まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲を選曲しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「溢れる愛(Lotta Love)」ニコレット・ラーソン(1978)

おはようございます。

今日はニコレット・ラーソンの「溢れる愛」です。

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 ”愛がいっぱいいるわ  今の状況を変えるには

  たくさん愛がいるのよ でなきゃ、ふたりはこの先長く続かない

 

  だから、あなたが私の方を見たとしても 二人の視線が合うことはない

  私の心を守ってくれるものが必要なの  私自身のことも

 

  愛がいっぱい必要になるわ この夜を超えるには

  たくさん愛がいるのよ  ふたりがちゃんとうまくいくために

 

 だからもしあなたがそこで待っているなら

 すぐに目の前に現れて欲しいの

     つながりが私には必要なの、孤独じゃなくて

 

 愛がたくさんほしい 愛がたくさんほしい

 

  愛がいっぱいいるわ  今の状況を変えるには

  たくさん愛がいるのよ でなきゃ、ふたりはこの先長く続かない” (拙訳)

 

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It's gonna take a lotta love
To change the way things are
It's gonna take a lotta love
Or we won't get too far

So if you look in my direction
And we don't see eye to eye
My heart needs protection
And so do I

It's gonna take a lotta love
To get us through the night
It's gonna take a lotta love
To make this work out right

So if you are out there waiting
I hope you show up soon
You know I need relating not solitude

Gotta lotta love
Gotta lotta love

It's gonna take a lotta love
To change the way things are
It's gonna take a lotta love
Or we won't get too far

It's gonna take a lotta love
It's gonna take a lotta love
It's gonna take a lotta love

 

Writer/s: Frank Sampedro, Neil Young

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 1997年に45歳の若さで亡くなったシンガー、ニコレット・ラーソンのデビュー曲で全米8位の大ヒット。ウェストコースト・ロック・ファンには今なお愛されている名曲です。

作者はニール・ヤングで彼自身も歌っています。

 

 サンフランシスコに移り住み、レコード店で働いたり、音楽イベントのボランティアをやりながら歌手になる道を探していた彼女は、さまざまなアーティストのバック・コーラスをやるようになり、拠点をLAに移すと少しずつ軌道に乗り始めます。

 そして、最初のチャンスが訪れます。カントリー・シンガー、エミルー・ハリスのアルバムの1曲でデュエットをすることになったのです。


Hello Stranger (with Nicolette Larson) (Remastered Version)

 エミルーは仲良しのリンダ・ロンシュタットニコレットを紹介し、意気投合した二人はルームメイトになったそうです。二人は体型も同じくらいだったので、彼女はリンダの服をよく借りていた、と彼女はインタビューで答えています。

 あるとき、ニール・ヤングがエミルーとリンダに、自分のアルバムに参加してほしいと連絡してきましたが、エミルーは都合が悪く、誰かかわりを紹介してほしいと彼に言われて、エミルーもリンダも彼女を推薦したそうです。

 それで、ニコレットはニールのアルバムに参加するという大きなチャンスを得たわけです。

 彼女はあるとき、ニールの車の床に落ちていたカセットテープを見つけ、その中に「溢れる愛」があったと語っています。

 ”すごいいい曲なのに何で世に出さないの?”

 と彼女はニールに尋ねました。

 そうすると彼は

 ”この曲ほしいの?ならあげるよ” と即答したそうです。

 

(これとは別に、リンダ・ロンシュタットは自分がニコレットにこの曲をやるよう勧めたと主張しているそうです)

 

 それで、ソロ・デビューが決まっていた彼女は早速レコーディングしました。

 ニールのほうも気が変わったようで、その時制作していた「カムズ・ア・タイム」というアルバムに、急遽この曲を録音して入れることにします。

 結果、「溢れる愛」はアルバムから最初のシングル・カットになったのですが、発売日が彼の「カムズ・ア・タイム」とまったく一緒になったそうです。

 

 

 ニコレットの「溢れる愛」は、当時、都会的に洗練され始めたウエスト・コースト・サウンドの魅力が良く反映されています。

   印象的なサックスはアンドリュー・ラヴ。スタックス・レーベルでオーティス・レディングアレサ・フランクリンウィルソン・ピケットなどのバックを務めていた人です。

 そして、この曲の都会的なムードを演出しているストリングス・アレンジはジミー・ハスケル。S&G「明日にかける橋」やシカゴ「愛ある別れ」のほか、映画音楽も数多く手がけています。

 

 そして、この曲とアルバムのプロデュサーはテッド・テンプルマン。彼は元ハーパーズ・ビザールのメンバーでした。

 

 この時期、テンプルマンはドゥービー・ブラザースのプロデュースもやっていたということもあって、彼女のアルバムにはマイケル・マクドナルドとパトリック・シモンズが参加しています。

 そして、ドゥービーのアルバムのほうには彼女が参加していて、パトリック・シモンズとデュエットしています。


Sweet Feelin'

 また、この年の初めにテッドのプロデュースでデビューしたのがヴァン・ヘイレン

ということで、エディ・ヴァン・ヘイレンも彼女のアルバムでギターを弾いています。


Nicolette Larson - Cant Get Away From You

 

 最後にニール・ヤング自身のヴァージョンを。

 

  70年代前半の彼の作品とあまり変わらない音作りですね。ニコレットのヴァージョンと聴き比べると、70年代のウエスト・コースト・サウンドが都会的に洗練されていった変化を目の当たりにするようです。 

(2曲は同じ時期に録音されたものなんですが、、、)

 

この曲のプロデューサー、テッド・テンプルマンが在籍していたグループ、ハーパーズ・ビザール。

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