おはようございます。
「恋のサバイバル(I Will Survive)」の少しあとに、やはり”Survive”をタイトルに入れた曲がヒットしました。エイミー・ホーランド。マイケル・マクドナルドの奥さんです。
AMY HOLLAND - How Do I Survive (1980)
I'm not strong enough
Just to smile and make things easy
I can't put on that brave face anymore
I always took it for granted
That I could take whatever you gave me
I guess you never really know for sure
'Cause there was never a doubt in my mind
How it was meant to be
So who do I turn to darlin' if you should leave me?
How Do I Survive, if you break my heart?
How Do I Survive, if you break my heart?
I've got no excuses for being your fool
I never thought that it would be forever
But after so much time together, I've come to depend on you
What else am I supposed to do?
'Cause there was never a doubt in my mind
It wouldn't be easy
But I never realized how much you mean to me
How Do I Survive, if you break my heart?
How Do I Survive, if you break my heart?
But there was never a doubt in my mind
How it was meant to be
So who do I turn to darlin' if you should leave me?
How Do I Survive, if you break my heart?
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ただ微笑んで ものごとを簡単に割り切ってしまえるほど
私は強くないの これ以上強気なフリなんかできない
私はいつもあなたがくれるものなら
何でももらって当然だと思っていた
あなたはまったく知らないと思うけど
私の心に疑いなんて全然なかったから
それがどう言う意味だったのか
あなたがいなくなったら 私は誰を頼ればいいの
どうやって生きていけばいいの もしあなたをなくしたら
どうやって生きていけばいいの もし心に痛手を負ったら
あなたの虜になってしまったことは言い訳できない
ずっとそうなるなんて思ってもいなかった
だけど一緒の時間が長くなると あなたに頼るようになったわ
他にどうすればよかったって言うの?
私の心に疑いなんて全然なかったから
たやすいことじゃない
だけど、あなたがこんなに大切な人だって気づかなかったの
どうやって生きていけばいいの もしあなたをなくしたら
どうやって生きていけばいいの もし心に痛手を負ったら ”
(拙訳)
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AORファンにはお馴染みの曲だと思いますが、全米最高22位ですから中ヒットくらい、ややマニアックかなと思ったのですが、調べてみたら当時来日して「夜のヒットスタジオ」や「ヤングおー!おー!」(懐かしい、、)などに出演していたようです。その「ヤングおー!おー!」の動画がアップされていました。
Amy Holland - How Do I Survive
海外のアーティストとはいえ彼女は”ソコソコのヒットを出した新人”でしかないわけですから、当時の日本の担当者は番組に出演させるために相当頑張ったのでしょう。とはいえ、決して派手ではない彼女のようなシンガーが日本のメジャーのTV番組に出演できたということは、”都会的なポップス”が当時の新しい潮流として大きく注目されていた証拠ではないかと僕には思えます。
「あなたに捨てられたら、どうやって生きていけばいいの?」という、よくある(?)パターンですが、"Live"じゃなく"Survive"を使ったのがポイントでしょう。グロリア・ゲイナーの「恋のサバイバル(I Will Survive)」が流行したての時期でしたので、当然作者も”狙って”使ったのでしょう。
実はこの曲はカバーで、もともと歌っていたのは男性でした。「君に捨てられたら、僕はどうやって生きていけばいいんだ?」という歌だったんですね。
作者であるイギリスのミュージシャン、ポール・ブリスが自身が率いる”ブリス・バンド”のレパートリーとして1979年に発表しています。
The Bliss Band - How Do I Survive (1979)
イングランド・ダン&ジョン・フォードのダン・シールズが1980年にこれと近いアレンジでカバーをしています。
1982年にはノーランズもカバー。
このブリス・バンドはイギリスのバンドでしたが、ライヴでイギリスに来ていたドゥービー・ブラザーズのジェフ・バクスターが偶然彼らのデモを耳にして気に入り、ジェフがプロデュースするということでメジャー契約を勝ち取り、ドゥービーの全米ツアーのオープニング・アクトに抜擢されたという経緯があります。
スティーリー・ダンに憧れていた彼らは、当時パンク、ニューウェイヴ旋風が吹き荒れていたイギリスでは自分たちのような音楽は売れないと思っていたそうですから、それは願ってもないチャンスだったのです。
エイミー・ホランドはニューヨーク出身でしたが、シンガー・ソングライターになるために十代でLAに移住し、やはりミュージシャンになるためにセントルイスからLAに移ってキーボーディストとして活動していたマイケル・マクドナルドとも出会っていました。
彼女がメジャーデビューを果たしたのはLAに来てから10年もたっていましたが、プロデュースをやることになったマイケルはちょうどドゥービー・ブラザースの中心メンバーとして「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」が大当たりして”時の人”になっているというちょうどいいタイミングでした。
詳しい経緯はわかりませんが、先にマイケル・マクドナルドがプロデュースを買ってでたことがプラス材料になって、レコード契約に至った可能性もあるように思います。。
そして、デビュー曲に選ばれたのが、ブリス・バンドの二枚目のアルバム「ネオン・スマイルズ」に収録されていた「愛に賭けて」だったのです。マイケル・マクドナルドは当然ブリス・バンドを知っていたわけですから、彼の選曲だったのじゃないかと思います。
その頃、この曲を書いたポール・ブリスは”ブリス・バンド”のアルバムが二枚とも全く売れず、失意の日々を送っていたそうです。そこで、他の人に曲を書くことにシフトすることを思い立った彼は、ブリス・バンドの契約が終了したこともあり、作家として自分をあらためて売り込み、オリヴィア・ニュートン・ジョン、シーナ・イーストン、ジャネット・ジャクソンなどに曲を提供するに至っています。また、キーボーディストとしてムーディー・ブルースにも参加していた時期があったようです。
エイミーはこの曲のヒットでグラミー賞の最優秀新人賞候補にまでなりました。その後はヒットは出ませんでしたが、マイケル・マクドナルドと結婚し彼をサポートしながら現在もコンスタントに音楽活動を続けています。
最後に作者のポール・ブリスが1997年に再度レコーディングしたヴァージョンを。
ブリス・バンドのものより”スティーリー・ダン寄り”になっているように思います。
Paul Bliss - How Do I Survive (1997)