おはようございます。
今日はチャド&ジェレミーの”A Summer Song"。当時の邦題は「そよ風のキッス」でした。
Trees swayin' in the summer breeze
Showin' off their silver leaves
As we walked by
Soft kisses on a summer's day
Laughing all our cares away
Just you and I
Sweet sleepy warmth of summer nights
Gazing at the distant lights
In the starry sky
They say that all good things must end some day
Autumn leaves must fall
But don't you know that it hurts me so
To say goodbye to you
Wish you didn't have to go
No no no no
And when the rain
Beats against my window pane
I'll think of summer days again
And dream of you
They say that all good things must end some day
Autumn leaves must fall
But don't you know that it hurts me so
To say goodbye to you
Wish you didn't have to go
No no no no
And when the rain
Beats against my window pane
I'll think of summer days again
And dream of you
And dream of you
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夏のそよ風に揺れる木々が
銀色の葉を見せている
僕たちが歩いているそばで
夏の日の柔らかなキスが
僕らの心配事なんか全部笑い飛ばす
いるのはただ君と僕だけ
夏の夜の甘く眠りを誘う暖かさ
満天の星空の中
遥か遠くの光をじっと見つめる
いいことはいつかは終わると人は言う
秋の葉は落ちなければならないと
でも、君にはわからないのだろうか
君ににさよならを言うことが
僕をひどく傷つけることを
君がが行かなくてもいいことを願う
ノー、ノー、ノー
そして雨が
僕の部屋の窓をたたくと
夏の日をまた思い出してしまう
そして君のことを夢見るんだ
いいことはいつかは終わると人は言う
秋の葉は落ちなければならないと
でも、君にはわからないのだろうか
君ににさよならを言うことが
僕をひどく傷つけることを
君がが行かなくてもいいことを願う
ノー、ノー、ノー
そして雨が
僕の部屋の窓をたたくと
夏の日をまた思い出してしまう
そして君のことを夢見るんだ
そして君のことを夢見るんだ (拙訳)
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昨日このブログの登場したジャン&ディーン同様、チャド&ジェレミーも1960年代に”夏の歌”を大ヒットさせた男性デュオで、ともに学生時代の友人同士で組んだという共通点があります。しかし、アメリカ西海岸のジャン&ディーンは中高校時代のフットボール・チームの仲間でサーフィンとホット・ロッド(カーレース)を歌にする”体育会系”でしたが、ロンドンで結成されたチャド&ジェレミーは”セントラル・スクール・オブ・スピーチ・アンド・ドラマ”というあのローレンス・オリヴィエも輩出した有名な演劇学校で出会っていて、チャドはその前には美術学校に通っていたそうですから、こちらは完全に”文化系”でした。
「名声と富に飢えた元美術学生としてそこに到着すると、ボブ・ディランみたいなモップ頭の少年が、古ぼけた革のフライング・ジャケットを着て、ボロボロのスパニッシュ・ギターを引きずっていました。私はこの楽器に関するいくつかの技術的な秘密(主にバディ・ホリーからコピーしたもの)を持っていたので、すぐに彼の尊敬を勝ち取り、僕たちは音楽的な友情を築きました」
(Chad And Jeremy Liner Notes)
彼らは一緒にグループを組みましたが、学年が一つ上だったジェレミーは卒業すると役者をはじめ、一度解散してしまいます。音楽を志していたチャドは中退すると、アレンジャー見習い兼雑用係として音楽業界に入ります。
その後、ロンドンで俳優のストライキがあったためジェレミーは再びチャドと組んでコーヒー・ハウスで歌い始めたそうです。
そんな彼らに目をつけたのが、”007”などで知られる作曲家のジョン・バリーでした。バリーは自分がA&Rをしていたレーベルに彼らを紹介し、自身のプロデュースで二人をデビューさせました。そして、デビュー曲「イエスタデイズ・ゴーン」は全英37位のスマッシュ・ヒットになります。
この曲のレコーディング中に、ジョン・バリーは彼らの歌は”フットボール選手でいっぱいのロッカールームみたいに聴こえる”と言ったそうです。そして最後は半ばやけになって、”ささやけ”と言ったそうで、そこから彼らのソフトなヴォーカル・スタイルが作られていったと言われています。
実はイギリスでの彼らのヒットはこの1曲だけなんです。
一説によると、当時ビートルズをはじめとする”労働階級の若者”たちがロック・バンドを次々と結成して盛り上がってきた中で、公爵の孫であったジェレミーが学生時代にエリザベス女王の戴冠式に出席していた写真が新聞に載り、大衆から彼らは音楽の道に進むふりをしているだけの上流階級のおぼっちゃまだという烙印を押されてしまったからだと言われています。
ところが、同じ時期にアメリカで彼らの人気に火がつきます。「イエスタデイズ・ゴーン」は全米21位とイギリス以上のヒットを記録します。
そして、彼らのアメリカでの人気を決定づけたのがこの「そよ風のキッス」だったのです。
この曲を書いたのがクライヴ・メトカーフとキース・ノーブル。この二人、ピンク・フロイドを結成する以前のロジャー・ウォーターズとニック・メイソンと”シグマ6”というグループを組んでいたことがあります。
クライヴが曲をキースが歌詞を書き、演奏したものを聞いたチャドが気に入り、彼が加わって曲を書き直し完成したそうです。
「イエスタデイズ・ゴーン」が過ぎ去った夏のロマンスを思う歌だったので、そういう路線に近づけたのかもしれません。
この曲が発売されると全米7位の大ヒットになりました。
そして、その後彼らは拠点をアメリカに移し、TV番組にも頻繁に出演し人気者になっていきました。
アメリカでは彼らの音楽を”オックスフォード・サウンド”と呼んでいたそうですから、本国ではマイナスになった”イギリスの上流階級キャラ”が、アメリカでは武器になったのかもしれません。
最後は彼らの1966年のヒット「遠い渚(Distant Dhores)」(全米30位)を。僕はこっちの方が好きなんです。ちょっと和風のイントロが印象に残ります。あまりにきれいな歌詞なので、こっちも和訳してみました。
Sweet soft summer nights
Dancing shadows in the distant lights
You came for me to follow
And we kissed on distant shores
Long quiet hours of play
Sounds of tomorrow from yesterday
Love came for me to follow
And we kissed on distant shores
The careful glance of children playing
Raindrops fall as if they're saying
Quiet thoughts of you caressed by time
The breeze of summer's gone
Whispered memories as nights grow long
You came for me to follow
And we kissed on distant shores
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甘く柔らかな夏の夜
遠い光の中で踊る影
あなたは僕を追って来た
そして僕らは遥かな渚でキスをした
長く静かな戯れの時間
昨日から明日に変わってゆく音
愛は僕を追ってやって来た
そして僕らは遥かな渚でキスをした
遊ぶ子供たちへの注意深い視線
雨粒がまるでおしゃべりしているように落ちてくる
時がそっと触れてゆく 君への静かな思い
夏のそよ風が去ってゆく
夜が長くなるにつれてささやかれる記憶
あなたは私を追って来た
そして僕らは遥かな渚でキスをした
(拙訳)