おはようございます。
今日はニコレット・ラーソンの「溢れる愛」です。
It's gonna take a lotta love
To change the way things are
It's gonna take a lotta love
Or we won't get too far
So if you look in my direction
And we don't see eye to eye
My heart needs protection
And so do I
It's gonna take a lotta love
To get us through the night
It's gonna take a lotta love
To make this work out right
So if you are out there waiting
I hope you show up soon
You know I need relating not solitude
Gotta lotta love
Gotta lotta love
It's gonna take a lotta love
To change the way things are
It's gonna take a lotta love
Or we won't get too far
It's gonna take a lotta love
It's gonna take a lotta love
It's gonna take a lotta love
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”愛がいっぱいいるの 今の状況を変えるには
たくさん愛がいるのよ
でなきゃ、ふたりはこの先長く続かない
だから、あなたが私の方を見たとしても
二人の視線が合うことはない
私の心を守ってくれるものが必要なの
私自身のことも
愛がいっぱい必要になるわ この夜を超えるには
たくさん愛がいるのよ
ふたりがちゃんとうまくいくために
だからもしあなたがそこで待っているなら
すぐに目の前に現れて欲しいの
つながりが私には必要なの、孤独じゃなくて
愛がたくさんほしい 愛がたくさんほしい
愛がいっぱいいるわ 今の状況を変えるには
たくさん愛がいるのよ
でなきゃ、ふたりはこの先長く続かない”
(拙訳)
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1997年に45歳の若さで亡くなったシンガー、ニコレット・ラーソンのデビュー曲で全米8位の大ヒットになりました。ウェストコースト・ロック・ファンには今なお愛されている名曲です。
作者はニール・ヤングで彼自身も歌っています。
彼女はモンタナ州ヘレナで生まれミズーリ州の高校、大学に進み中退してウェイトレスや事務職を経験した後、サンフランシスコに移り住み、レコード店で働いたり、音楽イベントのボランティアをやりながら歌手になる道を探し、さまざまなアーティストのバック・コーラスをやっていました。そして、拠点をLAに移すと少しずつ軌道に乗り始めます。
そして、最初のチャンスが訪れます。カントリー・シンガー、エミルー・ハリスのアルバムの1曲でデュエットをすることになったのです。
Hello Stranger (with Nicolette Larson) (Remastered Version)
エミルーは仲良しのリンダ・ロンシュタットにニコレットを紹介し、意気投合した二人はルームメイトになったそうです。二人は体型も同じくらいだったので、リンダの服をよく借りていた、と彼女はインタビューで答えています。
あるとき、ニール・ヤングがエミルーとリンダに、自分のアルバムに参加してほしいと連絡してきましたが、エミルーは都合が悪く、誰かかわりを紹介してほしいと彼に言われて、エミルーもリンダも彼女を推薦したそうです。
それで、ニコレットはニールのアルバムに参加するという大きなチャンスを得たわけです。
彼女はあるとき、ニールの車の床に落ちていたカセットテープを見つけ、その中に「溢れる愛」があったと語っています。
”すごいいい曲なのに何で世に出さないの?”
と彼女はニールに尋ねました。
そうすると彼は
”この曲ほしいの?ならあげるよ” と即答したそうです。
(これとは別の説もあって、リンダ・ロンシュタットは自分がニコレットにこの曲をやるよう勧めたと主張しているそうです)
ソロ・デビューが決まっていた彼女は早速この曲をレコーディングしました。ニールのほうも気が変わったようで、その時制作していた「カムズ・ア・タイム」というアルバムに、急遽この曲を録音して入れることにします。
ニール・ヤング本人のヴァージョンも聴いてみましょう。
70年代前半の彼の作品とあまり変わらない音作りですね。ニコレットのヴァージョンと聴き比べると、70年代のウエスト・コースト・サウンドが都会的に洗練されていった過程を目の当たりにするようです。
(2曲は同じ時期に録音されたものなんですが、、、。ちなみに、彼女の「溢れる愛」はアルバムから最初のシングルになったのですが、シングルの発売日がニールの「カムズ・ア・タイム」の発売日と一緒になったそうです)
さて、ニコレットの「溢れる愛」は、都会的に洗練され始めた当時のアメリカのウエスト・コースト・サウンドの魅力が良く反映されています。
印象的なサックスはアンドリュー・ラヴ。スタックス・レーベルでオーティス・レディング、アレサ・フランクリン、ウィルソン・ピケットなどのバックを務めていた人です。
そして、この曲の都会的なムードを演出しているストリングス・アレンジはジミー・ハスケル。サイモン&ガーファンクルの「明日にかける橋」やシカゴ「愛ある別れ」のほか、映画音楽も数多く手がけている人です。
そして、この曲とアルバムのプロデュサーはテッド・テンプルマン。彼は元ハーパーズ・ビザールのメンバーでした。
この時期、テンプルマンはドゥービー・ブラザースのプロデュースもやっていたということもあって、彼女のアルバムにはマイケル・マクドナルドとパトリック・シモンズが参加しています。
そして、ドゥービーのアルバムのほうには彼女が参加していて、パトリック・シモンズとデュエットしています。
また、この年の初めにテッドのプロデュースでデビューしたのがヴァン・ヘイレン。ということで、エディ・ヴァン・ヘイレンも彼女のアルバムでギターを弾いています。
Nicolette Larson - Cant Get Away From You
この「溢れる愛」がデビュー曲にして彼女の最大のヒットになったわけですが、その後のシングルを2曲ピックアップして、終わりにしたいと思います。
「愛にさよならを(Let Me Go,Love)」(1979年全米35位)・・・マイケル・マクドナルド作で彼とデュエットしています
「ふたりだけのデート(I Only Want to Be with You)」(1982年全米53位)
ダスティ・スプリングフィールドのカバー。日本ではベイ・シティ・ローラーズの方が有名だったでしょうか。オリジナルの邦題は「二人だけのデート」ですが、彼女の場合はあえて「ふたりだけの〜」という表記にしたようです。プロデュースは”LAのポップ・マエストロ”アンドリュー・ゴールド。