まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ロンドン行き最終列車 (Last Train to London) 」エレクトリック・ライト・オーケストラ(1979)

 おはようございます。

 今日はE.L.Oの「ロンドン行き最終列車」です。


Electric Light Orchestra - Last Train to London (Official Video)

 

  "9時29分だった 大都会の裏通り

   陽は沈みかけ そこら中に音楽が鳴っていて

   すごくしっくり感じたんだ

 

   そんな夜だった 地球が止まってしまったように感じる夜だった

      君はそこに立ち 音楽が聴こえてきて 

   僕は立ち去るべきだったかもしれないけど

   そこにいなきゃいけないことはわかっていた

  

    ロンドン行きの最終列車が ちょうど向かっている

    ロンドン行きの最終列車が    ちょうど町を出た

  だけどこの夜が永遠に続いて欲しいんだ

  本当に君と一緒にいたいんだ

  今夜はずっと音楽を鳴らし続けよう

 

  そんな夜だった 燃える炎を感じるような夜だった

  誰もがそこにいて みんなで時を分かち合って

  全てがしっくり感じたんだ

 

  君はひとりきりでそこにいた そこには君しかいないように思えた

  君と一緒にいなくちゃ 他に僕ができるものはないんだ

  立ち去るべきだったかもしれないけど

  そこにいなきゃいけないことはわかっていた

 

  ロンドン行きの最終列車が ちょうど向かっている

    ロンドン行きの最終列車が    ちょうど町を出た

  だけどこの夜が永遠に続いて欲しいんだ

  本当に君と一緒にいたいんだ

  今夜はずっと音楽を鳴らし続けよう

 

  星空の下 時は動かないように思えたけど

  時刻はどんどん過ぎていたに違いない

  僕は気づかなかった

  でも愛が君の瞳に映っていた 

        僕は行ってしまうべきだったけど
   愛はずっと続いていった

 

  ロンドン行きの最終列車が ちょうど向かっている

     ロンドン行きの最終列車が    ちょうど町を出た

  だけどこの夜が永遠に続いて欲しいんだ

  本当に君と一緒にいたいんだ

  今夜はずっと音楽を鳴らし続けよう   "                          (拙訳)

 

 

 にぎわう裏通りで素敵な女性に出会ってしまって、終電をあきらめた男の歌です。



 ビートルズビーチ・ボーイズ(全盛期の)もフィル・スペクターもリアルタイムで体験できなかった僕が十代の頃にリアルタイムで聴いて一番”ポップ”だと感じたアーティストがE.L.Oでした。
 そして、その最たるものが「ディスカバリー」というアルバムです。

 

 最初のシングルが以前ブログで取り上げた「シャイン・ラブ」。

popups.hatenablog.com

  この「ロンドン行き最終列車」はアメリカではアルバムから3枚目、イギリスでは4枚目のシングルで「CONFUSION」と両A面シングルとして発売されています。


Electric Light Orchestra - Confusion (Official Video)

 

  それから、この「ディスカバリー」は全曲PVが作られています。今の感覚では、へ〜くらいだと思いますが、MTVが始まる(1981年です)2年も前ですから、そんなことするアーティストは当時他にはいませんでした。

 理由は全曲シングル・カットする可能性のある曲だったから、です。

 で、本当に全曲キャッチー、メロディアスなんです。

 作ったジェフ・リンが、アルバム全体があまりにポップなので、ハードな曲も入れないとまずいと思って「ドント・ブリング・ミー・ダウン」という曲を、最後に追加したくらいですから。


Electric light orchestra - Don't bring me down video

  今聴くと、全然ポップですね。

 

 では、ジェフ・リンという人は生涯”どポップ”な人かというとそうではなくて、

1970年代半ばから1980年代半ばの10年くらいの期間だけ、爆発的にポップに覚醒していたという感じがします。

 それ以降は、オーセンティックなロックを追求しているように見えます。

 

 「ディスカバリー」がリリースされた当時の他のバンド・メンバーの証言によると、ジェフはふだんはラジオやテレビで音楽を聴かず、家には三十枚くらいしかレコードを持っていなくかったといいます。とにかくビートルズ・フリークで、聴くのはビートルズと自分たちのレコードくらいじゃないかと。

 

 彼はポップス職人というイメージがあるので、日本でいう大瀧詠一山下達郎みたいな博識な超オタクかと思ったら違うんですね。

 ただ、ビートルズを追求すれば、ロック、ポップスのソングライティングに関しては確かに全く不自由はないように思います。あとは、どんなサウンドにするかを見極めることができれば。

 

 話を戻して、この「ロンドン行き最終列車」は「シャイン・ラヴ」とともにディスコを取り入れた曲として認知されています。しかし、僕はただディスコに”乗っかった”曲には思えないんですよね。ディスコのリズムをポップスに”持ってきて”、巧みに”組み込んでいるように思えます。

 だから今も”ポップ”として楽しめる。Spotifyでも、彼らのレパートリーの中でトップ5入りする人気だというのもよくわかります(1位はもちろん、ぶっちぎりで「ミスター・ブルー・スカイ」です)。

 

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