まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「若葉のころ(First of May )」ビー・ジーズ(1969)

 おはようございます。

 今日はビー・ジーズの「若葉のころ」。原題はFirst of May、5月1日です。


ビー・ジーズ Bee Gees/若葉のころFirst Of May (1971年)

 

When I was small, and Christmas trees were tall
We used to love while others used to play
Don't ask me why, but time has passed us by
Some one else moved in from far away

Now we are tall, and Christmas trees are small
And you don't ask the time of day
But you and I, our love will never die
But guess we'll cry come first of May

The apple tree that grew for you and me
I watched the apples falling one by one
And I recall the moment of them all
The day I kissed your cheek and you were mine

When I was small, and Christmas trees were tall
Do do do do do do do do do
Don't ask me why, but time has passed us by
Some one else moved in from far away

 

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 ”まだ幼くて クリスマス・ツリーが高く思えたころ

 僕たちは恋をしたね 他の子たちは遊んでいるのに

 なぜって訊かないでほしい 

 だけど時間は僕たちを通り過ぎていって 他の誰かが遠くからやってきた

 

 今では僕たちも大きくなり クリスマス・ツリーは小さく見えて

    君は今何時ってたずねたりしなくなった

 それでも君と僕の 二人の愛は決して死なない

 だけど5月1日になると 僕らは泣いてしまうだろう

 

 君と僕のために大きくなったリンゴの木

 そのリンゴの実がひとつひとつ落ちてゆくのを見つめた

 そして僕は思い出すんだ

    僕が君の頬にキスをしてあと、君が去っていってしまった日のすべての一瞬を

 

 今では僕たちも大きくなり クリスマス・ツリーは小さく見えて

    君は今の時刻をたずねたりしない

 それでも君と僕の 二人の愛は決して死なない

 だけど5月1日になると 僕らは泣いてしまうだろう”

                               (拙訳)

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「若葉のころ」の楽譜はこちら

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 2番に出てくる”You Don't Ask The Time of Day”という歌詞ですが、「君は今何時ってたずねたりしなくなった」と訳しましたが、直訳すれば「君は時刻をたずねない」ですが、どういうことだろう?と最初思いました。作者のバリー・ギヴに直接聞くこともできませんが、文脈的には大人になったことを示す文であることは間違いないと思います。

 海外で、子供はクリスマス近くなると待ちきれなくて今何時か頻繁に聞いてくるからだろう、と解釈されている方がいて、なるほどと思いました。

 クリスマス前に限らず、大人になると子供の頃より今何時?って訊くことは日常生活の中では確かに減りますよね。仕事を別にして。きっと時間の感覚が変わってしまうんでしょうね。

 

 あとひとつ、「若葉のころ」という邦題が、歌自体のテーマと人生における青春期という両方を表現したあまりに見事なものなので、ついそっちに引っ張られてしまって”いつもこの季節になると若い日のことを思い出してしまう”というざっくりとした感じで日本ではとらえられていますね。まあ、実際そういうことなんですけど、ただ「5月1日」というのが君と別れた日である、という具体性が”フック”になっているんですよね。

 

 これは、卒業の季節のことをざっくり歌いながら、タイトルは「3月9日」とピンポイントで指したレミオロメンと似ていなくもありません。藤巻亮太さんが「若葉のころ」を参考にしたかはどうかはわかりませんが、、。

 

  ちなみに「5月1日」というのは作者のバリー・ギヴが当時飼っていた”バーナビー”という犬(グレート・ピレニーズ)の誕生日なのだそうです。彼がライヴで「若葉のころ」を歌って、お客さんが遠い初恋を思い出しているとき、彼自身は昔の飼い犬を思い出していたのかもしれませんね、、(苦笑。

 

 ともかく、邦題を「若葉のころ」じゃなく「5月1日」にしていたら、日本では今ほどのスタンダードになってはいなかったのは間違いないでしょう。少なくともKinKi Kids主演の「若葉のころ」(1996年)というドラマは作られていなかったわけですし。

 

 

 さて、この曲が使われた映画「小さな恋のメロディ」(1971)は、ある年齢以上の日本人にとっては”定番”の作品です。原題はシンンプルに「Melody」ですから、こちらも邦題がヒットに大きく貢献したかもしれないですね。

 僕は少し下の世代ですが、テレビの再放送は何度もやっていたのをおぼえていますし、大学の頃でも名画座でよくかかっていました。

 調べてみると本国イギリスやアメリカでは大コケしたようです。しかし、日本では大ヒットし、他にはメキシコ、アルゼンチン、チリ、南アフリカでヒットしたとあります。

 当時は「若葉のころ」よりこっちを耳にすることが多かったと思います。

「メロディ・フェア」。


「メロディ・フェア Melody Fair」ビージーズ  Bee Gees new

  何十年かぶりに映画を見返して見ましたが、「若葉のころ」や「メロディ・フェア」が流れるシーンでの、音楽と映像のマッチングは素晴らしいと思いました。それと、エンディングの「ティーチ・ユア・チルドレン」(クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング)も。


Teach Your Children - Melody ending

    

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