まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ミスター・ブルー・スカイ(Mr.Blue Sky)」E.L.O(エレクトリック・ライト・オーケストラ)(1977)

 おはようございます。

 ネットの時代になって、キャリアの長いアーティストの場合、代表曲が昔と現在ではかなり変わってしまう、そんなことがどんどん起こっています。

 今日はそんな曲の一つ、E.L.O「ミスター・ブルー・スカイ」です。


Electric Light Orchestra - Mr. Blue Sky

 

The sun is shining in the sky
There ain't a cloud in sight
It's stopped raining, everybody's in the play
And don't you know it's a beautiful new day?
Hey, hey, hey


Running down the avenue
See how the sun shines brightly
In the city, on the streets where once was pity
Mr. Blue Sky is living here today
Hey, hey, hey

 

Mr. Blue Sky, please tell us why
You had to hide away for so long (So long)
Where did we go wrong?
Mr. Blue Sky, please tell us why
You had to hide away for so long (So long)
Where did we go wrong?


Hey you with the pretty face
Welcome to the human race
A celebration, Mr. Blue Sky's up there waiting
And today is the day we've waited for
Ah, ah, ah


Oh, Mr. Blue Sky, please tell us why
You had to hide away for so long (So long)
Where did we go wrong?


Hey there, Mr. Blue
We're so pleased to be with you
Look around, see what you do
Everybody smiles at you
Hey there, Mr. Blue
We're so pleased to be with you
Look around, see what you do
Everybody smiles at you


Mr. Blue, you did it right
But soon comes Mr. Night
Creeping over, now his hand is on your shoulder
Never mind, I'll remember you this
I'll remember you this way

Mr. Blue Sky, please tell us why
You had to hide away for so long (So long)
Where did we go wrong?

Hey there, Mr. Blue (Sky)
We're so pleased to be with you (Sky)
Look around, see what you do (Blue)
Everybody smiles at you

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空には太陽が輝いている
雲ひとつない見当たらない
雨がやんで、誰もが楽しんでいる
わかるだろ?美しくて新しい1日なんだ
ヘイ、ヘイ、ヘイ


大通りを駆け抜けながら
太陽は明るく輝いているのが見えるよ
街の、かつて悲しげだった通りには
今日はミスター・ブルースカイがいるんだ
ヘイ、ヘイ、ヘイ

 

ミスター・ブルースカイ、教えてほしい
どうしてこんなに長く隠れていなければならなかったの?
僕たちはどこで間違えたんだろう?
ミスター・ブルースカイ、教えてほしい
どうしてこんなに長く隠れていなければならなかったの 
僕たちはどこで間違ったのだろう?


ヘイ、可愛い顔の君
人類へようこそ
お祝いさ、ミスター・ブルー・スカイがあそこで待っている
今日は僕たちが待ちに待った日だ

 

ミスター・ブルースカイ、教えてほしい
どうしてこんなに長く隠れていなければならなかったの?
僕たちはどこで間違えたんだろう?


ヘイ、そこのミスター・ブルー
君と一緒ですごく嬉しいよ
見てごらん、君のやることがわかるよね
誰もが君に微笑んでいる
ヘイ、そこのミスター・ブルー
君と一緒ですごく嬉しいよ
見てごらん、君のやることがわかるよね
誰もが君に微笑んでいる

 

ミスター・ブルー、君は正しいことをした
でもすぐにミスター・ナイトがやって来る
忍び寄ってきて、今や君の肩に手をかけている
気にしちゃダメさ、僕は君をおぼえているよ
こんな風に君のことを覚えておくよ

 

ミスター・ブルースカイ、教えてほしい
どうしてこんなに長く隠れていなければならなかったの?
僕たちはどこで間違えたんだろう?

