おはようございます。
今日はジョルジオ・モロダー初期のヒット作、チッコリーの「恋の玉手箱」です。
1972年の全英NO.1ヒットです。
Chicory Tip - Son Of My Father • TopPop
Mama said to me: "We gotta have your life run right
Off you go to school where you can learn the rules there right
Be just like your dabbling father when it seems tradition
Never go astray and stay an honest, lovin' son"
Son of my father
Molded, I was folded, I was free from draft
Son of my father
Commanded, I was branded in a plastic vac'
Surrounded and confounded by statistic facts
Tried to keep me in but I jumped out of my skin in time
I saw through the lies and read the alibi signs
So I left my home, I'm really on my own at last
Left the trodden path and separated from the past
Son of my father
Changing, rearranging into someone new
Son of my father
Collecting and selecting independent views
Knowing and I'm showing that a change is due
Son of my father
Molded, I was folded, I was free from draft
Son of my father
Commanded, I was branded in a plastic vac'
Surrounded and confounded by statistic facts
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”ママは僕に言っていた
パパとママはあなたの人生を正しく導かないといけないの
学校に行って そこでルールを正しく見につけるのよ
あなたのパパみたいな若者になりなさい
同じ慣習に従って 決して迷わず 正直で可愛い息子でいなさい
僕の父の息子
鋳型にはめられ 折りたたまれて
はじめから決まった形に梱包されてる
僕の父の息子
命令され 僕は真空パックされ商標をつけられ
統計の事実に囲まれうろたえている
なんとかそれに合わせようとしたけれど
やがて、僕は驚いてしまったんだ
嘘を見破って アリバイのサインを読み取ったんだ
だから僕は家を飛び出し 最後には一人っきりになった
歩いてきた道を離れて 過去と決別したんだよ
僕の父親の息子
チェンジして リアレンジして 誰か新しい人間に変わるんだ
僕の父親の息子
集めてセレクトするんだ 独立した視点を
変化は当然の結果だって知ってるし それを示すんだ
僕の父の息子
命令され 僕は真空パックされ商標をつけられ
統計の事実に囲まれうろたえている " (拙訳)
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こんな軽快なサウンドに乗せて、けっこうシリアスな親との確執と独立を歌っているんですね。
しかし、邦題がここまで歌の内容と無関係だと、なんだか脱力してしまい、笑みすら浮かんできてしまいます、、w。
邦題の効果もあったのか(?)、日本でもオリコンチャート入りしています(82位、売り上げ1万3千枚)。
グループ名のChicory Tipをなぜ”チッコリー”と省略したのかなあ?と思ったのですが、彼らがこの曲をアメリカで発売するときに”Chicory”にしたらしく、日本はそれに合わせたようです。
さて、この曲を作ったのはジョルジオ・モロダー。英語詞は彼の相棒、ピート・ベロッテです。彼らがドイツで活動しているときで、最初にリリースしたのはドイツのシンガー、マイケル・ホルム。タイトルは「Nacht's scheint die Sonne」、昼は仕事で会えないけど、夜君が一緒だから、夜でも太陽が輝いているみたいだ、というような歌詞のようで、「恋の玉手箱」とも「僕の父親の息子」とも、また全然違っています。
Michael Holm - Nachts scheint die Sonne -
さて、ジョルジオ・モロダーは当初”ジョルジオ”という名前で1960年代半ばからアーティストとして活動をしていました。
彼が目をつけたのは、アメリカで大ヒットしていた”バブルガム・ポップ”でした。
このブログでも登場したオハイオ・エクスプレスの「ヤミーヤミーヤミー」もカバーしています。
Giorgio Moroder - Yummy Yummy Yummy
ごっついヒゲの男が子供向けのバブルガム・ポップスを歌うというミスマッチのインパクトを狙っていたんでしょうか。
彼はまた「Looky Looky」というオリジナル曲をヒットさせています(スイスで3位、ドイツで26位、ベルギーで16位)。
なんか、大瀧詠一の匂いがするなあ、と僕は思ったのですが、キメに使っているフレーズがリヴィングトンズの「Papa Oom Mow Mow」で、これを大瀧も「うなずきマーチ」(うなずきトリオ)で使っていたからですね。*
ついでにビーチ・ボーイズもやってます
そして、彼はマイケル・ホルムに提供した「Nacht's scheint die Sonne」の英語ヴァージョンすなわち「Son of My Father」を自分で歌ってリリースすることにします。
Giorgio - Son of my father - 1972
そして、この曲の発売前にプロモーション・コピーを偶然耳にしたのが、チッコリーのマネージャーだったそうで、ジョルジオのヴァージョンがイギリスでリリースされる前に発売しようと、大急ぎでレコーディングしたそうです。
この曲の印象的なイントロの音色はモーグ・シンセサイザーで、1971年に発売された「ミニ・モーグ」を一番最初に使ったヒット曲と言われています。
今では”エレクトリック・ディスコの祖”として、クラブ・シーンにおいて最大のリスペクトを受けているジョルジオですが、その道のりはこのイントロから始まっていたんですね。
チッコリーのヴァージョンでモーグ・シンセサイザーを弾いているのは、クリス・トーマスだそうです。彼はビートルズやピンク・フロイド、セックス・ピストルズなど、ブリティッシュ・ロックを代表するエンジニア/プロデューサーで、この時期にはデヴィッド・ボウイやジョージ・ハリスンのアルバムでモーグ・シンセサイザーの打ち込みを担当しています。
さて、結果として、彼らのヴァージョンは全英1位の大ヒットになり、ジョルジオのヴァージョンはイギリスではコケてしまいました。
しかし、そのお詫びというわけじゃないでしょうが、その後彼らのシングルはジョルジオ&ピートが6作連続して書いています。
その中から1973年に全英17位まであがった中ヒット「ごきげんクリスティーナ(Good Grief Christina)を。
Chicory Tip - Good Grief Christina
またもや出ました「うん〜まあまあ(Oom Mow Mow)」のフレーズ。ジョルジオさん、リヴィングトンズが大好きだったんですね。
ジョルジオ、チッコリー、昨日ブログに登場していたドナ・サマー初期の楽曲を聴くと、ジョルジオ・モロダーという人は相当な”山っ気”がある人で、けっこうな”B級感”もある感じがしますよね。
でも、なんか”イヤラしさ”が全然ないんですよね。彼の作った”バブルガム・ポップ”。けっこう僕は好きなんです。
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