まいにちポップス

1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、勝手な推理、などで紹介していきます

「ホット・スタッフ(Hot Stuff)」ドナ・サマー(1979)

 おはようございます。

 今日は「ホット・スタッフ」。ドナ・サマージョルジオ・モロダー・コンビの代表作です。


Hot Stuff

 

 ”ここに座って 焦れながら待ってるの

   恋人の誰かが電話してこないかって

   最近1000人くらいに電話したから

  電話機が壁から落ちそうな勢いで鳴ってるわ

 

  今晩はとびきりセクシーな相手を探してるの

  今夜は熱くてセクシーな男じゃなきゃだめ

  今夜はすごくセクシーな男がほしいの

  セクシーな相手を見つけなきゃ

  今夜は愛を交わしたいの

  セクシーな相手が必要なの

 

  誰か相手が必要な恋人を探しているの

  一人っきりで夜を過ごしたくないから

  あたたかい血の通った恋人と愛を交わしたい

  ワイルドな男を家に連れて帰りたいの

 

  今晩はとびきりセクシーな相手を探してるの

  今夜は熱くてセクシーな男じゃなきゃだめ

  今夜はすごくセクシーな男がほしいの

  セクシーな相手を見つけなきゃ

  今夜は愛を交わしたいの

  セクシーな相手が必要なの

 

  ここに座って ジリジリしている なぜかしら

  一人っきりで夜を過ごしたくないの

 

  100人には電話したわ ベイビー

  誰か見つけて家に連れて行かなくちゃ       ” (拙訳)

 

 

 ドナ・サマーはボストン出身で、十代の終わりに歌手を夢見てニューヨークに行きます。そこでミュージカル「ヘアー」のオーディションで合格し、ドイツ公演のキャストになりミュンヘンに移住しました。そこで、他のミュージカルにも出演しながらドイツ語をマスターします。

 彼女がはじめてリリースしたシングルは「ヘアー」で使われた曲「アクエリアス」のドイツ語版でした(1968年)。世界的にはフィフス・ディメンションが歌って大ヒットしました。


Wassermann (Aquarius)

 スリー・ドッグ・ナイトがミュンヘンでデモを録音することがあり、ドナはバック・コーラスとして参加、そのスタジオのオーナーでもあったジョルジオ・モロダーと彼のアシスタントとして仕事をしていたピート・ベロッテと出会い、一緒に楽曲を作ることになります。

 

 ジョルジオはイタリア人でピートはイギリス人、ドナはアメリカ人、音楽で成功するために異国のドイツに移り住んだ国籍の違う3人がこうして意気投合したわけですから不思議なものです。

 

 ディスコで一世風靡することになるこのチームの最初の作品は、ダンスナンバーではありませんでした。曲は「デンバー・ドリーム」、作詞、作曲したのはピート・ベロッテでした。1974年のリリースです。


Donna Summer - Denver Dream (Audio)

 ちなみに彼女の本名はラドナ・アンドレア・ゲインズで、ドナ・ゲインズという名前で音楽活動していましたが1973年にオーストリア人俳優のヘルムート・ソマーと結婚し、ドナ・ソマー(Sommer)になりました。

 しかし、レコードジャケットで誤って、ドナ・サマー(Summer)と印刷してしまったため、そのままドナ・サマーと名乗るようになったそうです。

 

  そして、この次にリリースしたシングルが「The Hostage」。”人質”という意味ですが、旦那を誘拐された女性と犯人との電話のやりとりや事件の顛末(旦那は死体で見つかるという、ひどい終わり方、、)を歌にした曲です。

 オランダ、スペイン、イギリスでは大ヒット、ドイツでは歌詞が問題になり放送禁止になったそうです。当時、日本でもシングル発売されていて、邦題は「恐怖の脅迫電話」アーティスト名は”ドンナ・サマー”と表記されています。

 


Donna Summer - The Hostage (1974) [1]

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  80年代に彼女は「情熱物語」などロックっぽい曲もやるようになるわけですが、実はもともとはディスコじゃなくロックっぽい曲をやっていたんですね。

 

 そして、次のシングル「Love To Love You Baby」に、アメリカのカサブランカ・レコードの社長ニール・ボガートの耳に止まり、彼らはアメリカ進出を果たすことになります。

 「Love To Love You Baby」というフレーズをドナが思いつき、ジョルジオに曲にできないかと相談して出来上がったものだそうです。


Donna Summer - Love To Love You Baby

 「恐怖の脅迫電話」から「Love To Love You Baby」の流れの”キワモノ”感はスゴイですね。ともかく、ここでようやく”ディスコ”路線が生まれたわけです。

  1977年「I Feel Love」で現在のジョルジオ・モロダーのイメージとなっている”エレクトリック・ディスコ”サウンドを打ち立てます。


Donna Summer - Love To Love You Baby

 そして、このブログで紹介した「マッカーサー・パーク」で初の全米1位を獲得

popups.hatenablog.com

 そして、二枚目の全米1位となったのが、この「ホット・スタッフ」というわけです。

 僕が注目したいのはソングライターです。ピート・ベロッテとハロルド・フォルターマイヤーとキース・フォーシーの3人。

 ハロルド・フォルターマイヤーは、のちに映画「ビバリーヒルズ・コップ」のテーマ「アクセル・フォリーのテーマ(Axel F)」を大ヒットさせた他、数々の映画を手がけた人です。ドイツにいた彼の才能を見抜いたジョルジオがアメリカに連れて行き、一緒に仕事をしながら育てたのです。


Harold Faltermeyer - Axel F (1984) Beverly Hills Cop - Soundtrack

  キース・フォーシーも、ジョルジオのドラマーとして採用され、ソングライター、プロデュースとして修行し、アイリーン・キャラの「フラッシュ・ダンス〜ホワット・ア・フィーリング」もジョルジオと共作しています。その後独り立ちし、80年代にビリー・アイドルやシンプル・マインズを大ヒットさせています。


Simple Minds - Don't You (Forget About Me)

 

  ジョルジオ・モロダーは才能のある若手を見出し育ててもいるんですね。

この人、そうとう懐が深い、僕はそう感じました。

 

 

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ホット・スタッフ~ドナ・サマー・グレイテスト・ヒッツ