まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「スティルネス・イン・タイム(Stillness In Time)」ジャミロクワイ(1994)

 おはようございます。

 今日はジャミロクワイの「スティルネス・イン・タイム(Stillness In Time)」です。


Jamiroquai - Stillness in Time (Official Video)

 

There’s a stillness in time
Which I cannot define
Does your heart bleed like mine
Oh, does your heart yearn
For a place we can go where the
Troubles of our time are far away
Hey, they are so far away

And I had all my life in front of me
Now my darkest days are trouble free
There are so many wondrous things for you to see


If you find that something’s going wrong
Look around at what you’re running from
You can wait a thousand years in line
For that stillness in time


I found love in that way
And I’m never sad, and I’m always glad
Anything you give me today
I now will be thankful for
People find it hard to be strong
‘Cause they don’t know where they’re coming from
And there was nothing left to do but hang on
For that stillness in time


There’s a stillness in time
Search the spaces of my mind


If this world is turning too fast for your head
Just remember how bad times can roll instead
I guess I’ll have to search the spaces of my mind
For that stillness in time


I found love in that way
And I’m never sad, and I’m always glad
Anything you give me today
I now will be thankful for
People find it hard to be strong
‘Cause they don’t know where they’re coming from
And there was nothing left to do but hang on
For that stillness in time



*************************************************

時間の中には静寂がある
僕には定義できない静けさが
君の心臓は僕のように血を流しているか?
君の心は求めているか?
僕たちの行ける場所
日々のトラブルが遠くなってゆく場所を
ほら、トラブルは遥か遠くさ

 

僕のすべての人生は目の前にある
僕の一番暗かった日々も消え去った
君が見るべき驚くようなものはたくさんあるのさ

 

もし君が何かがうまくいかないと感じたら
見回して、自分が何から逃げているのか見つけるんだ
千年並んで待ったっていい
時の静けさを求めるためなら

 

僕はそうやって愛を見つけた
僕はもう悲しくはないし、いつも喜びを感じている
今日君がくれたものは何でも
僕はそれに感謝するよ
みんな強くなるのは難しいと気づく
それは、自分がどこから来たのかわからないから
からしがみつくしかない
時の静けさのために

 

時間の中には静寂がある
心の中の宇宙を探せ

 

この世界の回転が速すぎて頭が追いつかないなら
代わりに思い出せばいい いかに辛い日々が転がりさってゆくかを
僕も心の宇宙を探さなければならないだろう
時の静寂を求めて

 

                  (拙訳)

*************************************************

 

 

 ジャミロクワイはイギリスのアーティストで、ジェイソン・ケイソロ・プロジェクトです。日本でもとても人気が高く、日本人にとっては1990年代の洋楽を最も象徴する男性アーティストじゃないかと僕は思っています。

 

 当時のクラブシーンでは、洗練された過去のブラック・ミュージックを発掘しプレイするDJに人気が集まり、それと連動するようなアーティストがたくさん現れて人気を集めた時代です

 その一方で、大衆にまでアピールできるオリジナル楽曲を作れる人は少なかったように思います。そんな中でヴォーカルだけではなく、ソングライティングの能力でも突出していたのが彼でした。

 その結果、ジャミロクワイだけが、音楽マニア、センスのいいクラブ・ピープルだけじゃなく広く大衆にまでファン層は広がりました。

 

 で、今回は、彼のレパートリーの中ではちょっとレアなブラジリアンなグルーヴの曲を、夏だから、という理由だけで選んでみましたw、、、。

 

 90年代のポップス・シーンの特徴の一つとして、アシッド・ジャズ渋谷系、カフェ・ミュージックなど”おしゃれな”音楽のブームというのがあります(一般大衆レベルにまでは届かなかったですが。それが洗練されたもの、おしゃれな創作物の宿命でもあるのでしょう)。その中で、特徴的だったのは、ブラジル音楽のグルーヴが流行ったということです。

 前に紹介したバーシアの「サード・タイム・ラッキー」もそうでした。

www.youtube.com

 

  少し遅れて、90年代半ばか後半くらいから日本でもそういう曲は作られましたが、一番有名なのはMONDO GROSSOの「LIFE feat.bird」でしょうか。

www.youtube.com

 この「Stillness In TIme」は彼らのセカンド・アルバム「スペース・カウボーイの逆襲(THE RETURN OF THE SPACE COWBOY)」から4枚目のシングルだったのですが、イギリスでは9位と、その時点で彼らの一番のヒットになりました。しかし、なぜか他の国では全くチャートに入っていません。

 

     それは、その国でのブラジリアン・サウンドの浸透度の違い、というのもあったのかもしれまん。R&Bやディスコに比べるとかなり馴染みの薄いサウンドでしたから。それでは、"ボサノヴァを世界一好きな国民”と言われている(?)日本はどうだったかというと、J-Waveの年間チャートで23位になっていますから、少なくとも都会のおしゃれな音楽好きには全面的に歓迎されたのだと思います。

 イギリスと日本だけでウケた、というところが、この曲のミソですね。

 

 歌詞は、時間の中で自分でもはっきり定義できない様な静寂が存在する、というくだりから始まる。結構精神的なものです。ちょっと理解が難しい。禅問答のようなニュアンスさえ感じます。ただし、単にパーソナルに心の安定を求めるのじゃなく、自分を取り巻く世界のもっと大きい流れを意識した中での平安を求めようとする、そういったメッセージは伝わって来ます。

 

 最後にもう1曲。「スティルネス・イン・タイム(Stillness In Time)」が収録されていたアルバムからのファースト・シングル「スペース・カウボーイ」を。

 デビュー作「ホエン・ユー・ゴナ・ラーン?」と最大のヒット作「ヴァーチャル・インサニティ」の間の時期なんですが、あらためて聴いてみると、作風がちょうどその2曲の真ん中って感じがします。

 

www.youtube.com

Stillness in Time (Remastered)

Stillness in Time (Remastered)

 

 

popups.hatenablog.com

popups.hatenablog.com