まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「グッド・タイム(Good Time)」アウル・シティー&カーリー・レイ・ジェプセン(2012)

 おはようございます。

 今日はアウル・シティーカーリー・レイ・ジェプセンの「グッド・タイム」を。

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Woke up on the right side of the bed
What's up with this Prince song inside my head?
Hands up, if you're down to get down tonight
'Cause it's always a good time
Slept in all my clothes, like I didn't care
Hopped into a cab, take me anywhere
I'm in if you're down to get down tonight
'Cause it's always a good time

Good morning and goodnight
I wake up at twilight
It's gonna be alright
We don't even have to try, it's always a good time

Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
Whoa-oh-oh-oh
It's always a good time
Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
We don't even have to try, it's always a good time

Freaked out, dropped my phone in the pool again
Checked out of my room, hit the ATM
Let's hang out, if you're down to get down tonight
'Cause it's always a good time

Good morning and goodnight
I wake up at twilight
It's gonna be alright
We don't even have to try, it's always a good time 

Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
Whoa-oh-oh-oh
It's always a good time
Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
We don't even have to try, it's always a good time
Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
Whoa-oh-oh-oh
It's always a good time
Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
We don't even have to try, it's always a good time

Doesn't matter when
It's always a good time then
Doesn't matter where
It's always a good time there
Doesn't matter when
It's always a good time then

Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
Whoa-oh-oh-oh
It's always a good time
Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
We don't even have to try, it's always a good time
Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
Whoa-oh-oh-oh
It's always a good time
Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
We don't even have to try, it's always a good time

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目覚めたらベッドの右側にいた
頭の中に流れるこのプリンスの歌は何だろう?
手を上げるんだ、もし君が今夜盛り上がるつもりなら
だって、いつだって楽しいんだから
服のまま寝てしまった、僕は気にしないけどね
タクシーに飛び乗って、どこへでも連れてってくれ
僕も加わるよ 君が今夜盛り上がるつもりなら
だって、いつだって楽しいんだから

おはよう、そして、おやすみ
私は夕暮れ時に目を覚ます
きっと大丈夫
頑張る必要さえないわ、いつでも楽しいんだから

Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
Whoa-oh-oh-oh
いつだって、楽しい
Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
頑張る必要さえないわ、いつだって楽しい時間なんだから


ビビった、携帯電話をプールにまた落としちゃった
部屋をチェックアウトしてATMへ
一緒に過ごそうよ、あなたが今夜盛り上がるつもりなら
だって、いつだって楽しいんだから

おはよう、そしておやすみ
僕は夕暮れ時に目を覚ます
きっと大丈夫だよ
頑張る必要さえないわ、いつだって楽しい時間なんだから

Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
Whoa-oh-oh-oh
いつだって、楽しい時間
Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
頑張る必要さえないわ、いつだって楽しいんだから
Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
Whoa-oh-oh-oh
いつだって、楽しい時間
Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
頑張らなくてもいいんだよ、いつでもいいんだよ

いつだってかまわない
その時がいつも楽しい
どこにいてもかまわない
そこにはいつも楽しい時間はある
いつだっていいんだ
その時がいつも楽しい

Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
Whoa-oh-oh-oh
いつだって楽しい時間
Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh
頑張る必要さえないわ、いつだって楽しいんだから
Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh (Doesn't matter where)
Whoa-oh-oh-oh
いつでも楽しい時間
Whoa-oh-oh-oh, oh-oh-oh (Doesn't matter where)
頑張らなくてもいいんだよ、いつでも楽しい時間なんだ

 (拙訳)

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 娘の中学の行事のダンスの曲として担当の先生がこの曲を選曲していたようで、TVCMにも使われただけあって、日本でもかなり浸透しているようです。

 

 アウル・シティは米ミネソタ州の人口が2万人にも満たない小さな町の出身のシンガー・ソングライター、アダム・ヤングによるソロ・プロジェクトです。

   2007年ごろに、彼はミネソタ州オワトンナの実家で暮らしながら、コカ・コーラ社の倉庫でトラックに荷物を積む仕事をしていたときに不眠症に悩まされていたそうで、その対策として仕事が終わった後、家の地下室でコンピューターといくつかの楽器を使って音楽を作り始めたそうです。彼は作った楽曲を音楽サイト「マイスペース」にアップしていくことで、人気を集めていきました。

 

 フクロウ(OWL)は夜中でも目を光らせているイメージがありますので、不眠症からアウル・シティってつけたのかなと思ったのですが、全然そうじゃなかったようです。

 

