まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます

「リーチ・アウト・アイル・ビー・ゼア(Reach Out I'll Be There)」フォー・トップス(1966)

 おはようございます。

   今日はフォー・トップスの「リーチ・アウト・アイル・ビー・ゼア(Reach Out I'll Be There)」です。


Reach Out I'll Be There

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Now if you feel that you can't go on
Because all of your hope is gone,
And your life is filled with much confusion
Until happiness is just an illusion,
And your world around is crumblin' down;
Darling, reach out (come on girl, reach on out for me)
Reach out (reach out for me.)
I'll be there, with a love that will shelter you.
I'll be there, with a love that will see you through.
I'll be there to always see you through.

When you feel lost and about to give up
'Cause your best just ain't good enough
And you feel the world has grown cold,
And you're drifting out all on your own,
And you need a hand to hold:
Darling, reach out (come on girl, reach out for me)
Reach out (reach out for me.)
I'll be there, to love and comfort you,
And I'll be there, to cherish and care for you.
I'll be there to love and comfort you.

I can tell the way you hang your head,
You're without love and now you're afraid
And through your tears you look around,
But there's no peace of mind to be found.
I know what you're thinkin',
You're alone now, no love of your own,
But darling, reach out (come on girl, reach out for me)
Reach out (reach out for me.)
Just look over your shoulder
I'll be there, to give you all the love you need,
And I'll be there, you can always depend on me.

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今もし君が 望みが全部消えてしまったから

もうこれ以上進めないと感じているなら

そして、幸せは幻だって思えるまで

人生が無茶苦茶になってしまったなら

そして、君のまわりの世界が崩れ落ちたなら

ダーリン、手を伸ばすんだ(さあ、僕に向かって手を伸ばすんだ)

手を伸ばすんだ(僕に手を伸ばすんだ)

僕はそこに駆けつけるから 君を守る愛とともに

僕はそこにいるから 君を支える愛とともに

僕は君を最後まで助けるためにそこにいるよ

 

君がベストを尽くしてもそれが全然足りなくて

途方に暮れてあきらめそうになったとき

そして、世界が冷たくなってゆく感じがするとき

そして、ひとりぼっちでさまよっているとき

そして、誰かの手を握りたいときは

ダーリン、手を伸ばすんだ(さあ、僕に手を伸ばすんだ)

手を伸ばすんだ(僕に手を伸ばすんだ)

そこに駆けつけるよ 

君のことを愛し、慰めるために

僕はそこにいるから 君のことを大切に思いやるために

僕はそこにいるよ 君を愛し、気持ちを楽にしてあげるために

 

僕にはわかるんだ どんな風に君がうなだれているのか

愛もないまま、いま君は怖れている

そして、涙が浮かんだ目で見渡してみても

心の安らぎは見つけられない
僕は君が何を思っているのかわかるよ
君はいま一人ぼっちで 愛する人もいない

だけどダーリン、

手を伸ばすんだ(さあ、僕に手を伸ばすんだ)

手を伸ばすんだ(僕に手を伸ばすんだ)

ただ振り返って見るだけでいい

僕はそこにいる 君が求めている愛を捧げるために

僕はそこにいるよ いつだって僕を頼ってくれればいいんだ

                         (拙訳)

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   ”ボブ・ディランのように歌え”

 

 1960年代のモータウンで、テンプテーションズのライバル・グループだったフォー・トップスは、品が良くおしゃれなテンプテーションズとは違い、エネルギッシュで勢いのあるスタイルが売りでした。

  モータウンのアーティストを集めて全米をツアーした「モータウン・レヴュー」ではフォー・トップスはケンカ腰でテンプテーションズを食ってやろうと必死にライヴをやったといいます。テンプスのほうは振り付けを一段と大きくして見せつけたそうで、踊りが得意ではないフォー・トップスは自己流でパワーで押したようです。ボクシングでいえばモハメド・アリジョー・フレイジャーの一戦みたいですね(古すぎますか、、)。

 メンバーでも特に闘争心むき出しだったのが、メイン・ヴォーカルのリーヴァイ・スタッブスだったそうで、やはりフォー・トップスといえば何と言っても彼のヴォーカルが最大の魅力でした。

 

  デトロイトの同じ高校にかようメンバーで結成したフォー・エイムズが発展したのがフォー・トップス。1956年にチェス・レコードと契約しますが売れず、長い間バック・コーラスをメインとする下積みを重ねていました。

