おはようございます。
新年の"Lucky"しばり(?)の選曲第2弾です。
Samuel Purdey, Lucky Radio Video, 1996
歌っているのはサミュエル・パーディ。ボーカル/ギターのギャヴィン・ドッズとドラムスのバーニー・ハーレイからなるイギリス出身のユニットです。
ギャヴィンはジャミロクワイのデビュー曲「When You Gonna learn?」のレコーディングにギターとして参加していたそうです。
Jamiroquai - When You Gonna Learn? (Official Music Video)
バーニーもジャミロクワイのツアーでドラムスをやっていたことがあったそうです。
1980年代後半から90年代にかけてイギリスと日本のクラブシーンではアシッド・ジャズと言われるジャンルが人気でした。そのシーンの総本山的なレーベルが”ACID JAZZ"で、ジャミロクワイも在籍していて「When You Gonna Learn?」は最初に”ACID JAZZ”レーベルからリリースされています。
そういう繋がりもあったのでしょう。1994年に"ACID JAZZ"がリリースしたコンピレーション「Totally Wired Eleven」にサミュエル・パーディの曲が収録されています。(ちなみにムッシュかまやつやモンド・グロッソの曲も入っています)
僕がサミュエル・パーディーの名前を知ったのは、音楽雑誌で”スティーリー・ダンのフォロワー”とか”新世代のAOR”みたいな紹介文を目にしたからです。そういう感じが好きな人はラジオ業界にも多かったのでしょう、J-Waveのチャートでも5位まで上がっていたようです。
彼らの名前を久しぶりに見たのは、Suchmosがブレイクした時のインタビュー記事でした。彼らは自分たちに大きな影響を与えたバンドとしてサミュエル・パーディーをあげていたのです。
それを読んで僕はちょっと驚きました。僕はサミュエル・パーディーはスティーリー・ダンやAORに”影響を受けた”バンドとしてとらえていたので、そのバンドが”影響を与える”側になりうるということをイメージできなかったのです。
考えてみれば、スティーリー・ダンよりサミュエル・パーディーのほうに”ピンとくる”人がいても当然です。特に若い世代にとっては、1970年代も80年代も90年代も”横並び”のものとして感じるわけですから。
サミュエル・パーディを語る時に、スティーリー・ダンやAORフォロワーみたいな切り口だけに囚われてしまうと、単なる懐古趣味的なユニットとして彼らをとらえてしまうことになってしまいます。
Suchmosの耳を捉えたのは、彼らにはアシッド・ジャズの流れを組んでいるグルーヴ感というファクターが加わっている、言い方を変えれば、”クラブ・カルチャーを経由している”からじゃないかと僕は思います。
しかし、彼らはセールス的には成功せずアルバム一枚だけで消えてしまいます。多くのAORのアーティスト同様、彼らを最も評価したのは日本人だったようです。
ドラムスのパーディーは2016年に”POWDER BLUE TUX"というグループを作り、サミュエル・パーディー以上にスティーリー・ダンっぽい曲をリリースしています。
POWDER BLUE TUX - Container Zero (2016)