まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「宇宙のファンタジー(Fantasy)」アース・ウィンド・アンド・ファイアー(1977)

 おはようございます。

 今日はアース・ウィンド・アンド・ファイアーの「宇宙のファンタジー」です。


Earth, Wind & Fire - Fantasy (Audio)

Every man has a place
In his heart there's a space
And the world can't erase his fantasies
Take a ride in the sky
On our ship fantasies
All your dreams will come true right away

And we will live together
Until the twelfth of never
Our voices will ring forever as one

Every thought is a dream
Rushing by in a stream
Bringing life to your kingdom of doing
Take a ride in the sky
On our ship fantasies
All your dreams will come true miles away

Our voices will ring together
Until the twelfth of never
We all will love forever as one

Come to see victory
In a land called fantasy
Loving life a new degree
Bring your mind to everlasting liberty

As one
Come to see victory
In a land called fantasy
Loving life for you and me
To behold to your soul is ecstasy
You will find other kind
That has been in search of you
Many lives have brought you to
Recognize it's your life now in review

As you stay for the play
Fantasy has in store for you
A glowing light will see you through
It's your day shining day
All your dreams come true

As you glide in your stride
With the wind as you fly away
Give a smile from your lips and say
Are you free yes I'm free
And I'm on my way

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 ”誰にでも一つの場所がある

   心の中にその宇宙はある

   世界は人間のファンタジーを消すことなんかできない

      さあ、僕たちのファンタジーという船で空に飛び立とう

   君の夢はすべて、今すぐにでも実現するんだ

 

      そして僕たちは共に生きてゆく

    いつまでも

       僕たちの声は一つになって永遠に鳴り響く

 

  あらゆる思考は 急いで流れてゆく一つの夢になる

  君の”行動の王国”に生命を吹き込みながら  

  さあ、僕たちのファンタジーという船で空に飛び立とう

     君の夢はすべて叶う、遥かな場所で

 

  そして僕たちの声は一つになって鳴り響く

     いつまでも

        僕たちはみな永遠に愛し合う ひとつになって

 

  勝利を見にくるんだ ファンタジーという名の国で

  新たな気持ちで人生を愛するんだ

  君の心を永遠に続く自由へと解き放つんだ

 

  ひとつになって

  勝利を見にくるんだ ファンタジーという名の国で

  君と僕との人生を愛しながら

       しっかり見つめて、魂で感じることはエクスタシー

  君のことをずっと探していた別の自分と出会うだろう

  今振り返って たくさんの命のおかげで 

  自分の人生があることに気づくだろう

  

  ファンタジーが君のために用意した

  この劇の中にいる限り

        輝く光が君を最後まで見守ってくれる

  君のための日 輝ける日

  君の夢が全て叶う

 

        飛び上がり 風に乗り 苦もなく滑空しながら

  唇に微笑みを浮かべて 言うんだ

  自由かい?僕は自由さ 僕は夢に向かってゆく  ”  (拙訳)

  

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  E,W&Fが日本で大ブレイクを果たしたのがこの曲でした。

  壮大なスケールで、仕掛けに満ちたすごいショーをやるグループだ、と当時日本のTVでも紹介していて、そこでこの曲が流れていたのをおぼえています。

 歌詞には「a Space」と出てきますが、読んでみると銀河の宇宙ではなく内的な精神世界というニュアンスで使っているようなんですが、「宇宙のファンタジー」というタイトルはすごくしっくりします。

 その後時とともに「セプテンバー」が彼らの代表曲になりましたが、僕はしばらくこの「宇宙のファンタジー」が彼らの代名詞的な曲だという印象を長く持っていました。

 

 しかし、調べてみるとアメリカでは最高32位と、絶頂期の彼らの勢いからしたらちょっと”コケて”いたシングルだったんですね。しかも、アルバム「太陽神(ALL'N ALL)」からの最初のシングルじゃなく、2番目のカットでした。

