まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「愛はきらめきの中に(How Deep Is Your Love )」ビー・ジーズ(1977)

 おはようございます。

今日もビー・ジーズを1曲。


Bee Gees - How Deep Is Your Love (1977)

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I know your eyes in the morning sun
I feel you touch me in the pouring rain
And the moment that you wander far from me
I wanna feel you in my arms again
Then you come to me on a summer breeze
Keep me warm in your love
Then you softly leave
And it's me you need to show
How deep is your love


How deep is your love, how deep is your love
I really mean to learn
'Cause we're living in a world of fools
Breaking us down
When they all should let us be
We belong to you and me

I believe in you
You know the door to my very soul
You're the light in my deepest darkest hour
You're my saviour when I fall
And you may not think I care for you
When you know down inside that I really do
And it's me you need to show
How deep is your love

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 ”朝日の中の君の瞳がどんなか僕は知っている

  土砂降りの中で君が僕に触れるのを感じる

  君が僕から遠ざかってゆく瞬間に

  もう一度この腕に君を感じたいんだ

  君は夏のそよ風にのって僕の元に来て 

  その愛で僕をあたため  そしてそっと去ってゆく

 

  君が示す相手は僕さ どれだけ深く愛しているかを

  どれだけ僕を愛しているの?どれだけ深く愛しているの?

     本当に知りたいんだ

  だって、二人の思うようにさせるべきときに

  ぶち壊してしまうようなバカばかりの世界に僕らは生きているから

  僕たちは僕たちだけのものなのに

  僕は君を信じている 君には僕の心に深く繋がるドアがわかる

  君は僕の深く暗い時間を照らす光だ

  僕が倒れた時に救ってくれた

     僕が君を好きだなんて君は思わないかもしれない

     心の奥底ではそうだと知っていてもね

  だから、君が示す相手は僕なんだ

  どれだけ深く愛しているかを ”        (拙訳)

 

  この曲は映画「サタデー・ナイト・フィーバー用にビー・ジーズが書き下ろしたもので、映画のラスト・シーンで効果的に使われていました。

 「ステイン・アライヴ」や「恋のナイト・フィーバー」のようなディスコ・チューンだけじゃなく、この曲のような美しいミディアム・バラードが収録されていたのも「サタデー・ナイト・フィーバー」のメガ・ヒットを支えたのは間違いないでしょう。

 

 この曲はバリー・ギヴをビー・ジーズのサポート・キーボーディストのブルー・ビーヴァーがサポートする形で作られていったようです。

 最初バリーがビーヴァーに”お前が知っている一番美しいコードを弾いてみてくれ”というリクエストではじまり、彼がピアノで弾くコードを聴きながら、バリーがそれだ、いや違う、などと支持しながらメロディーを組み立てていったそうです。

 

 フックとなる歌詞やメロディではなく、”コード感”からソングライティングが始まっているところが興味深いです。

 

 彼らは、60年代に詞曲の際立ったソフト・ロックのスタイルでヒットを飛ばした後低迷期に入り、リズム重視のダンス路線に切り替えることで再ブレイクを果たします。

 たぶんソングライティングの方法も変わったはずです。「愛はきらめきの中に」も「サタディ・ナイト・フィーバー」というディスコ映画のために書いたわけですから、バラードとはいっても”ノリ”を重視したんじゃないかと僕は推測します。歌詞やサビメロが目立った”ゴツゴツ”した曲じゃなく、気持ち良い流れを感じるようなものを。だからこそ、ピアノの美しいコード感、コード進行を重視し、そこにのせるようにスムーズなメロディをつけていったんじゃないでしょうか。

 

 

 小田和正は本当に影響されて愛聴した曲の一つにこの曲をあげていますが、ど頭のエレピの雰囲気が特に好きだったようで、彼の曲作りのスタンスは、その洋楽が具体的にどういうメロディでどういうサウンドかということじゃなく、イントロが始まったときの”空気感”を自分なりに追求していたのだと続けています。

 

 詞曲だけをとりあげたらビー・ジーズのレパートリーでは「愛はきらめきの中に」以上のクオリティのものはあるでしょう。昨日取り上げた「若葉のころ」しかり「マサチューセチッツ」、「トゥ・ラブ・サムバディ」や「傷心の日々」などもそうでしょう。

 

 詞曲、アレンジ、コード感、ハーモニー、イントロなど細部まで、すべての要素が見事に調和している、ということではこの曲に勝るものはないんじゃないでしょうか。

 

  この曲がヒットした時に僕は中学生だったのですが、正直あまりピンと来ませんでした。全部がなめらかすぎて、強いフックがなかったからだと思います。しかし、10年20年と時が経って、当時のほとんどの曲が古びて聴こえるようになったのに、この曲の鮮度は落ちていないように思いはじめました。

 この曲の”なにげなさ”というのは、実はものすごい高度でレアなものだったことに気づくのにずいぶん時間がかかってしまいました。

 バリー・ギヴがビー・ジーズのレパートリーで最も好きな曲としてこの曲をあがている理由は今はよくわかります。

 

 

 最後はこの曲のカバーを。ニューオーリンズR&Bシンガーにして、マルーン5のキーボーディストでもあるPJモートン。2018年の作品。

www.youtube.com

 彼のこの曲の”アンプラグド”がまた素晴らしいんです。音楽の至福感に満ちています。

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