まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「タイム・アフター・タイム(Time After Time)」シンディ・ローパー(1984)

 おはようございます。

 今日はシンディ・ローパーの「タイム・アフター・タイム」を。


Cyndi Lauper - Time After Time (Official Video)

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Lying in my bed I hear the clock tick
And think of you
Caught up in circles
Confusion is nothing new
Flashback, warm nights
Almost left behind
Suitcases of memories
Time after

Sometimes you picture me
I'm walking too far ahead
You're calling to me, I can't hear
What you've said
Then you say, go slow
I fall behind
The second hand unwinds

If you're lost you can look and you will find me
Time after time
If you fall I will catch you, I will be waiting
Time after time

If you're lost you can look and you will find me
Time after time
If you fall I will catch you, I will be waiting
Time after time

After my picture fades and darkness has
Turned to gray
Watching through windows
You're wondering if I'm okay
Secrets stolen from deep inside
The drum beats out of time

If you're lost you can look and you will find me
Time after time
If you fall I will catch you, I will be waiting
Time after time

You said go slow
I fall behind
The second hand unwinds

If you're lost you can look and you will find me
Time after time
If you fall I will catch you, I'll be waiting
Time after time

If you're lost you can look and you will find me
Time after time
If you fall I will catch you, I'll be waiting

Time after time,,,

 

Writer/s: Robert Hyman, Cyndi Lauper

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”ベッドに横たわり、時計の音を聞きながら

  あなたのことを想う

  堂々めぐりにハマって

  混乱するのは目新しいことじゃない

  フラッシュバックする 温もりのあった夜

   過去に置き忘れた

   思い出がつまった スーツケース 何度も、、

 

   時々あなたは想像するの

 私がずっと遠くを歩いていると 

 あなたが呼びかけても 何を言っているのか聴こえない

 そしてこう言う ”ゆっくり行って 僕が遅れてしまうよ” 

 秒針が動く

 

    あなたが迷った時は見てみて 私がいるから

 何度も何度でも

 あなたが倒れたら 私が捕まえる 待っているわ

 何度も何度でも

 

 私の想像が消えたあと 闇は白みはじめて

 窓の外を見ながら あなたは私が大丈夫が気にかけている

 心の深いところから盗まれた記憶

 ドラムは調子っぱずれのビートを刻む

 

 あなたが迷った時は見てみて 私がいるから

 何度も何度でも

 あなたが倒れたら 私が捕まえる 待っているわ

 何度も何度でも

 

 あなたは言った ゆっくり行って 僕が遅れてしまう

 秒針が進む

 

 あなたが迷った時は見てみて 私がいるから

 何度も何度でも

 あなたが倒れたら 私が捕まえる 待っているわ

 何度も何度でも                  ” (拙訳)

 

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 シンディ・ローパーニューヨーク州ブルックリン生まれで1970年代から音楽活動を始めていました。

   1979年から82年まで活動していた” BLUE ANGEL”というバンドは当時の流行を反映した、ニューウェイヴと60年代ポップスをミックスさせたようなバンドでした。

 

フィル・スペクター調のシングル「I Had a Love」


Blue Angel (Cyndi Lauper) - I Had A Love (Official Video)

 リー・マン&シンシア・ワイル作、オリジナルはフランキー・レインで大ヒットさせたのはジーン・ピットニーの「I'm Gonna Be Strong」(シンディは1994年に再カバーしています)


Blue Angel (Cyndi Lauper) I'm Gonna Be Strong on German TV (1980)

 マン&ワイルの朗々と歌い上げる曲をセレクトするあたりは、当時の他のバンドとセンスが一味違っていたようですね。外見では奇をてらいながらも、音楽は正攻法、という彼女のスタイルは最初から一貫していたようです。

 

 このブルー・エンジェル解散後、ソロで活動していたのをデヴィッド・ウルフという人物が気に入りマネージャーになり、彼が売り込んだ結果、彼女はメジャー・デビューを果たします。

 彼女をプロデュースすることになったのがリック・チャートフ。アリスタ・レコードのクライヴ・デイヴィスの元でA&Rをやっていた人で、彼のプロデュース作にはエア・サプライの「ロスト・イン・ラヴ」があります。

 コロンビア・レコードに移っていたリックは、シンディを手がけるにあたり、かつてのバンド仲間で大学時代のルームメイトでもあったロブ・ハイマンに協力を要請しました。

 ロブ・ハイマンはこの時期”フーターズ(The Hooters)”というバンドを結成し1985年にメジャー・デビューします。

 そしてアルバムがほぼ完成したかに思えた頃、リック・チャートフはもう1曲必要だと言い出したそうです。

 それで、シンディとロブはレコーディング後にスタジオに二人で残って、ピアノの前でいろんなアイディアをカセットに録音していきました。

 

 最初はレゲエ風のリズムがある感じだったそうです。サビのメロディが浮かび、そのあとAメロが浮かんできたといいます。

 

「一見シンプルな歌なんだ。Aメロは3つの音階のモチーフを繰り返しているだけのようなものだし、ほとんど動揺みたいに、とてもシンプルな歌なんだ。そして僕たちは何か特別なものを作っていることに気づいたんだ。歌詞の雰囲気は二人両方から出てきた。

シンディがまず入ってきて、歌詞の流れを作り始めたんだと思うんだけど、突然、この曲はそんなに弾むような曲ではなくて、もう少しほろ苦くて、もっと深い心情を描いた、もっと切ない曲だと気づいたんだ。だからメロディも少し変えてちょっとしたブリッジ・セクションを書いて、本当に最後に書いたのはサビだったと思う。Time After Timeというフレーズが決まっていたから、それを囲むような言葉を考える必要があったんだ。」

                     (ロブ・ハイマン  Songfacts)

 「タイム・アフター・タイム」というタイトルは、シンディが雑誌「TVガイド」を見ていた時に、1979年の映画「タイム・アフター・タイム」について書いてあって、そこからタイトルにしようと思ったそうです。

 その映画自体はタイム・トラベルものなので、あくまでもタイトルだけで、歌詞には全く反映されてはいません。

 

 本人たちもスタッフもこの曲に手応えを感じてデビュー・シングルにする話もあったそうですが、シンディがバラード・シンガーのイメージを避けたい(ブルー・エンジェルはニュー・ウェイヴ・バンドなのにバラードを歌って失敗したので、それで懲りたのでしょうか?)ということで、まず「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン(旧放題は、ハイスクールはダンス・テリア)」をファースト・シングルになりました。

 

 このジャッジは功を奏したのでしょう。インパクトは絶大でも一発屋的匂いもしていた「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」のあとに、この曲を出すことで、シンディーローパーのアーティストとしての本物感がしっかり伝わったように思えます。

 この時、彼女はもう31才で、なんとしても成功しなければいけない、と強く思っていたのかもしれません。

 

  スタンダードになっているこの曲は、本当にたくさんのアーティストがとりあげていて、中でもマイルス・デイヴィスが有名ですが、僕が好きなのは1988年のタック&パティのカバー。これも当時FMで耳にしましたね。


Time After Time

 

 

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