まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲を選曲しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「愛のコリーダ(Ai No Corrida)」クインシー・ジョーンズ(1981)

 おはようございます。

 今日はクインシー・ジョーンズの「愛のコリーダ」を。


Ai No Corrida

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I hold you, I touch you
In a maze, can't find my way
I think you, I drink you
I'm being served you on a tray
You see girl,
That's what I go through every day
Is this the way it should feel?

Pinch me, I'm dreaming
But if it is, don't let me know
I'm drowning, don't save me
It's just the way I'd like to go
You see girl,
You thrill me, half kill me
That's what you do...

Ai no corrida, that's where I am
You send me there, your dream is my command
Ai no corrida, I find myself
No other thought, just you and nothing else
You and nothing else

Before my heart saw you
Each day was just another day
Night, the lonely interlude
Just came, then blew away
You know girl, everything was come what may
Until you fell in my life

This spell I'm under
Has caught me, I'm in a daze
Your lightning and thunder
Sets my poor heart ablaze
You see girl,You thrill me, half kill me
That's what you do

Ai no corrida, that's where I am
You send me there
You dream is my command
Ai no corrida, I find myself
No other thought
Just you and nothing else
You and nothing else


Ai no corrida, that's where I am
You send me there
You dream is my command
Ai no corrida, I find myself
No other thought
Just you and nothing else
You and nothing else

Ai no corrida, that's where I am
You send me there
You dream is my command
Ai no corrida, I find myself
No other thought
Just you and nothing else
You and nothing else...

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君を抱きしめ 君に触れる

迷路の中で 道を見失う

君を思い 君を飲み

トレイにのって君に出される

わかるだろ、これが僕が毎日やっていることさ

これが、そう感じるべきやり方かい?


つねってみて、僕は夢見てるんだ

だけどもしそうなら そうだと教えないで

僕は溺れているんだ 助けちゃダメさ

ただそうしたいってことさ

わかるだろ、

君は僕をドキドキさせて 半分殺す

それが君のやっていることさ

愛のコリーダ それが僕のいる場所

君がそこに送り込んだ

君の夢が僕への指令さ

愛のコリーダ 自分に気づいた

他には何も考えない ただ君だけ他にはいない

君だけ他にはいない

 

僕のハートが君を見るまでは

毎日なにもなく過ぎていた

夜、孤独な間奏が

ちょうど聞こえてきて、吹き飛んでいった

わかるだろ、どんなことでも覚悟はできているんだ

君が僕の人生に入ってくるまでは

 

僕にかけられたこの呪文が僕をとらえている

僕は目がくらんで

君の稲妻と雷が僕の哀れな心を燃え上がらせる

わかるだろ、君は僕をドキドキさせて、半分殺す

それが君のやっていることさ

 

愛のコリーダ それが僕のいる場所

君がそこに送り込んだ

君の夢が僕への指令さ

愛のコリーダ 自分に気づいた

他には何も考えない ただ君だけ他にはいない

君だけ他にはいない


                    (拙訳)

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愛のコリーダ」は大島渚監督の1976年の映画のタイトルです。”阿部定事件”を描いた衝撃的な内容で、世界中で大変な話題になりました。

 当時僕は小6で、TVでこの映画の話題を取り上げていたので、親に”阿部定”って何?ってたずねて、予想もしていなかったその内容を教えてもらうと恐怖を感じて、ちょっとトラウマになったほどです(苦笑。

 そして高校生になって、軽快なディスコ・ビートにのって”愛のコリーダ〜♩”って歌うこの曲が流行し始めた時、僕はディスコものが大好きだったので曲にはノリノリになりつつも、小6のトラウマがフラッシュバックしてくるという、軽い錯乱状態(?)なったことをよくおぼえています。

 

 クインシー・ジョーンズは映画の「愛のコリーダ」が好きだったのかなあ、などと当時は思ったものですが、これはカバー曲でした。

 クインシーが曲を気に入って、アルバムに取り上げただけだったようです。

 

 オリジナルはチャズ・ジャンケル。彼が1980年にリリースしたものでした。


Chaz Jankel - Ai No Corrida

 このチャズ・ジャンケルって何者かというと、1970年代のパンク・ニューウェイヴのブームの時に日本でも人気のあったイアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズのギタリストだった人です。

 

 イアン・デューリーとチャズが共作し全英1位になった「 Hit Me with Your Rhythm Stick」(1978)

www.youtube.com

  チャズはもともとスライ&ファミリー・ストーンの大ファンで、彼が加入したことでバンドにファンクっぽさが加わったと言われています。

 

 この「愛のコリーダ」が作られたのは、イアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズがアムステルダムでコンサートを行なった夜で、チャズがオランダ人のモデルと知り合いになったことがきっかけだったそうです。

 

「僕はホテルの部屋で美しいオランダ人のモデルと一緒にいたんだ。すっかり有頂天になって、雰囲気はエロティックだった。そうしたら突然、メロディが頭に浮かんできて、そのキーをチェックするためにギターを取りに行ったんだ」

(daily.redbullmusicacademy.com/)

 この当時彼はE,W&Fやローズ・ロイスといったディスコ/R&Bのアーティストに夢中になっていたそうで、その影響が出た曲になりました。

 ただ、この曲はイアン・デューリーには向いていないと思った彼は、知人の紹介で、ドリフターズの「アンダー・ザ・ボードウォーク」などを作詞したケニー・ヤングにこの曲を含んだカセットテープを渡したそうです。

 

 すると後日、ケニーが彼に電話してきました。

「”チャズ、君のメロディーに最高のアイディアがあるんだ〜Ai No Corrida, that’s where I am…”〜って。僕は彼が何を言っているのかさっぱりわからなかった。それで、彼が大島の映画について教えてくれたんだ、女主人の旦那に恋したけど、階級制度のためにそれが許されない芸者の話だって」

(daily.redbullmusicacademy.com/)

 

 大島渚の映画を見て、そのタイトルを曲に入れたのはケニー・ヤングだったんですね。

 

 そして、チャズと同じブロックヘッズのギタリスト、ジョニー・ターンブルの友人に音楽出版社をやっている人間がいて、そこで働いていた女性のボーイフレンドが、クインシーの”片腕”ロッド・テンパートンだったことから、この曲がクインシーに聴かれることになったようです。

 

 そしてこの曲は、全米28位、R&Bチャート10位、全英14位となかなかのヒットでしたが、日本ではオリコン洋楽チャート12週1位で、その年の洋楽のNO.1ヒットになっています。

 やはり”愛のコリーダ”というタイトルが効いたんでしょうね。

 

 ”コリーダ(Corrida)”はスペイン語で”闘牛”という意味なんですが、”ai no"というのも、スペイン語で"No More"のように解釈できるそうです。スペイン語圏の人が完全にスペイン語のタイトルだという風にとらえていてびっくりしたとチャズは語っています。

 

 そういうこともあったのでしょうか、2006年にクインシーはこの曲のスペイン語ヴァージョンをラテン・アレンジで発表しています。

www.youtube.com

 

 

 

 

 

 

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