まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「ニュー・ミステイク(New Mistake )」ジェリーフィッシュ(1993)

おはようございます。

今日はジェリーフィシュの「ニュー・ミステイク」です。


New Mistake

  ”カーテンが開いて スポットライトが紳士を照らし出す

  ラブレターにサインをする ”お幸せに おバカさん”

  セリフはオタマジャクシのように彼のペンから泳ぎだす

  彼はわかっていたんだ

  香水は引力のように彼を悲劇へと引き寄せることを

 

  愛は盲目、耳は聴こえず、口もきけない、だけど気にしない

 

  僕が転んだらつかまえるんだよ

  ローラースケートを履いているんだ

       どんなにみっともなく転んでも 君の腕の中におさまるんだ

  たとえそれが間違いでも 

  だって僕はこの新しい過ちを愛しているんだから

 

        幕間は奇跡にとってかわられた 

     思いがけない誕生は 壮大な光景へと変わっていった

  待ちきれなかったのだ 母親を3週間後を予定していたのに

  だからメイソン神父は十字架を強く握りしめた

  赤ん坊をウィスキーとリコリスで洗礼し

        なんて素敵な日だ 罪を虫歯に沈めるなんて

 

  僕たちのヒーローは転びそうだ

  弓は折れてしまいそうだ

  どんなにみっともなく転んでも

  君の腕の中さ 僕らの愛しき新しい過ちとともに

  眠らずに横たわっているように

 

        僕が転んだらつかまえるんだよ

        愛しのトランポリンさん

  どんなにみっともなく転んでも 君の腕の中におさまるんだ

  たとえそれが間違いでも 

  だって僕はこの新しい過ちを愛しているんだから

 

  長い年月が過ぎると 結末は悲劇に変わった

  赤ん坊へ成長し ポップシンガーと結婚した

  今度は彼女の番さ、最初の過ちをおかすんじゃないかな

 

        いつだって、どんな風に転んでも

         僕は新しい過ちと一緒に横たわるんだ 目覚めたまま ” (拙訳)

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Curtain opens, spotlights the gentleman
Signing his love letter  best wishes, Simpleton
Dialogue swam from his pen like pollywogs
He knew better that perfume was gravity
Pulling him closer to what could be tragedy

Love is blind, deaf and dumb, but never mind
You better catch me when I fall
I'm on my roller skates
Cause any ol' way that I fall
I land in your arms even though it's wrong
'Cause I love my new mistake

Intermission gave way to a miracle
The birth of an accident grew to a spectacle
That couldn't wait the mother was three weeks late
So Father Mason clutching his crucifix
Baptized the baby in whiskey and licorice
What a lovely way  drowning sins in tooth decay

Looks like our hero's gonna fall
The bow's about to break
'Cause any ol' way that I fall
I'll be in your arms as we lie awake
With our lovely new mistake


You better catch me when I fall
My sugar trampoline
'Cause any ol' way that I fall
I land in your arms even though it's wrong
'Cause I love my new mistake

The ending turned tragic when many years later
The baby had grown up and married a pop singer
I think it was her turn to make her first mistake
Any ol' time at fall
Any ol' way that I fall
I just lie awake with my new mistake

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 ニュー・ミステイク(新しい過ち)とは”恋”のことなんですね。

 恋に落ちることは、すなわち、新しい過ちをおかすことだ、と。かなり難しいひねくれた(?)フレーズがたくさん出てきますが、、。

 

 

   ジェリーフィッシュJellyfish)は、1989年にサンフランシスコで結成されたロックバンド。

 最初は、高校の同級生だったアンディ・スターマー(ドラムス、ボーカル)とロジャー・マニング(キーボード、ボーカル)の二人でスタートし、曲も彼らが書いています。

 そこにギターのジェイソン・フォークナーが加わりメジャー・デビューを果たします。

 ビー・ジーズのバリー・ギヴなどとプロデュース・チームを組んでビー・ジーズやアンディ・ギヴの数多くのヒット曲を手がけたアルビー・ガルテンは、エンジニアとして「フラッシュダンス〜ホワット・ア・フィーリング」など数多くのキャリアを誇るジャック・ジョセフ・プイグを雇い、二人でプロデュースすることになりました。

 

 デビューに際して急いでバンド名を決める必要があったときに、以前からふざけてひどいバンド名のアイディアを彼らにぶつけてくるレコード会社の人間がいたようで、彼のアイディアの中から、二人が最も我慢できるものとして”ジェリーフィッシュ”が選ばれたようです。

 

 デビュー曲は「The King Is Half-Undressed」。邦題は「半分裸の王様」でした。 


The King Is Half-Undressed

 

 この「ニュー・ミステイク」は彼らのセカンド・アルバム「こぼれたミルクに泣かないで(Spilt Milk)」からの二枚目のシングル。

  「こぼれたミルクに泣かないで」の制作前に、ジェイソン・フォークナーが脱退しています。音楽的な共通点はありましたが、アンディとロジャーの強固な音楽の世界とは、やはり相容れないところがあったようで、もっと自分の個性を発揮できる道を選んだようです。

 そして、アンディとロジャーは自分たちの音楽をより突き詰める方向に突っ走り、”スティーリー・ダンばり”にスタジオに長期間こもって、たくさんおミュージシャンを使うレコーディングを試み、作り上げたのがこのアルバムでした。

  

 アメリカのバンドなのに、ブリティッシュ・ポップの雰囲気が濃いように僕は感じました。

 アンディはこう語っています。

「僕はもともとELOやチープ・トリックに大きな影響を受けていたんだ。それからしばらくしてビートルズのアルバムを聴いて、”うわあ、こいつらなんてことしてるんだ?”って思ったんだよ」

 

 ビートルズ・フォロワーの影響を先に受けて、そのあとになって”本家を知った”というわけですね。

 

 あらためて、彼らのことを調べてみると、思った以上に海外では売れていないことがわかりました。

 アメリカのチャートに入ったシングルは1曲(「Baby's Coming Back」)で最高62位、イギリスは6曲入っていますが最高は「半分裸の王様」の39位なんです。

 

 彼らの全てを注ぎ込んだ「こぼれたミルクに泣かないで」も売り上げが伸びなかったことの影響は大きかったのでしょう、アンディとロジャーの関係もうまくいかなくなり、彼らはアルバム二枚だけで解散してしまいます。

 

 しかし、日本では彼らの人気が高く「ニュー・ミステイク」もFMでよく耳にしましたし、解散後も、日本のミュージシャンから彼らにさまざまなラヴ・コールが送られました。

 アンディは奥田民生の「コーヒー」や「悩んで学んで」などを共作したほか、パフィーの名付け親であり、彼女たちのアルバムのプロデュースも手がけています。

 YUKIの「プリズム」の作編曲、プロデュースも彼でした。


YUKI 『プリズム』

 

 ロジャーのほうはマイ・リトル・ラヴァーの「世界の旅人」を作曲、編曲をしています。


Sekai no Tabibito

 

 こうして、英米以上に彼らを高く評価する日本人の”ポップ・センス”は誇れるものじゃないかって僕は思います。

 

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