「僕の妹が5年生の時にペットのフクロウを飼っていたことがあって、それが教会の日曜学校の部屋に逃げ込んでしまったことがあったんだ。そのかわいそうな鳥は、どういうわけか送風管に入り込んで、最終的にアンダーソン牧師の壮大な説教の最中に聖堂の天井を飛び回ることになった。そこにいた人々は歓声と拍手を送り、そのフクロウが疲れて後ろの信徒席に着地すると、僕の父が4列飛び越えてフットボールみたいにジャンプして見事なタックルを決めたんだ。僕の頭から消えない貴重な思い出の一つさ」

   (glide magazine)

 

  まったくプロになるつもりはなかったそうですが、2008年に自主制作でファースト・アルバム「Maybe I'm Dreaming」をリリースすると、iTunesでフィーチャーされたこともあって、複数のメジャー・レーベルが彼に興味を持ち、2009年にファーストシングル「Fireflies」をリリースすると、全米1位、イギリスやオーストラリアなどいくつもの国でも1位を獲得しました。

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「「Fireflies」はミネソタ州北部にある、完全に田舎の辺鄙な湖にキャンプに行ったときに生まれたんだ。本当に何もないところさ。この湖のすみにあるドック(船渠)で寝て、空を見上げたことを覚えている。その夜は流星群が見れたんだ。流れ星がホタル(Fireflies)になるなんて、なんてクールなアイデアなんだろうと思って、それを音楽に置き換えてみたんだ」

 (Entertainment Weekly. August 6, 2020.)

「Fireflies」が収録されたアルバムは「OCEAN EYES」というタイトルがつけられましたが、これは海のないミネソタの田舎町で生まれ育った彼が、昔から海に憧れ、海で冒険する自分の姿を夢想していた、そういう視点が反映されたタイトルでした。

 

 アウル・シティのユニークさは、音楽的にはクラヴ・ミュージックのスタイルをとっていますが、DJではなく、田舎町の地下室で”空想”から生み出されているものだということです。ダンスフロアの生々しさは一切なく、素朴なファンタジーが歌われ、そこにはポジティヴなものを見つけようとする意志が感じられます。

 

 夢想者の音楽であったポップスの流れを、今の時代では、ダークな世界に飲み込まれてほとんど壊滅してしまったように思えた素朴で音楽的なイマジネーションを、僕は彼から強く感じます。

 

 さて、2012年に彼が友人のミュージシャン、マット・ティーセンと特にテーマもないまま曲を作り始め、どんな人にでも歌える曲を作ることにして一気に書き上げたというのが、この「グッド・タイム」でした。

 

 そして、彼はこの曲を一緒に歌ってほしいと考えたのがカーリー・レイ・ジェプセンでした。彼が彼女の大ファンになる気かっけになったのが、世界的なヒットになったこの曲でした。

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  アダムのマネージャーとカーリーのアメリカのレーベルの代表が幼馴染だったという偶然が手助けして、二人の共演が実現しました。そして、カナダ出身のカーリーは、アウル・シティーバンクーバー公演に2回行ったことがあって、やはりファンだったことがわかったそうです。

 

 「僕は、あらゆるアーティストは本来それぞれの人生で楽しい時のことを歌うチャンスを一度与えられているように感じていて、僕はまだそのチップを現金化していないことに気づいたんだ。それで、僕は座ってそれをやってみようと、そして、カーリーに歌ってもらおうと、考えたんだ」

  (Songfacts)

 どんなアーティストも自分の人生を楽しむ歌を一度だけ歌うチャンスがある、面白い考えですね。

 でも、一度きりのチャンスだと考えたからこそ、思いっきりポジティヴさ作品に振り切れたのかもしれませんね。

  この曲は2012年6月に発売されると、全米8位、全英5位、カナダ、ベルギー、ニュージーランド、韓国などで1位になり、その年最高のサマー・アンセムの座をつかみとりました。

 

 2014年に彼は日本のSEKAI NO OWARIとコラボした「TOKYO」という曲をリリースしています。

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 同じ2014年にポール・マッカートニーのトルビュート・アルバム「The Art of McCartney」に参加「あの娘におせっかい」をカバーしています。

 驚くほどストレートなアプローチで、彼が本来持つ”ポップさ”が思いがけずはっきり出ているなと僕は思いました。

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グッド・タイム

グッド・タイム

  • Universal Records
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