まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「9月の雨(It Might as Well Rain Until September)」キャロル・キング(1962)

 おはようございます。

今日はキャロル・キングの「9月の雨(It Might as Well Rain Until September)」です。


Carole King - "It Might As Well Rain Until September"

What shall I write?
What can I say?
How can I tell you how much I miss you?


The weather here has been as nice as it can be
Although it doesn't really matter much to me
For all the fun I'll have while you're so far away
It might as well rain until September


I don't need sunny skies for things I have to do
'Cause I stay home the whole day long and think of you
As far as I'm concerned each day's a rainy day
So it might as well rain until September


My friends look forward to their picnics on the beach
Yes, everybody loves the summertime
Oh, but you know, darling, while your arms are out of reach
The summer isn't any friend of mine


It doesn't matter whether skies are grey or blue
It's raining in my heart 'cause I can't be with you
I'm only living for the day you're home to stay
So it might as well rain until September


September, September, oh
It might as well rain until September

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  ”なんて書けばいいの? なんて言えばいいの?

    こんなにあなたが恋しいことを  どうやって伝えればいいの?

 

   ここの天気はずっと最高だけど

   私にはあまり関係ないの

   あなたが遠く離れている間の 私の楽しみを考えたら

   9月までずっと雨のほうがいいかもね

 

  私がやることに 晴れた空は必要ないの

  だって、すっと家の中で一日中あなたを思うだけだから

        私について言うのなら 毎日が雨降り

  だから、9月までずっと雨でもかまわない

   

        友だちはビーチでピクニックするのを楽しみにしている

  そうね、みんな夏が大好きなの

     だけど、あなたの腕が届かない場所にいるうちは

   夏なんて私の友達なんかじゃないわ

 

  青空でも曇り空でもどっちでもいい

  あなたと一緒じゃなきゃ 心は雨降り

  あなたが家に来てくれる日だけを

  待ち焦がれて生きてるの

  だから9月までずっと雨でもかまわない

  

  9月までずっと雨でもかまわない    ” (拙訳)

 

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     ”9月に降る雨”の歌ではなくて、”今は夏だけど9月までずっと雨でもかまわない気分”、そんな歌なんですね。

 

 これは、キャロル・キング(作曲)&ジェリー・ゴフィン(作詞)の作品で、もともとはボビー・ヴィーという男性シンガーのために書いた曲でした。

 ボビー・ヴィーは1961年にキャロルとゴフィンの曲「サヨナラ・ベイビー(Take Good Care of My Baby)」をとりあげ、全米NO.1になっています。


Take Good Care Of My Baby (1990 Remastered)

  そして、1962年4月にはやはりキャロルとゴフィン作の「Sharing You」が全米15位まであがっています。


Sharing You (Remastered)

 この「9月の雨」は、その次回作としてキャロルとゴフィンが書いたものでした。そして、ボビーはレコーディングもすませました。しかし、彼のプロデューサー(スナッフ・ギャレット)はリリースをためらいます。「Sharing You」がまだヒットチャートの上にいたから、まだタイミングが早いと考えたんですね。

 

 しかし、タイトルに9月と入っている夏の歌を、秋以降にリリースしてもしょうがないと、、ドン・カーシュナー(キャロルとゴフィンが所属する音楽出版社のオーナーの一人)と作詞をしたゴフィンは考えて、あせったようです。そして、キングが歌っているデモに新たに弦楽器をダビングし、それをカーシュナーのレーベル(ディメンション)からリリースすることにしました。

 

 キャロルは自伝でこう書いています。

「デモ用に歌う時、私は常にその曲を歌う予定のアーティストに合わせてボーカル・スタイルを切り替えている。「9月の雨」のデモの同様で、この曲はジェリーと私がボビー・ヴィーのために書いたものだった。だがドニー(ドン・カーシュナー)は、ボビーがレコーディングした後も私のデモ・バージョンがお気に入りで、ついにディメンション・レコードから私のバージョンをシングル発売してしまった。」

                         (「キャロル・キング自伝」)

 自分の歌のスタイルじゃなく、ボビーのスタイルに寄せて歌っていたということでしょう。

    この頃、キャロルはゴフィンとの間に生まれた二人の子供の育児に追われながら作曲をしていたので、アーティストとしての宣伝活動をする余裕はなく、唯一人気音楽番組「アメリカン・バンドスタンド」に出演しただけだったそうです。

 しかし、全米チャートでは22位まであがり、イギリスでは3位まであがる大ヒットになり、”シンガー”キャロル・キングとしての初めてのヒットになりました。

 

 ボビー・ヴィーの方は翌年リリースのアルバム「The Night Has A Thousand Eyes」に収録しています。


It Might As Well Rain Until September

 

  僕が好きなこの曲のカバーは、以前もこのブログに何度か登場しているペギー・リプトンです。

popups.hatenablog.com

www.youtube.com

 

 
 

 

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