まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「リーダー・オブ・ザ・パック(Leader of the Pack)」シャングリラス(1964)

 おはようございます。

 今日はシャングリラスの「リーダー・オブ・ザ・パック」です。最初の邦題は「黒いブーツでぶっとばせ」だったそうです。

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Is she really going out with him?
Well, there she is. Let's ask her.
Betty, is that Jimmy's ring you're wearing?
Mm-hmm
Gee, it must be great riding with him
Is he picking you up after school today?
Uh-uh
By the way, where'd you meet him?

I met him at the candy store
He turned around and smiled at me
You get the picture? (yes, we see)
That's when I fell for (the leader of the pack)

My folks were always putting him down (down, down)
They said he came from the wrong side of town
(whatcha mean when ya say that he came from the wrong side of town?)
They told me he was bad
But I knew he was sad
That's why I fell for (the leader of the pack)

One day my dad said, "Find someone new"
I had to tell my Jimmy we're through
(whatcha mean when ya say that ya better go find somebody new?)
He stood there and asked me why
But all I could do was cry
I'm sorry I hurt you (the leader of the pack)

He sort of smiled and kissed me goodbye
The tears were beginning to show
As he drove away on that rainy night
I begged him to go slow
But whether he heard, I'll never know

Look out! Look out! Look out! Look out!
I felt so helpless, what could I do?
Remembering all the things we'd been through
In school they all stop and stare
I can't hide the tears, but I don't care
I'll never forget him (the leader of the pack)

The leader of the pack - now he's gone、、、


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あの娘本当に彼とつきあってるの?

ねえ、あの娘よ 確かめてみましょう

ベティ、あなたがつけてるのジミーの指輪じゃないの?

う、、うん

まあ、彼とバイクに乗るなんてすごいに違いないわ

今日も学校が終わったら 彼は迎えに来るの?

まあね

ところで、どこで彼と待ち合わせたの?

 

キャンディストアで彼に会ったの

彼は振り返って私に微笑んだの

写真見たい?(うん、見る)
その時恋に落ちたの、暴走族のリーダーに

 

みんないつも彼のことを悪く言うの

街の良くない場所で育ったって

(良くない場所ってみんなどういう意味で言ってるの?)

彼は不良だってみんなが私に言う

だけど、私にはわかる、彼は悲しい人だって

だから私は恋に落ちたの 暴走族のリーダーに

ある日パパが言った「別の誰かを見つけなさい」

ジミーに私たちはおしまいだって言わなくちゃ

(別の誰かを見つけなさいってどういうつもり?)

彼はそこに立ち尽くして、なぜって訊いたの

だけど私はただ泣き叫ぶしかできなかった

傷つけてごめんなさい 暴走族のリーダー

 

彼は少し笑って、サヨナラのキスをした

あの雨の夜彼がバイクを走らせていくと

涙が溢れ出してきたわ

ゆっくり走ってお願いしたけど

彼に聞こえたのか 私は知ることはできないの

 

危ない!  危ない! 危ない!

自分が無力に思えた どうすればよかったの?

二人で過ごした時間を全部思い出しながら
学校ではみんな立ち止まってじっと見てたわ

涙は隠せないけど、気にしないわ

彼を忘れることは決してないでしょう

暴走族のリーダー

暴走族のリーダー、行ってしまった、、、

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 Leader of the Pack って日本語では暴走族のリーダーとしか訳しようがないです、、、

 

 最近でではほとんど見なくなりましたが、昔は不良少年と普通の少女の許されない恋、というのは10代のラブストーリーの”鉄板”でしたね。僕の若い頃は、そういうドラマばかり(?)でした。そして、不良少年の憧れといえばジェームズ・ディーン”と決まっていました。

 この歌の少年が”ジミー”というのも、わざと狙っているのでしょう。

 今この曲を聴くと、かつて世界中にあふれていた不良少年と少女のラヴ・ストーリーのエッセンスを凝縮した歌のように思えます。

 

 さて、歌っているシャングリラズはニューヨーク州クイーンズのカンブリア・ハイツの高校で結成されたガール・グループで、ベティとメアリーのウェイス姉妹、メリーアンとマージのガンザー姉妹(双子)の4人で構成されていました。

    シャングリラというのはクイーンズにあったレストランの名前だったそうです。

 彼女たちはスマッシュ・レコードから「サイモン・セッズ」という曲でデビューし、その後、ジェリー・リーバー&マイク・ストーラーとジョージ・ゴールドナーが作ったレーベル”レッドバード”と契約することで成功し始めます。

 そこでキーパーソンとなるのはこの曲のプロデューサー、シャドウ・モートンです。

 

  本名はジョージ・フランシス・モートンといい、ロングアイランドのヒックスビルで育った彼は、ドゥーワップ・グループで活動したりしていましたが、エリー・グリニッチと親しくなったことをきかっけに、音楽の仕事をするために彼女のパートナー、ジェフ・バリーの家を訪ねたりしたそうです。グリニッチとバリーは、ロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」などを書いた大ヒット・チームです。

 

 そして、彼のことを信用していなかったバリーに何か曲を聴かせろと言われたモートンは、挑発されたと感じて慌ててロングアイランドのビーチに行って作ったのが「リメンバー~渚のおもいで(Remember (Walking In The Sand))」という曲だったそうです。

 それを彼が好きだったシャングリラスに歌わせ、そのデモをジェリー・リーバーに聴かせたところ気に入られ、レッドバード・レコードからリリースすることになったのです。そして、モートンもプロデューサーとして雇われることになります。”シャドウ”というニックネームは、彼がいつも居場所がわからないことから、ジョージ・ゴールドナーが名付けたと言われています。

 

 そして「リメンバー~渚のおもいで」は全米5位の大ヒットになります。 

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 S.E込みのドラマ仕立てのスタイルというのは、シャドウ・モートンが最初から戦略的に作ったスタイルだったようですね。

 そのシリーズのパート2が「リーダー・オブ・ザ・パック」だったわけです。こちらはモートンに加えグリニッチ&バリーが共作者としてクレジットされています。モートンは全部自分が書いたと言っているようですが、ヒット・ポップスとしてまとめあげるために、彼らが何らかの手直しはしたんじゃないかと僕は推測します。

 

 ちなみに、「リメンバー〜渚の思い出」のデモと「リーダー・オブ・ザ・パック」のボツになったテイクでピアノを弾いていたのがビリー・ジョエルだったそうです。

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    リード・ヴォーカルのメアリー・ウェイスはこの頃まだ15歳だったそうです。シャドウ・モートンというのはアイドル・プロデューサーとしての”当て勘”があった人なのかもしれないですね。

 また上の映像は3人になっていますが、メンバーのベティ・ウェイスは舞台恐怖症などもあって、売れていた時期にTVに出なかったため3人の写真や映像が多く、3人組だと思われることも多かったそうです。

 

 シャングリラスの一番の個性は、ポップ・ミュージック史上、初めての白人バッド・ガールズだったということです。メンバーは、実はこの歌に出てくるかわいい女の子より不良少年に近いキャラだったようで、クイーンズの治安の悪いエリアで育った”タフな”女の子たちだったそうです。そして、数多くのロック・ミュージシャンたちが若い頃彼女たちに夢中になったと発言しています。

 シャドウ・モートンのほうはその後、バニラ・ファッジやニューヨーク・ドールズなどを手がけています。

 

 最後は「リーダー・オブ・ザ・パック」の次のシングル「Give Him a Great Big Kiss(邦題:がっちりキスしよう) 」のB面「ツイスト・アンド・シャウト」を。ライヴ録音なんですね。

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