まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「心のラヴ・ソング (Silly Love Songs)」ウイングス(1976)

 おはようございます。

   今日はポール・マッカートニー率いるウイングスの「心のラヴ・ソング」です。


Wings 'Silly Love Songs' [Original 1976 Music Video]

 

 ”くだらないラヴ・ソングは世の中にもう十分あるって

  君は思ってるんだね

  だけど、僕は自分の周りを見たら、そうじゃないって思うんだ

  くだらないラヴ・ソングでこの世界をいっぱいにしたいって人もいる

  で、それのどこがいけないんだい? 知りたいんだ

  だって、僕はまたこう言ってしまうんだから

 

  I Love You、I Love You、、、

 

     説明できないけど この気持ちは僕にははっきりしてるんだ

  わかるかい?

     彼女は僕にもっとくれた すべてをくれたんだ

  わかるかい?

     それのどこがいけないんだい? 知りたいんだ

  だって、僕はまたこう言ってしまうんだから

 

      I Love You、I Love You、、、

 

  愛はすぐにはやってこない  まったく来ないこともある

  僕は分かることはただ一つ

     恋に落ちてしまったら くだらなくないんだ 馬鹿げちゃいないんだ

  愛はこれっぽちもくだらなくなんてないんだ 

 

  僕の愛する人のことを君にどうやって伝えたらいいだろう?

     僕の愛する人のことを君にどうやって伝えたらいいだろう?

 

   I Love You、I Love You、、、

  (説明できないけど この気持ちは僕にははっきりしてるんだ

  わかるかい?)

     (彼女は僕にもっとくれた すべてをくれたんだ

  わかるかい?)

 

 くだらないラヴ・ソングは世の中にもう十分あるって

  君は思ってるんだね

  だけど、僕は自分の周りを見たら、そうじゃないって思うんだ

  くだらないラヴ・ソングでこの世界をいっぱいにしたいって人もいる

  で、それのどこがいけないんだい?   "        (拙訳)

 

 

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You'd think that people would have had enough of silly love songs
I look around me and I see it isn't so
Some people want to fill the world with silly love songs
And what's wrong with that
I'd like to know
'Cause here I go again
I love you, I love you
I love you, I love you

I can't explain the feeling's plain to me, can't you see
Ah, she gave me more, she gave it all to me now can't you see
What's wrong with that
I need to know
'Cause here I go again
I love you, I love you

Love doesn't come in a minute
Sometimes it doesn't come at all
I only know that when I'm in it
It isn't silly, love isn't silly, love isn't silly at all

How can I tell you about my loved one
How can I tell you about my loved one
How can I tell you about my loved one
How can I tell you about my loved one

I love you, I love you
I love you (I can't explain the feeling's plain to me, say can't you see)
I love you (Ah, he gave me all, he gave it all to me to me, say can't you see)
I love you (I can't explain the feeling's plain to me, say can't you see)
I love you (Ah, he gave me all, he gave it all to me to me, say can't you see)
I love you (I can't explain the feeling's plain to me, say can't you see)
I love you (Ah, he gave me all, he gave it all to me to me, say can't you see)

You'd think that people would have had enough of silly love songs
I look around me and I see it isn't so, oh no
Some people want to fill the world with silly love songs
What's wrong with that

 

Writer/s: Linda McCartney, Paul James McCartney

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 どうして好んでラブ・ソングを書いているのかという質問に、彼はこう答えています。

 

「時間を超越したようなところがあるのさ。人はいつでも恋に落ちているからね。今はそんなこと、夢にも思っていないような人たちでも、明日になったら恋をしているかもしれないし、学校に通っていれば、5年のあいだに恋をすることもあるだろう。たとえ今は傷心の身でも、愛が見つかることがある。だから、現実的なレベルで、とても役に立っているんだ。

 でも、それ以上に重要なのは、ラブ・ソングが人を感動させることだ。いわゆる”心の琴線に触れる”ってやつ。たとえどれだけ陳腐に聞こえても、僕が<心のラヴ・ソング>で言いたかったのはそれなんだ。ああいった気持ちを認めるのは、かなり勇気のいることだったけど。だってほら、感傷的になっていると、ダサいって言われることもありじゃないか。『おいおい、勘弁してくれよ』って。」

                    (「ポール・マッカートニー 告白」)

 

 そして、彼はロックンロール・ホール・オヴ・フェイムのセレモニーで、ブルース・スプリングスティーンから、「心のラヴ・ソング」について「当時はピンと来ませんでしたが、今はすごくよくわかります」と言われたことがあったそうです。

 そしてポールはそのことについて、こう感想を述べています。

「彼は恋に落ち、子どもをつくり、当時は大勢の人たちを困惑させたあの考えを、前より受け入れられるようになったんだよ」

 

  またビルボード誌のインタビューでもこんな風に語っています。

「ずっと何年もみんなこう言ってたんだ”ヤツはラヴ・ソングを歌っていて、ラヴ・ソングを書いている。時々ひどく感傷的だ”彼らの考えもわかるけど、人は永遠にラヴソングをやりつづけていくんだ。僕は好きだし、他にも好きな人はいる、僕が愛する人もたくさんいる。僕は自分の人生にラヴ・ソングがあって本当にラッキーだと思う。だから、この曲の意見は、君はそれをくだらないって思うかもしれないけど、それのどこが悪いんだい?ということ。

 この曲は、ある意味じゃ、僕のことを感傷的だって非難して来た人たちへの回答なんだ。」

 

 また、ファン・クラブ誌にはこうも語っています。

 「僕はラヴソングを書いていることで侮辱されていたんだ。僕は”退屈な古めかしい愛”なんて視点で愛のことを見ちゃいない、結婚して子供が生まれるような感じでとらえているんだ。とても強くて、何か深いものです。僕にとって、それはいつも次のラヴ・ソングを書かせてくれる、僕はそれが好きなんだ。センチメンタルなことを僕は気になんかしちゃいないし、古い映画も大好きさ、そういうことを恥ずかしいと思ったことは一度もないんだ」

                   (Club Sandwich N°47/48, Spring 1988)

 

 今でこそ、レジェンド中のレジェンドとしてたくさんの敬意を集めている彼も、この当時はその軽やかで時に感傷的でもある作風を、マスコミや評論家に叩かれていたんですね。

 

 実は僕も、この曲をポップで親しみやすい”いい曲”だとは思ったのですが、ちょっと軽んじていたところがあったように思います。そんなすごい曲じゃないよな、などと。でも、年をとるとともに、どんどん好きになってきて、この曲の”まったく劣化しない”どころか”魅力を増してゆく”ようなマジカルな力を見せつけられています。

 

 非難されたポールは、腹では”なにくそ”という思いもあったのかもしれませんが、熱くなることなく、かえってまわりから揶揄されている”軽快な作風”を究極まで突き詰めたような、見事なポップスで”お返し”している、そのあたりは、さすがですね。

 

 この曲は全米チャートで通算5週1位で、年間チャートでも第1位という、ビートルズ以降のポールの最大のヒットになっています。

 

 

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