 

ヘイ、そこのミスター・ブルー
君と一緒ですごく嬉しいよ
見てごらん、君のやることがわかるよね
誰もが君に微笑んでいる

                   (拙訳)

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 E.L.Oの世界中で最も知られている曲は、この「ミスター・ブルー・スカイ」で間違いないと思いますが、発売当時は全米チャート最高35位という、彼らにとっては”まあまあ”のヒット曲でした。

  子の曲が収録されたアルバム「アウト・オブ・ザ・ブルー」は彼らの代表作との評判の作品ですが、アルバムからは「ターン・トゥ・ストーン」(全米13位)「スウィート・トーキン・ウーマン」(全米17位)のほうがヒットしています。

 


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  これが21世紀に入ると一変、「ミスター・ブルー・スカイ」は映画やTV番組、ロンドン・オリンピックやサッカーなど試合のオープニングなどに使われる大人気曲になります。

 映画ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol. 2』のオープニングでも、すごく印象的に使われていました。

 日本でもイチローが出た”キリン一番搾り”のCMや車のSUZUKIのCMで使われました。

 この曲が再評価されたきっかけははっきりはわかりませんが、僕個人としては2004年のジム・キャリーの映画『エターナル・サンシャイン』を見たときに久しぶりにこの曲を聴いて、あれ?こんなにいい曲だったけ?とびっくりしてサントラ盤を買ったことをおぼえています。

 2003年には海外でフォルクス・ワーゲンのTVCMで使われたそうなので、この2003、4年あたりが最初のきっかけなのかもしれません。

 

 

 この曲を書いた時、グループのリーダーでソングライターのジェフ・リンはスイスのシャレー(アルプス地方特有の木造家屋)に宿泊していて、2週間ずっと薄暗く霧が立ち込めている悪天候もあって全く曲ができなかったそうです。すると突然晴れ渡ってきて、美しいアルプスも見えたそうで、それがきっかけにして、次の2週間でこの曲やこの曲が収録されるアルバム「アウト・オブ・ザ・ブルー」の曲を計14曲を一気に書き上げたそうです。

 

 以前このブログで紹介しました「シャイン・ラブ」も、彼が気分が良くて調子がいいときに書いたそうですから、やっぱり本当にポップな曲はそういう気分じゃないと書けないのかもしれないですね。

 

  2週間もの長い期間の重苦しい天気の後ですから、巡り合えた青空のありがたさは格別だったわけで、歌詞も、曲調もストレートですが、そこに、ジェフ・リン得意のビートルズをフラシュバックさせるようなアレンジが加わって格別な仕上がりになっています(「マーサ・マイ・ディア」や「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」などの影響が指摘されています)。

 

 21世紀に入ってからポジティヴなポップスがめったに作られなくなったように思います。それは、当然そういう曲が似合う時代じゃなくなったということが大きいでしょう。

 まだ無邪気で無根拠な未来への肯定感があった1980年代が遠くなり、普通に生きていれば、今が明るいポップソングが似合う時代じゃないことなんて誰でもわかります。

 でも、リアルな歌詞を重苦しく単調なループにのせたような曲が主流になると、その反動としてポップな曲がはじけることが時おり起こります。

 その代表が最近で言えばファレルの「ハッピー」であり、日本では星野源の「恋」だったと僕は思っています。

 そして、この「ミスター・ブルー・スカイ」の再評価も、そういった”反動”だと解釈しています。

   

  どれほど世界中の人々がネガティヴでシニカルな気分に覆われ、大多数の音楽がそれを反映したものになって、しかも揺るぎのない主流となっていこうとも、その反動としてポジティヴで明快なポップ・ソングを求めずにはいられない本能は人間の心のどこかにきっとあるはずだと、僕は信じています。そして、それが、能天気な80年代に青春期を生きてしまった僕のような人間の浅はかな考えでなければいいのですが。。

 

 最後に、2012年に新しく作られたこの曲のミュージック・ビデオを。


Electric Light Orchestra - Mr. Blue Sky (Animated Video)

 

 

Out of the Blue

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  • アーティスト:Elo
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