まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「Spirit of Love」ジョニー・ヘイツ・ジャズ(2020)

 おはようございます。

 今日はジョニー・ヘイツ・ジャズの「Spirit of Love」です。


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Can you hear the crying
Of a world in so much pain?
I look up to the heavens
But nothing seems to change
I want to feel there’s something more
to life than all this hate and war

What the World is waiting for
What the World is waiting for

It’s the Spirit Of Love that we need now
It’s the Spirit Of Love
It’s the Spirit Of Love that we need now
It’s the Spirit Of Love

Far too many suffer
In a world consumed by greed
While others show no mercy
To justify their creed
But there’s a time I’m dreaming of
When all of us can live on love

It’s a world worth fighting for
It’s a world worth fighting for

It’s the Spirit Of Love that we need now
It’s the Spirit Of Love
It’s the Spirit Of Love that we need now
It’s the Spirit Of Love
It’s the Spirit Of Love that we need now
It’s the Spirit Of Love

It’s the Spirit Of Love that we need now
Spirit Of Love
It’s the Spirit Of Love that we need now
It’s the Spirit Of Love
Woo ooh the Spirit Of Love
What we need now
Is the Spirit, the Spirit Of Love
What this world is crying out for

More love, more love
That’s what we need now
The Spirit Of Love
Is love, love, love
What the World’s crying out for
What the World is crying out for
Is the Spirit Of Love
Spirit Of Love
What we need now
What we need now
Is the Spirit Of Love

 

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たくさんの痛みに満ちた世界の

泣き叫ぶ声が聞こえるか?

天国を見上げても

何も変わるようには見えない

こんな憎しみや戦争などより

もっと人生に何かがあることを

僕は感じたい

 

世界が待っているのは

世界が待っているのは

 

それは愛のスピリット 僕らが今必要な

それは愛のスピリット

それは愛のスピリット 僕らが今必要な

それは愛のスピリット

 

強欲に消費された世界で

あまりにたくさんの人が苦しんでいる

自分の信条を正当化するために

誰も慈悲を示さないんだ

だけど、僕らが夢見る時代がある

僕らすべてが愛の元に生きることのできる時が

世界が待っているのは

世界が待っているのは

 

それは愛のスピリット 僕らが今必要な

それは愛のスピリット

それは愛のスピリット 僕らが今必要な

それは愛のスピリット、、、、

 


それは愛のスピリットなんだ

世界が泣き叫んで求めているものは

 

もっと愛を、もっと愛を

それが僕たちに今必要なもの

愛のスピリット、、

             (拙訳)

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 渋谷、広島、京都など日本で撮影された映像で作られたビデオ・クリップです。彼らは2018年に来日公演を行っているので、その時撮影したのでしょう。

 

  ジョニー・ヘイツ・ジャズはクラーク・ダッチェラー、マイク・ノシート、カルヴィン・ヘイズの三人でロンドンで結成され、1986年にデビューしています。

 バンド名はメンバーのマイクの義理の弟のジョニーがジャズが嫌いだったことからつけられたそうです。

 ボーカルでメイン・ソングライターであるダッチェラーは父親がスターゲイザーズというイギリスでNO.1ヒットをいくつも持つグループのメンバーで、ビートルズフランク・シナトラのコーラスもつとめたことのある人物でした。

 

  クラーク・ダチェラーはまだ17歳のときに(1981年)「You Fooled Me Once Again」という自作の曲でソロでデビューしています。バックの演奏には日本でもすごく人気のあったレゲエ・バンド”アスワド”のドラミー・ゼブとジョージ・オバーンが参加していたそうです。

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  そして、クラークはカルヴィン・ヘイズなどと”HOT CLUB"というバンドを組んだそうですが、そこで彼に目をつけたのが、このブログでも何度か登場していますが、ドノヴァンやアニマルズなどを手がけたミッキー・モスト。なんとカルヴィンは彼の息子だったんですね。

 ミッキーは自分が所有するRAKレコード所属のソロ・アーティストとして彼と契約し、自分のスタジオのエンジニアだったマイク・ノシートと作業をさせます。

 あるとき、カルヴィンとマイクが作った曲を歌うシンガーの都合が悪くなり、代わりにクラークが歌うことになったため、そのまま三人組としてデビューすることになったようです。

 

 そのデビュー曲「Me and My Foolish Heart」こそ不発で終わりましたが、そのあとの「シャタード・ドリームズ」(全英5位、全米2位)、「反逆のヒーロー (I Don't Want to be a Hero)」(全英11位 全米31位) 、「ターン・バック・ザ・クロック」(全英12位)とヒットを連発します。

 

「SHATTERED DREAM」。この曲をクラークが部屋で仕上げているのを耳にしたクラークの父は”おまえは何かをつかんだね。初めてのヒット曲を書きあげたようだ”と言ったそうです。

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「反逆のヒーロー (I Don't Want to be a Hero)

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「ターン・バック・ザ・クロック」

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  80年代らしいエリクトリックなサウンドにほのかに甘みのある哀感が感じられるメロディが乗り、日本人好みでもあったわけですが、歌詞は「シャタード・ドリームズ」が切実な失恋を、「反逆のヒーロー 」はシリアスな反戦、「ターン・バック・ザ・クロック」は現実に失望し過去に戻履帯と願う内容で、シリアスで苦味の強いものが多い印象があります(イギリスのアーティストはそういう傾向が強いですが、、)。

 

 バンドの人気がまだ高かった1988年にクラークが脱退します。彼は反戦などシリアスな歌を歌っていましたが、より社会的な内容を歌うべきだと感じて、ジョニー・ヘイツ・ジャズではそれができないと思ったようです。バンドは別のメンバー(元ザ・キュアーのベーシスト、フィル・ソーナリー)を入れ活動を続けますが、ヘイズが交通事故で大ケガを負ったこともあり結局解散してしまいます。

 

 2007年にはカルヴィン・ヘイズとマイク・ノシートがボーカリストのダニー・サクソンを加えて再結成、2009年にはクラーク・ダッチェラーも復帰します。

 

 2010年に今度はヘイズが脱退し、現在はノシートとクラークの二人組になり、2013年にアルバム「Megnetized」をリリース、そしてそれから7年ぶりになる2020年に発表された新曲がこの「Spirit of Love」だったのです(アルバム「Wide Awake」収録)。

   曲の歌詞を読むと、コロナ禍の世界を反映させたものだと思えますが、もっと前に書かれていて、冒頭のビデオクリップにも撮影されているように、2018年の来日公演で初めて披露された曲だったそうです(ロックダウン中にファンから”Spirit of Love"というテーマで写真や動画を集めてMVを編集しました)。

 

 クラークは自分に影響を与えた曲の一つにアイズレー・ブラザーズの「ハーヴェスト・フォー・ザ・ワールド」をあげて、こうコメントしています。

「まだ僕が若かったころ、アイズレー・ブラザーズを聴いて、ポップなメロディーとグルーヴで、グローバルな社会問題を真剣に唱える方法を学んだよ。この曲はいつ聴いても最高だ!」

              (ビルボード・ジャパン

 

 ”ポップなメロディーとグルーヴで、グローバルな社会問題を真剣に唱える方法”

この「Spirit of Love」にも、同じ手法を感じます。

 

 それでは最後にその「ハーヴェスト・フォー・ザ・ワールド」を。

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Wide Awake

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