まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「マサチューセッツ(Massachusetts)」ビー・ジーズ(1967)

 おはようございます。

 今日はビー・ジーズの「マサチューセッツ」です。


Massachussetts

Feel I'm goin' back to Massachusetts
Something's telling me I must go home
And the lights all went out in Massachusetts
The day I left her standing on her own

Tried to hitch a ride to San Francisco
Gotta do the things I wanna do
And the lights all went out in Massachusetts
They brought me back to see my way with you

Talk about the life in Massachusetts
Speak about the people I have seen
And the lights all went out in Massachusetts
And Massachusetts is one place I have seen

I will remember Massachusetts

 

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 マサチューセッツに戻りたくなった

   家に帰るんだと僕に言う声がするんだ

   マサチューセッツの灯りが全部消えてしまった

   僕が彼女を一人残していったあの日  

 

   サンフランシスコまでヒッチハイクしようとした

   自分のやりたいようにやりたかったから

   マサチューセッツの灯りは全部消えてしまった

   君と一緒だったころに僕を連れ戻すんだ

 

   マサチューセッツでの暮らしについて話すよ

   僕が出会った人々のこともね

   マサチューセッツの灯りは全部消えてしまった

   マサチューセッツこそが僕の知るたったひとつの場所

 

   僕はこれからもマサチューセッツのことを思うだろう  ”(拙訳)

      

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 彼らのウェブサイトにはこの「マサチューセッツ」についてこういう記述があります。

 

ビージーズにとって初めての全英1位は、もともと自分たちのためではなく、シーカーズのヒット曲を書きたいというギブ兄弟の夢を叶えるために作られたものだった。バンドはロンドンに到着したときにこの曲をシーカーズに渡すことができなかったので、最終的に自分たちでレコーディングすることにした。

 彼らは自分たちのチャレンジとして、ニューヨークの港でボートに乗っている間にこのシングルを書いたという。ロビン・ギブは『The Art of Noise』の著者ダニエル・レイチェルに、自分たちにとって良い練習になったと説明している。彼らはこれまでマサチューセッツに行ったことがなかった。マサチューセッツ州の名前には「S」が多く含まれていて、それが曲のタイトルをめずらしいものにした」

                   (Behind the Track)

 

 シーカーズはビージーズと同じオーストラリア出身のグループ。この「マサチューセッツ」と同じ1967年に「ジョージー・ガール」という全米2位まで上がる大ヒットをリリースしています。 

www.youtube.com

 

 さて、マサチューセッツはご存知の通り、ボストンを州都とするアメリカ北東部の州の名前なんですが、実はこの曲、アメリカ以外の国のほうが大ヒットしているんですね。

 「サンフランシスコまでヒッチハイクしようとした。 自分のやりたいようにやりたかったから」という、ヒッピー文化の聖地サンフランシスコへ各地から若者が集まったという当時のアメリカの世相を反映させた歌詞まで入れているのに、、です。その歌詞とは関連のない他の国の方が盛り上がったんです。

 

 全米チャートでは最高11位、しかし、イギリス、ドイツ、スウェーデンオーストリア、オランダ、ノルウェイニュージーランド南アフリカなどで1位、カナダ、オーストラリア、デンマークアイルランド、スイスなどで2位、フランスで4位、イタリアで5位という風に世界中で大ヒットしました。

 

 そして、それより僕がびっくりしたのは、この曲が日本でもビー・ジーズの最大のヒットになっていたということです。

 オリコンではじめて1位になった洋楽曲がこの「マサチューセッツ」だったそうです。2位が伊東ゆかり、3位が小川知子という、その頃の歌謡曲の人気女性歌手を押しのけてのトップでした。

 

 日本でのシングル売り上げ総数は51万7千枚といいますから本当に大ヒットです。ビー・ジーズの日本での最大のヒットは、当時社会現象にまでなった「小さな恋のメロディ」(「メロディ・フェア」と「若葉のころ」の両A面)(45万4千枚)でも「恋のナイトフィーバー」(37万枚)でもなかったんです。

  

 「マサチューセッツ」がどうして日本でヒットしたのか、何がきっかけでどんな風にして日本中に広まったのか興味があるのですが、ネットではそれがわかる記述が見つかりませんでした。もし何かご存知の方はぜひ教えてください!

 

 

 さて、流行歌、ポピュラー・ミュージックの世界では、特定の地名を入れたほうが、それが”とっかかり”になって説得力が増すということがよくあります。

 (演歌のご当地ソング(「函館の女」「長崎は今日も雨だった」、、)もそれがあてはまるのかもしれません)

  それは、単にキャッチーな曲だけじゃなく、情感に訴えるバラードでもそれはあてはまるようです。

 グレン・キャンベルの「恋はフェニックス」もそのいい例でしょう。フェニックスにもオクラホマにも行ったことはない人でも、抵抗なく共感できるわけです。

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 この「マサチューセッツ」も歌詞を読むと、普遍的な”望郷の歌”だとわかります。でもたとえば、マサチューセッツのところの歌詞を、”マイ・ホ〜ム・タウン”とかにしてしまうと、イメージが漠然としてしまって、掴みどころがなくなってしまう気もします。 

  かといって具体的な地名ならどこでもいいかと行ったら、そうでもなさそうな気もします。

 マサチューセッツは文字上でSが多くてめずらしいタイトルだった、とビー・ジーズのウェブにもありましたし、何か引っかかる感じは必要なんでしょう。逆に突飛すぎても、曲の情感を妨げる気もしますし。また、狙いすぎてもいけないようにも思います。

 ここはもう、インスピレーションなんでしょうね、、。

 

マサチューセッツ」が収録されたビー・ジーズのセカンド・アルバム

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