・スウェードが驚くようなカバー(邦題「ウガ・チャカ」)をして全米1位になったのは、古い洋楽ファンはおぼえていらっしゃいますよね。

 

 そして、1969年には彼の代名詞「雨にぬれても」が世界中で大ヒットします。ちなみに、この曲は僕の生涯NO.1ソングです。

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 当初レイ・スチーヴンスという歌手が歌うはずだったのが、曲が気に入らないと断られ、急遽彼が歌うことになったといいます。それに当時、彼は咽頭炎だったそうなんですが、かえってそのせいでちょうどいい感じで力が抜けていたのかな?なんて思います。(これはまた推測なんですが、彼が咽頭炎だったのは映画のヴァージョンの録音の時だったように思います。シングルのヴァージョンよりちょっと声が枯れているような気がするので)

 そして「雨にぬれても」の次のシングルが、同じバート・バカラック&ハル・デヴィッド作の「EVERYBODY'S OUT OF TOWN」(これも好きな曲です)、そしてその次がこの「君を信じたい」で、全米最高9位のヒットになっています。

 

 作ったのはライチャス・ブラザーズ「ふられた気持ち」など数々の名曲を作ったおしどり夫婦ソングライター、バリー・マン&シンシア・ワイル。オリジナルは、バリー・マン本人がシンガーとしてリリースしたものでした。

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 ちなみに、この曲は歌詞が先にできたものです。

 ある日、バリーがシンシアに、彼女の歌詞はジェリー・ゴフィンみたいにソウルフルじゃない、と言って挑発したことがきかっけだったそうです。

 バリーとシンシアは、キャロル・キング&ジェリー・ゴフィンと同じ会社に所属していて、この2組のペアは最大のライバル(かつ仲良しでもあったようです)だったんですね。

 怒ったシンシアは自分もソウルフルなものが書けることを証明しようとしてこの歌詞を書いたのです。

   そしてそこにバリーは、グレン・キャンベルで有名な「ジェントル・オン・マイ・マインド」をヒントにしてメロディをつけて出来上がったということらしいです。

 

(参考「BARRY MANN&CYMTHIA WEIL original Demos,Private Recordings and Rarities」ライナーノーツ)

 

 

 B.Jの大ヒットを受けて、すぐにカバーしたのがエルヴィス・プレスリーです。

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 彼がとりあげたことで、この曲は彼がオリジナルだと思っている人は少なくないようです、、。

 その後、やはりマン&ワイルの「ロックンロール・ララバイ」(1975年全米15位)をヒットさせた後、1975年には「心にひびく愛の歌((Hey Won't You Play) Another Somebody Done Somebody Wrong Song)」で彼にとって2作目の全米NO.1に輝いています。

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 B.J.トーマスの魅力は、男らしい土臭さがベースにありながらも、そこに都会的な小粋さが絶妙に溶け込んでいるところでしょう。

 バカラックとバリー・マンという持ち味が対照的な作曲家の作品を、両方とも自然に歌いこなし、かつ大ヒットさせた男性シンガーは、彼しかいません。

 

 そして、彼の最後のTOP20ヒットは1977年のビーチ・ボーイズのカバー「ドント・ウォーリー・ベイビー」(全米17位)。

 プロデュースしたのは日本のAORファンからも人気の高いCCM(Contemporary Christian Music)のアーティスト、クリス・クリスチャン。この頃、彼はクリスと組んでゴスペル系のアルバムを何枚か出していました。

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 ビーチ・ボーイズとはまた全然違いますが、彼の声はなぜか気持ちを楽にしてくれるんですよね。

 

 

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