まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。(現在は不定期で更新中)古今東西のポップ・ソングのエピソード、和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ(NIche)”なものになってしまったのかもしれませんが、みなさんの毎日の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出なども絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「マジック・タウン(Magic Town)」ヴォーグス(The Vogues)(1966)

 おはようございます。

 今日はヴォーグスの「マジック・タウン」です。

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They told me the streets were all paved with gold
But these dirty sidewalks are gray and concrete cold
They said neon lights were a beautiful sight
But how 'bout the one blinkin' in my room all night

And where's the magic in this magic town
Where's the good life they said could be found
Where's the magic to make all my big dreams come true

I gotta find it girl before I send for you

They said in this town you get rich in no time
But here I am and I'm down to my last dime
I just don't know why I bother to try
When nobody here gives a hang if I live or die

And where's the magic in this magic town
Where's the good life they said could be found
Where's the magic to make all my big dreams come true

I gotta find it, girl before I send for you

And where's the magic in this magic town
Where's the good life they said could be found
Where's the magic to make all my big dreams come true

I'm gonna find it, girl, if it can be found

Before I bring you to

This magic town

This magic town (repeat to fade)

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通りは全部 黄金で舗装されていると彼らは言った

だけど この汚れた歩道は灰色のコンクリートで冷え冷えとしている

ネオンの夜景が素晴らしいと彼らは言った

だけど それが一晩中、僕の部屋を点滅させてるっていうのはどうなんだ

 

この魔法の街にその魔法はどこにある?

彼らが見つかると言っていた素晴らしい人生はどこなんだ

僕の大きな夢を叶えてくれる魔法はどこにあるんだろう

 

君を迎えにゆく前に それを見つけなきゃ

この街ではあっという間に金持ちになれるという

だけど、ここで僕は一文無しになってしまったよ

わざわざがんばる理由さえわからないんだ

僕が生きるか死ぬかのときに誰も関心をもってくれないなら

この魔法の街にその魔法はどこにある?

彼らが見つかると言っていた素晴らしい人生はどこなんだ

僕の大きな夢を叶えてくれる魔法はどこにあるんだろう


君を迎えにゆく前に それを見つけなきゃ

この魔法の街にその魔法はどこにある?

彼らが見つかると言っていた素晴らしい人生はどこなんだ

僕の大きな夢を叶えてくれる魔法はどこにあるんだろう

 

君を迎えにゆく前に それを見つけなきゃ


君を連れてくる前に この魔法の街に

 

この魔法の街に             (拙訳)

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 マジック・タウン(魔法の街)とは<夢が叶うと信じられていた都会>のことなんですね。

 ”アメリカン・ドリーム”を今も高く掲げ続けているアメリカですが、それを夢見て叶えた人の何百万倍、いやきっともっともっと多くの挫折のストーリーがそこにはあったのでしょう。

 

 この曲のオリジナルはカントリー・シンガーのジョディ・ミラー(1965年)。彼女は1970年代に「ビー・マイ・ベイビー」や「ヒーズ・ソー・ファイン」などの60'sポップスをカントリー・アレンジで歌い人気者になっています。

 プロデュースしたのは、フィル・スペクターの作品でサックスを吹いていたスティーヴ・ダグラス、彼が”擬似ウォール・オブ・サウンド”にトライしたのでしょう。

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  "私はいま孤独、故郷からもあなたからも遠く離れて”

  ”私は屈服できない、この魔法の街に”

   スターを夢見て都会に出てきた若い女の子の”スター誕生前夜”、というイメージですね。今は挫折していても、ひょっとしたら、その後に成功するかもしれないという期待も感じます。

 彼女のオリジナルが全米チャート125位で終わってしまいましたが、翌年この曲を取り上げたのがヴォーグスでした。

 彼らのヴァージョンは、恋人に都会で成功したら迎えに行くよ、と言ったはいいが挫折しそうな若者が主人公になっています。この後、逆転して成功しそうな感じはちょっと薄いようにも感じます。

 このあたりは、男女の差なんでしょうか。荘厳なフィル・スペクターサウンドは、夢見る意志がより強いジョディのヴァージョンのほうに本来ぴったりくるものだったようにも思えます。

 

  さて、ヴォーグスはペンシルバニア州タートル・クリーク出身のヴォーカル・グループ。1958年に高校の仲間で結成され当初ヴェル・エアーズ(Val-Aires)と名乗っていました。 

 高校卒業し、メンバーは大学に進学したり、入隊したりバラならになりますが、再び集まりお金を出し合ってデモを作ることにします。

 日本では「魔法」で知られるルー・クリスティを世に出すきかっけになった、ニック・センシにプロデュースを依頼したことからデビューのきっかけをつかみました。

 正式な彼らのデビュー曲は”イギリスのバート・バカラック”トニー・ハッチが作り、ペトゥラ・クラークが歌った「ユー・アー・ザ・ワン」のカバーで、これが全米4位の大ヒットになりました。 

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 続く、「Five O'Clock World」も全米4位になります。

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 この「マジック・タウン」はその次のシングルで全米最高21位という成績でした。

 この曲を書いたのはライチャス・ブラザースの「ふられた気持ち」などを書いた、バリー・マン&シンシア・ワイル。

 彼らはバカラック&デヴィッドやキャロル・キング&ジェリー・ゴフィンと並ぶ、アメリカン・ポップス史上最高のソングライター・チームにして、おしどり夫婦です。

 「マジック・タウン」は「ふられた気持ち」に近いテイストを感じます。いかにも、バリー・マンらしい荘厳で、秘めた熱情の高まりを感じるような曲調です。

 「マジック・タウン」と同じ1966年にマン&ワイルのコンビはライチャス・ブラザースに「ソウル・アンド・インスピレーション」という全米1位の大ヒット曲を書いていますが、これもまた同じテイストを感じます。

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 また歌詞の世界では、マン&ワイルが1963年にドリフターズに書いた「オン・ブロードウェイ」の手法と共通するものを感じます。

 

 "They say the neon lights are bright    On Broadway
    They say there's always magic in the air
    But when you're walkin' down that street
    And you ain't got enough to eat
    The glitter rubs right off and you're nowhere"

 

 (ネオンライトが輝いていると彼らは言う ブロードウェイでは

 その空気にはいつも魔法があると

 だけど、君が通りを歩いている時

 食べるものに困っているなら

 その輝きは剥がれおちて 君はどこにも行けないんだ)

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 アメリカン・ドリームが輝いていた1960年代のアメリカでは、その影の部分を歌にしても、まだそれほどネガティヴなものにならなくて、そこにもまた物語を生み出す余力があったのかな、などと僕は思いました。

「マジック・タウン」のカバーは多くないのですが、昨日ブログで紹介しました「ディス・ガイ」のオリジナル「That Guy's In Love」を歌っていたダニー・ウィリアムスがカバーしていましたので、それを最後に。

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リー・マン&シンシア・ワイルといえばこの曲 !

popups.hatenablog.com

 ヴォーグスの育ての親、ニック・センシが手がけて成功させたもう一人のアーティスト、ルー・クリスティ。 

popups.hatenablog.com

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