まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ダンス・ウィズ・ミー(Dance With Me)」オーリアンズ(1975)

 おはようございます。

 今日はオーリアンズの「Dance With Me」。気候がいい日に聴くにはまさにぴったりの曲だと思います。

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Dance with me
I want to be your partner
Can't you see?
The music is just starting
Night is calling and I am falling
Dance with me


Fantasy
Could never be so killing
I feel free
I hope that you are willing
Pick the beat up and kick your feet up
Dance with me


Let it lift you off the ground
Starry eyes and love is all around us
I can take you where you want to go
Oh, oh

Dance with me
I want to be your partner
Can't you see?
The music is just starting
Night is calling and I am falling
Dance with me


Let it lift you off the ground
Starry eyes and love is all around us
I can take you where you want to go
Oh, oh

 

Dance with me
I want to be your partner
Can't you see?
The music is just starting
Night is calling and I am falling
Dance with me

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 ”ダンス・ウィズ・ミー 君のパートナーになりたいんだ

 わかるだろ? 音楽は始まったばかり 夜が呼んでいる

    僕はそんな気分さ 一緒に踊ろうよ

 

    ファンタジーだってそんな悪いもんじゃない 僕は自由を感じる

 君もその気になってるといいな 

    ビートを感じて 足を蹴り上げて 一緒に踊ろうよ

 

    宙に舞い上がるような気持ちで 

    星のように瞳を輝かせて

 僕らは愛にかこまれている 

    さあ君の行きたいところまで僕が連れてゆくよ”

                                                (拙訳)

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  爽やかなコーラス・ワークがちょっとウエスト・コーストっぽくもありますが、実はニューヨークが拠点のバンドなんです。

 

 この曲はバンドの中心メンバーであるジョン・ホールが曲を書き、当時の奥さんのジョアンナさんが歌詞を書いています。オーリアンズのほとんどの曲はこの夫婦が手がけているのです(1985年に二人は別れてしまいます、、)。

 

  彼らは1971年に結婚しますが、その年に二人はジャニス・ジョプリンに曲を提供しています。ロック史上屈指の名盤と呼ばれている「パール」に収録された「ハーフ・ムーン」という曲です。


Janis Joplin - Half Moon (Audio)

 

  そして翌72年にジョンはオーリアンズを結成しますが、なかなかヒットには恵まれませんでした(デビュー・アルバム「オーリアンズ」では「ハーフ・ムーン」をセルフカバーしています)。

 そして75年にこの「ダンス・ウィズ・ミー」がようやく大ヒットするわけです。

 実はその前の年にジョンとジョアンナ夫妻はイギリスでヒットを出しています。

  アカペラの代名詞「ソー・マッチ・イン・ラブ」のザ・タイムスが歌った「Ms Grace」という曲で、アメリカでは全く売れなかったのにイギリスではNO.1になったのです。


THE TYMES -ms. grace

 

 「ダンス・ウィズ・ミー」は自宅でジョンがアコギ一本でメロディを作っていたのを別の部屋で耳にしたジョアンナが「それ、ダンス・ウィズ・ミーって感じね」と彼に言ってきたそうです。

 ジョンはそれはありきたりだと感じたらしく、もうちょっと普通っぽくないものを考えられないかな、と言ったそうです。彼女は”わからないけど、ほんとに”ダンス・ウィズ・ミー”って感じがするのよ、と答えたそうです。

 二人は解決案が出せず、「ダンス・ウィズ・ミー」案に納得できなかったジョンは結局インスト・ヴァージョンだけ作ったそうです。そしてあるときメンバーに聴かせたところ、これはヒットしそうだから仕上げたほうがいいという話になったそうです。

 そしてライヴの後、車で家に帰る途中ジョアンナが歌詞の一節を思いつき封筒の裏に書き留めはじめ、家に着く頃には出来上がっていたそうです。

 「ダンス・ウィズ・ミー」でよかったわけですね。見事全米6位の大ヒットになります。”ファースト・インスピレーションが正解”というのは、音楽に限らず、誰の人生でも多々見受けられる法則のように僕は思います。

 

 

 この曲にはなかなかいいカバーがありますが、僕がオリジナルにも引けを取らないほど素晴らしいと思っているのが村田和人のヴァージョンです。1985年リリースのシングル「Show Must Go On」のカップリングでした。

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  もうひとつ、兄ジェイムス・テイラーよりも爽やかなリヴィングストン・テイラーもこの曲はぴったりだと思います。1980年リリース、AORファンからも人気のアルバム「Man's Best Friend」に収録されています。


livingston taylor - dance with me

 

最後はオーリアンズの「ダンス・ウィズ・ミー」と並ぶ大ヒット曲「スティル・ザ・ワン」(1976年全米5位)を。

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