まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲を選曲しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ベスト・オブ・マイ・ラブ(Best Of My Love)」エモーションズ(1977)

 おはようございます。

 ディスコ・ヒットで、後の世代から再評価されたもののなかに”スウェイ・ビート”なる日本製の呼称をつけられたものがありました。

 その”スウェイ・ビート”の元祖がこの「ベスト・オブ・マイ・ラブ」です。

 しかし、いったい”スウェイ・ビート”って誰がつけた名前なんでしょう?僕が雑誌で初めてその呼称を見たのは90年代の終わりくらいだったでしょうか。

 なんせ、ただでさえジャンルなんて主観的なもので、客観的で厳密な基準はないわけですが、強いて言えば”スウェイ・ビート”とは「ベスト・オブ・マイ・ラブ」っぽいものということでしょうか。

 ”スウェイ”(Sway)は”前後左右に揺れる”という意味です。

「ベスト・オブ・マイ・ラブ」の特徴は、ドラムスが基本四つ打ちで2拍目と4泊目にアクセントがきます。そのジャストなリズムの上に、ベースだけじゃなく、ギターやブラスやコーラスが、リズムのアクセントを巧みにずらしてのっかっていきます。そのずらし方、すなわち”揺れ方”が気持ちいい、だから”スウェイ・ビート”ということじゃないでしょうか。

 ちなみに、同じ2拍4拍にアクセントがある四つ打ちで、ベースはファンキーだけど、他の楽器はあまりリズムをずらしていない、パトリース・ラッシェンの「フォーゲット・ミー・ノッツ」みたいなのは”ブギー”とか”ディスコ・ブギー”と呼ばれるようです。

 

  エモーションズはシカゴ出身の女性3人組。1962年結成といいますから、この曲が大ヒットするまで15年かかったわけですね。モーリス・ホワイト率いるE.W&Fのバック・アップを得ることでブレイクしたわけです。

 

 曲を書いたのはモーリス・ホワイトとE.W&Fのギタリスト、アル・マッケイ。そう、あの「セプテンバー」を書いた組み合わせです。

 そして、「セプテンバー」のように、この曲もアルがギターによるベーシックなグルーヴとコード進行を作り上げてから、モーリスが参加して仕上げたんじゃないかと、僕は推測します。

  モーリスは、この曲は当初からE,W&F用じゃなく、エモーションズにぴったりなポジティヴなフィーリングを表現するスタイルで書いたと言っています。

 確かにこの時期のE,W&Fは、神秘的でやや仰々しい(?)感じの真っただ中なので、こんなにわかりやすい曲はやらなかったでしょう。

 (彼らがもっと親しみやすくなったのは「セプテンバー」以降です)

  かえって、自分たちのバンドのときほど力まずに曲を作れたことが、かえって良かったのかもしれないですね。

 あらてめて、「ベスト・オブ・マイ・ラブ」を聴き直して思うのは、イントロのブラスのあとの、アルのギターを聴くだけでもうすでに、気持ちいい揺れを感じます。

「セプテンバー」のイントロも彼のギター。アル・マッケイは万人が気持ちよくなる”魔法のグルーヴ”を作れる人だったのかもしれません。

 


THE EMOTIONS ❖ Best of My Love【music video】

 この曲を露骨なまでになぞったマライア・キャリーの大ヒット曲(しかもタイトルが「Emotions」とは!)。作ったのは”エヴリバディ・ダンス・ナウ!”(「Gonna Make You sweat」)のC+Cミュージック・ファクトリーの二人。当時モーリス・ホワイトは、これはただのサンプリングじゃなく、曲全体を盗まれたようなもんだから、訴えてやると言ったというコメントも見つかりましたが、確か訴訟にはならなかったような、、。ちなみに僕は当時レコード会社の宣伝マンとしてこの曲をプロモーションしてましたが、ほんとに飛ぶように(?)オンエアされました。

 


Mariah Carey - Emotions

 

Best of My Love

Best of My Love