まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「THE CONNECTION」スムース・リユニオン(2008)

 おはようございます。

 今日はスウェーデンの男性二人組、スムース・リユニオンの「THE CONNECTION」です。


Smooth Reunion - The Connection

 お聴きの通り、スティーリー・ダン・フォロワーです。以前にこのブログでピックアップしたサミュエル・パーディーもそうでしたね。

popups.hatenablog.com

 こういう音楽を前にすると、うるさ型の古い洋楽ファンが特に陥りがちですが”なんだスティーリー・ダンのマネじゃねえか、こんな聴くんだったら本家聴いてればいいよ”なんて、硬直した反応を示しがちです。

 でも、僕はそういうのはもったいないなあ、と思ってしまいます。

 先達の音楽を手本にしていても若い人たちが作ると、そこに必ず何か新しいものが付与され、新しい時代に繋がってくるからです。

 例えば、Suchmosスティーリー・ダンじゃなくサミュエル・パーディーに影響を受けたりするわけです。

 

 このスムース・リユニオンの魅力は、スティーリー・ダンっぽいけど、爽快感があるところだと思います。

 爽快感があっても当然かもしれません、メンバーのジョセフ・メリンとサミュエル・アンドレはこのアルバムを作った時、20、21才くらいだったということですから。

 その年齢でこのクオリティを生み出せるのは、相当なセンスの持ち主だと思います。

 

 それと北欧、スウェーデン産というのも、爽快感の要因かもしれません。

 アバをはじめとして昔から、スウェーデンはポップス王国ですが、日本人にはちょっと”濃いな””脂っこい”なと思われるアメリカの流行のサウンドを、北欧の人がやると日本人にはちょうどいい塩梅になる、ということはよくありますから。

 

 さて、スムース・リユニオンは2008年にアルバムを出したっきり作品をリリースしていません。その後を調べてみたら、サミュエルの方はわからなかったですが、ジョセフは2年後にソロで作品をリリースしていました。

 やはり、なかなかの才能のようです。


Josef Melin - Offshore Monsters

 そして、その後のジョセフの動向を調べてみたらびっくり、ソングライターとして日本のマーケットで”荒稼ぎ(?)”していました。

 ジャニーズ系を中心にたくさん曲を提供していたのです。

 嵐には共作曲含め6曲も書いていますし、キンプリ、KAT-TUN、Hey!Say! Jumpにも。

 彼にしてみれば”金鉱”を見つけたようなものですから、しばらくは職業作家をメインの稼業としてやっていくのだろうと想像します。

 

 ちなみに、ジャニーズのアーティストには昔からスウェーデンを中心とした北欧の作家が数多く楽曲を提供していますが、先述したように”日本人にとってちょうどいい洋楽感”になるということもありますが、日本サイドの意図に対応できる”適応力”にすぐれているという強みもあります。

 特にジャニーズの場合は、日本人の作家の作品と横並びで競争して勝たなければいけません。

 ジョセフの場合も、嵐やジャニーズのアーティストをしっかり研究して曲を作っているはずです。そして、日本のスタッフ・サイドの要望があれば柔軟に修正していると思います。

 

 思えば、20歳そこそこで”スティーリー・ダン”を自己流に解釈できるほどの”音楽勘”に優れた人なわけで、ジャニーズの楽曲の”コツ”みたいなものも感じ取ったのかもしれないですね。

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