 

 最初のシングルは「太陽の戦士(SEPENTINE FIRE)」でした。


Earth, Wind & Fire - Serpentine Fire (Official Video)

  

 やはり、あらためて聴き比べても、「太陽の戦士」より「宇宙のファンタジー」が日本でウケたのはよくわかるような気がします。

 メロディアスであり、そのラテン風のメロディ・ラインに日本人が好きな”哀感”がありますよね。

 オリコンの洋楽チャートでは1位になり、当時の日本のレコード会社の担当者によると、当時ディスコでも大人気で”ファンタジー・ダンス”なるものが生みだされていたようです。

 

 2012年の彼らの来日に合わせて曲の人気投票をやったそうですが、その結果、1位はやはり「セプテンバー」でしたが、「レッツ・グルーヴ」や「ブギー・ワンダーランド」を抑えてこの曲が2位と、相変わらず根強い人気を得ていました。

 

 また、興味深いのはイギリスやスウェーデンなど、それまでまだE,W&Fがブレイクしていなかった国では、この曲がヒットしていることです。ことR&Bに関しては、日本人の嗜好性は、アメリカよりイギリス人と割合似ていることが多い、というのが僕の認識でもあります。

 

 そして、あらためてこの曲の歌詞を読んでみて、明確で普遍的なメッセージ性の強さに気づきました。

 かつて、作者でバンドのリーダー、モーリス・ホワイトが「メロディ・メイカー」誌のインタビューでこう語っています。

「”宇宙のファンタジー”という曲は、偽りに満ちた世界、不公平な世界、とても利己的で人を妬むような世界で生きているということからの現実逃避がその動機となっていて、誰もが自身のファンタジーの世界に逃げることができるということなんだ。そういう場を人々と分かちあうための曲を書く必要があった。現実から脱出するメカニズムなんだ」

 

また、BS-TBSの音楽番組「SONG TO SOUL」でこの「宇宙のファンタジー」を特集した際のインタビューでは、モーリスは曲が先にできたが、歌詞がなかなか書けなかったのが、知人と一緒に映画「未知との遭遇」を見て感銘を受け、ホテルに戻って歌詞を一気に書いたと語っています。

 う〜ん、やっぱり「宇宙のファンタジー」で正解だったんですね。日本の担当者の方エライ。

 また、この曲のエンジニアのジョージ・マッセンバーグは、「セプテンバー」などはストレートに作ったが、「宇宙のファンタジー」はダビングを何度も重ね、ディテールにこだわったものだと語っています。

 ”サウンドでピラミッドを作りたかった”とモーリスがいう通り、ストリングス、管楽器様々な要素をたくさん録音し、思いついたパートをどんどん追加していったそうで、それをまとめあげることに彼はかなりの労力を注いだようです。

 そして日本でこの曲が大ヒットしたことを知らされたジョージが、「宇宙のファンタジー」はロックとは違ってディテールに満ちた音楽で、それを日本人流に理解したのではないか、と語っていたところは興味深いことでした。

 確かに、哀愁味のあるメロディだけでなく、繊細で作り込まれたサウンドというのも

日本人にウケた大きな要因だったのかもしれません。

 

 最後に意外なカバーを。ジャニーズ初期の大人気グループ、フォー・リーブスがやっています。

アース・ウィンド・アンド・ファイアーのリリースからそれほど遅れずにシングル発売されています。同じレコード会社(CBSソニー)なので、連携をとったのでしょう。(昔はそういう手法がよく使われていました)


宇宙のファンタジー - フォーリーブス

 この曲をフォーリーブスがわざわざ歌わなくても、と思わなくもないですが、。

メンバーの北公次日本語詞を書いたそうですが

 歌のBセクションで,,,Together,,, Never,,,Forever というパートに

たどりつけば、 見つければ 、星の夜飛べば としっかり韻で合わせているところになんか少しグッときました。

 

 

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