まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます

「恋は曲者(Why Do Fools Fall in Love)」フランキー・ライモン&ザ・ティーンエイジャーズ(1956)

 おはようございます。

 今日はフランキー・ライモン&ザ・ティーンエイジャーズの「恋は曲者」です。

www.youtube.com

********************************************************************************

Oh wah, oh wah, oh wah, oh wah, oh wah, oh wah
Why do fools fall in love?
Why do birds sing so gay?
And lovers await the break of day
Why do they fall in love?

Why does the rain fall from above?
Why do fools fall in love?
Why do they fall in love?

Love is a losing game
Love can a be shame
I know of a fool
You see
For that fool is me

Tell me why, why, why
Tell me why

Why do birds sing so gay?
And lovers await the break of day?
Why do they fall in love?

Why does my heart skip a crazy beat?
Before I know it will reach defeat!

Tell me why, why, why
Why do fools fall in love?

********************************************************************************

どうしてバカなやつらは恋に落ちるんだろう?

どうして鳥たちはあんなに楽しそうに歌うんだろう?

そして恋人たちは夜明けを待っている

どうしてみんな恋に落ちるんだろう?

 

どうして雨は空から降ってくるんだろう?

どうしてバカなやつらは恋に落ちるんだろう?

どうしてみんな恋に落ちるんだろう?

 

恋は勝ち目のないゲーム
恋は恥ずかしいものさ

バカなら僕も知っている

わかるだろ

僕の中にもバカがいるから

 

教えてほしい、どうして

教えてほしい

どうして鳥たちはあんなに楽しそうに歌うんだろう?

そして恋人たちは夜明けを待っている

どうしてみんな恋に落ちるんだろう?


どうして僕のハートはいかれたビートを鳴らすんだろう

それが叶わないものだとわかる前に

教えてほしい どうして

どうしてバカなやつらは恋に落ちるんだろう?  (拙訳)

********************************************************************************

  1956年と大変古いヒット曲ですが、1970年代に青春期を過ごし洋楽や洋画に親しんだ人なら、この曲は映画「アメリカン・グラフィティ」と一緒に思い出すかもしれません(どっちにしろ古いですね、、(苦笑)。

 1973年公開ですが、青春映画の定番として1980年代半ばくらいまでは、常に名画座でかかってましたし、TVでも時おり放送されていたと記憶しています。

 

 ティーンエイジャーズは、マンハッタンのワシントンハイツ地区にある中学校で、ジミー・マーチャントとシャーマン・ガーネスが結成したグループ”アース・エンジェルズ”を元になっていると言われています。やがて、そこにリードシンガーのハーマン・サンティアゴバリトンのジョー・ネグローニを加わり”クープ・ドゥ・ヴィルズ”と名乗り、そのあと当時12歳のフランキー・ライモンがバックアップ・シンガーとして参加し、アーミンズ、ザ・プレミアズとグループ名を変えていきました。

 

 1950年代後半、特にニューヨーク近辺に住む、黒人の若者にとっては”ドゥ・ワップ”のコーラス・グループを組むことは最高にクールなことだったのかもしれません。

 その後のアメリカでヒップホップ、ラップを始めることと、ベクトルはまったく一緒なんじゃないかと僕は推測します。

 

 さて、フランキー・ライモンがまだ13歳のとき、プレミアズがアパートの廊下でリハーサルをしていると、そこの住人がガールフレンドが書いた詩集を彼らに手渡します。彼らはそれをすべて読むと、その中にあった"Why Do Birds Sing So Gay" という歌詞に曲をつけました。

 

 そして彼らは友人の紹介でGee Recordsというレーベルをやっているジョージ・ゴールドナーのオーディションを受けこの曲を歌いました。

 ジョージ・ゴールドナーは、この8年後に少し前にこのブログに登場したシャングリラスの「リーダー・オブ・ザ・パック」をリリースしたレッド・バード・レコードをリーバー&ストーラーと一緒に立ち上げた人です。

 オーディションの日にリード・ボーカルのサンティアゴが病気だったため(遅刻したとしている記事もあります)、フランキー・ライモンが代わりを務め、気に入ったゴールドナーはフランキーをメインにするということで彼らと契約し、名前をティーンエイジャーズに変更します。他のメンバーもだいたい15〜6歳でした。

 

 そして曲はゴールドナーの意向で歌詞を直し、フランキーが歌いながらメロディを作り直すことで、今の形になったそうです。

 そして、この曲は発売されると全米6位、全英4位の大ヒットになりました。

 

 彼らは最初は”ザ・ティーンエイジャーズ・フィーチャリング・フランキー・ライモン”と表記されていました。でも、レコードを見るとフランキー・ライモンの文字が全然大きいんですね。

f:id:KatsumiHori:20210409162425j:plain

 そして、その次のシングルのあたりから、フランキー・ライモン&ザ・ティーンエイジャーズと表記されるようになるのですが(シングル盤の画像を見ると&とFEATURINGの両方の表記があります)、かつて自分たちのバックだったフランキーのバックをやることになった他のメンバーの不満がどんどんふくらんでゆきます。

 

セカンドシングル「I WANT YOU TO BE MY GIRL」(全米13位)

www.youtube.com

 ゴールドナーはフランキーだけを買っていたようで、ためらわず彼にソロ活動をさせ、ティーンエイジャーズは他のボーカルを呼び別個に活動を始めます。

 

 フランキー・ライモンは、マイケル・ジャクソンの先駆けのような若いアイドルとしてどんどん仕事をしていきます。

 しかし、結局両者ともに成功せず、特にフランキーは15歳からヘロインを常習するようになっていて、1968年、まだ25歳の若さでヘロインの過剰摂取で亡くなってしまいます。

 

 また、"Why Do Birds Sing So Gay"という詩に最初に曲をつけたメンバーのマーチャントとサンティアゴは当初は曲の共作者としてクレジットされていましたが、途中からフランキーとゴルドナーの作品とされ、印税を一切受け取ることはできなかったそうです。(後年裁判をおこし一旦勝訴しますが、控訴審で敗訴したようです)

 

 このブログでいろいろな曲のエピソードをリサーチしていて、嫌な気持ちになる事実を知ることは少なくないですが、特にこの曲のように、こんなに軽快な気持ちにしてくれるポップ・スタンダードを歌った人たちが、悲劇の人生を歩んだというのは、特別やりきれない思いになってしまいます。

 

 しかし、曲の素晴らしさは間違いなく、数多いこの曲のカバーがそれを教えてくれます。

 まずは、1960年代アメリカン・ポップスの東西の横綱ビーチ・ボーイズフォー・シーズンズ

www.youtube.com

www.youtube.com

 

ジョニ・ミッチェル。1980年のライヴ盤『シャドウズ・アンド・ライト』

www.youtube.com

 僕の年代はやっぱりこのバージョンでしょうか、ダイアナ・ロス、1981年全米7位。

www.youtube.com

 

 山下達郎、伝説の自主制作盤「ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY」から。1999年の「ON THE STREET CORNER 3」では、ひとりアカペラで聴けます。

www.youtube.com

 

f:id:KatsumiHori:20210409143608j:plain