 メンバーのいとこがソングライターで、ベリー・ゴーディと一緒に仕事をしたことがあったことから、ベリーの招きでモータウンのジャズ・レーベルにジャズ・グループとして契約することになります。しかし、世の中でジャズが売れなくなってきたことをリサーチしたベリーは、彼らが録音したジャズ・レコードをお蔵入りさせ、あらたに、作家チーム”ホランド=ドジャー=ホランド”の作るポップ・ソングを歌わせる方針に変えます。

 

 そして、再デビュー曲「ベイビー、アイ・ニード・ユー・ラビング」(1964年全米11位)がいきなりヒットを記録します。


Baby I Need Your Loving

 そして、彼らはホランド=ドジャー=ホランドのもとで、「アイ・キャント・ヘルプ・マイセルフ(シュガーパイ、ハニーバンチ)」(1965年全米1位)が大ヒットします。


I Can't Help Myself (Sugar Pie, Honey Bunch)

 続く「イッツ・ザ・セイム・オールド・ソング」(同全米5位)もヒットしますが、その後失速してゆき、一度はまだ16歳のスティーヴィー・ワンダーが共作した曲もリリースしましたが上手くゆかず、もう一度ホランド=ドジャー=ホランドがトライすることになります。

  ホランド=ドジャー=ホランドは、キャッチーでロマンティックなポップ・ソングをたくさん書いてヒットさせていましたので、この時期何か新しいものを求めていました。

 ラモン・ドジャーはこう語っています。

 

「このケースでは、僕はマインド・トリップ、テンションが持続する感情の旅、ボレロみたいなものを創り出したかった。それを伝えるために曲のキーを変えているんだ。マイナーなロシア調のAメロからメジャーでゴスペル調のサビにかわるときに」

  (THE  WALL STREET JOURNAL

ボレロみたいなもの、が念頭にあったというのは驚きですね。

そしてもう一つ、意外なアーティストからインスパイアされていることがわかりました。

 

「66年当時、私たちはボブ・ディランをよく聴いていました。彼は詩人であり、そして、『ライク・ア・ローリング・ストーン』での彼のトーク・シンギング・スタイルにインスパイアされました。ディランは特別で、私たちが尊敬する人でした。彼の歌詞の複雑さや、ところどころでセリフを話したり歌ったりするところが好きでした。『リーチ・アウト・アイル・ビー・ゼア』の歌詞を、ディランへの感謝の証明として、リーヴァイに叫んで歌ってもらいたかったのです」

 (THE  WALL STREET JOURNAL

 ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」にインスパイアされた、というのも驚きです。

 そして、ヴォーカルのリーヴァイのシャウトを引き出すために、ドジャーとホランドたちは曲のキーを彼の声域の上限ギリギリに設定したそうです。

 そして、エディ・ホランドはリヴァイにボブ・ディランのように歌えと言ったそうです。

 リーヴァイは最初は嫌がって"俺は歌手だ。喋ったり叫んだりはしない”と言っていたそうです。しかし、彼らは2時間ほどかけて、喋る部分と喋らない部分を分けて録音していきました。

 

 メンバーのディック・ファキールはこう回想しています。

「エディは、リーヴァイが声域の上限に達したときに、誰かが傷ついているように聞こえることに気づいて、そこまで歌わせたんだ。リーヴァイは文句を言っていましたが、私たちは彼がすごく気に入っているのがわかったよ。彼らが上限まで行ったと思うたびに、彼はもう少し先まで声を出したんだ、その声の中に涙が聞こえるまで」

 (THE GUARDIAN)

  声の中に涙が聞こえる、というのは見事な表現ですね。

 

 この曲のレコーディングが終わっても、メンバーはアルバム用の実験的だととらえていたそうです。しかし、ベリー・ゴーディだけはこの曲が売れると即断し、彼らに「税金のことに気をつけておくんだぞ、おまえたちにとって最大のヒットレコードをリリースすることになるんだから」と話し、それに対して彼らはどうかシングルにしないでくれとお願いしたといいます。

 フタを開けみたら、ベリーのいうとおり最大ヒットになり、彼らは今後何をシングルにするかは自分たちに相談しなくてもいい、とベリーに話したそうです。

 

  エドサリヴァン・ショー」でのパフォーマンス、”真っ向ストレート勝負”という彼ららしさがよく出ています。


Four Tops "Reach Out I'll Be There" on The Ed Sullivan Show

 

 さて、最後はこの曲と同じ路線だった次のシングル「Standing in the Shadows of Love」。僕は昔からこの曲好きなんです。ロッド・スチュワートもカバーしていました。


Standing In The Shadows Of Love

 

 フォー・トップスの最初の大ヒット。全米オンエア数はR&B作品では史上1位

popups.hatenablog.com

 

 

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