まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「Lucky Radio」サミュエル・パーディー(1996)

  おはようございます。

新年の"Lucky"しばり(?)の選曲第2弾です。


Samuel Purdey, Lucky Radio Video, 1996

 

Lucky's taking over
Maybe he's just trying to change the weather
Singing round a song he keeps forever
Making up the mind he kept together
And he don't care at all

 

Takes one to know
Play your up town creole
Got the whole of the world smiling

 

Takes me home Lucky Radio
On your own Lucky Radio

 

Lucky's on his own
Wondering if I ever think of my home
Genius and soul 'till we get old
Mr. C please leave me alone
'Cos you don't care at all

 

Takes one to know
Play your up town creole
Got the whole of the world smiling

 

Takes me home Lucky Radio
On your own Lucky Radio...

 

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ラッキーが引き継いでいる
ヤツはたぶん、天気を変えようとしているだけ
彼の持ち歌を永遠に歌いながら
一緒にいると心に決めている
そして彼は全く気にしない

 

これだけわかっていればいい
アップタウンクレオールをかけて
世界中を笑顔にさせたんだ

 

僕を家まで送ってくれ ラッキーラジオ
お前の力で ラッキー・ラジオ

 

ラッキーは独りぼっち
僕は自分の家のことを考えたことがあっただろうか
僕らは老いるまで天才とソウル
Mr.C、僕を放っておいて
あなたは全然気にしちゃいないんだから

 

これだけわかっていればいい
アップタウンクレオールをかけて
世界中を笑顔にさせたんだ

 

僕を家まで送ってくれ ラッキーラジオ
お前の力で ラッキー・ラジオ     (拙訳)

                   

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   サミュエル・パーディはボーカル/ギターのギャヴィン・ドッズとドラムスのバーニー・ハーレイからなるイギリス出身のユニットです。

 

 ギャヴィンはジャミロクワイのデビュー曲「When You Gonna learn?」のレコーディングにギターとして参加していたそうです。


Jamiroquai - When You Gonna Learn? (Official Music Video)

 バーニーもジャミロクワイのツアーでドラムスをやっていたことがあったそうです。

 1980年代後半から90年代にかけてイギリスと日本のクラブシーンではアシッド・ジャズと言われるジャンルが人気でした。そのシーンの総本山的なレーベルが”ACID JAZZ"で、ジャミロクワイも在籍していて「When You Gonna Learn?」は最初に”ACID JAZZ”レーベルからリリースされています。

 そういう繋がりもあったのでしょう。1994年に"ACID JAZZ"がリリースしたコンピレーション「Totally Wired Eleven」にサミュエル・パーディの曲が収録されています。(ちなみにムッシュかまやつモンド・グロッソの曲も入っています)


Clever Girl

 僕がサミュエル・パーディーの名前を知ったのは、音楽雑誌で”スティーリー・ダンのフォロワー”とか”新世代のAOR”みたいな紹介文を目にしたからです。そういう感じが好きな人はラジオ業界にも多かったのでしょう、J-Waveのチャートでも5位まで上がっていたようです。

 彼らの名前を久しぶりに見たのは、Suchmosがブレイクした時のインタビュー記事でした。彼らは自分たちに大きな影響を与えたバンドとしてサミュエル・パーディーをあげていたのです。

 それを読んで僕はちょっと驚きました。僕はサミュエル・パーディーはスティーリー・ダンAORに”影響を受けた”バンドとしてとらえていたので、そのバンドが”影響を与える”側になりうるということをイメージできなかったのです。

 考えてみれば、スティーリー・ダンよりサミュエル・パーディーのほうに”ピンとくる”人がいても当然です。特に若い世代にとっては、1970年代も80年代も90年代も”横並び”のものとして感じるわけですから。

 サミュエル・パーディを語る時に、スティーリー・ダンAORフォロワーみたいな切り口だけに囚われてしまうと、単なる懐古趣味的なユニットとして彼らをとらえてしまうことになってしまいます。

 Suchmosの耳を捉えたのは、彼らにはアシッド・ジャズの流れを組んでいるグルーヴ感というファクターが加わっている、言い方を変えれば、”クラブ・カルチャーを経由している”からじゃないかと僕は思います。

 しかし、彼らはセールス的には成功せずアルバム一枚だけで消えてしまいます。多くのAORのアーティスト同様、彼らを最も評価したのは日本人だったようです。

 

 ドラムスのパーディーは2016年に”POWDER BLUE TUX"というグループを作り、サミュエル・パーディー以上にスティーリー・ダンっぽい曲をリリースしています。


POWDER BLUE TUX - Container Zero (2016)

 

 

 

 

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