まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「雨に消えた初恋(The Rain, the Park & Other Things)」カウシルズ(1967)

 おはようございます。

  今日も雨の効果音から始まるスタンダード・ポップスです。カウシルズの「雨に消えた初恋」。


The Cowsills ~ The Rain, The Park & Other Things (1967)

 

 ” 彼女は雨の中座っていた

    雨粒が降り落ちてくるのに

    気にならないみたいで

    彼女はそこに座ったまま 僕に微笑みかけたんだ

 

    そして僕はわかったんだ(わかったんだ)

    彼女は僕をハッピーにしてくれるって

    彼女の髪に飾られた花 そして花はいたるところにあふれてゆく

 

  (花咲く少女に恋してしまった)

    なぜかわからない ただ彼女は僕の目をとらえただけさ

  (花咲く少女に恋してしまった)

     彼女はすごく愛らしくてやさしくて 僕の心にしのびこんできた

    

    ハローって声かけなきゃと思ってた

    彼女は僕を見上げて微笑むと

    僕の手を取り 僕らは公園を二人きりで歩いた

 

    そして僕はわかったんだ

    彼女は僕をハッピーにしてくれたんだって

    彼女の髪には花 そして花はいたるところにあふれてゆく

 

  (花咲く少女に恋してしまった)

    なぜかわからない ただ彼女は僕の目をとらえただけさ

  (花咲く少女に恋してしまった)

     彼女はすごく愛らしくてやさしくて 僕の心にしのびこんできた

 

     すると 突然 太陽が顔を出した

     振り返ると彼女はいなくなっていた(どこに行ったの?)

     そして僕の手に残されたのは小さな一論の花だけだった

  

     だけど僕はわかっていた

     彼女は僕を幸せにしてくれた

     彼女の髪に飾られた花が いたるところで咲き始めたみたいに

 

  (花咲く少女に恋したんだ)

     彼女は現実?それともただの夢?

  (花咲く少女に恋したんだ)

    彼女の愛は僕に晴れた日を見つける方法を教えてくれた

  (花咲く少女に恋したんだ)

     彼女は現実?それともただの夢?”         (拙訳)

 

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I saw her sitting in the rain
Raindrops falling on her
She didn't seem to care
She sat there and smiled at me

Then I knew
She could make me happy
Flowers in her hair
Flowers everywhere

I love the flower girl
Oh, I don't know just why, she simply caught my eye
I love the flower girl
She seemed so sweet and kind, she crept into my mind

To my mind

I knew I had to say hello
She smiled up at me
And she took my hand
And we walked through the park alone

And I knew
She had made me happy
Flowers in her hair
Flowers everywhere

I love the flower girl
Oh, I don't know just why, she simply caught my eye
I love the flower girl
She seemed so sweet and kind, she crept into my mind

To my mind

Suddenly, the sun broke through
I turned around, she was gone
All I had left
Was one little flower in my hand

But I knew
She had made me happy
Flowers in her hair
Flowers everywhere

I love the flower girl
Was she reality or just a dream to me?
I love the flower girl
Her love showed me the way to find a sunny day

Sunny day

I love the flower girl
Was she reality or just a dream to me?
I love the flower girl

************************************************************************

 

 コーラスの” I love the flower girl”のところは、この曲と同時期のヒット、タイガースの「花の首飾り」をもじって”花咲く娘”にしようかと思ったのですが、”娘”がどうもしっくりこなかったので、花咲く少女にしました。

 

 昨日の「恋の雨音」同様この曲も”妄想ソング”ですね。ただ、「恋の雨音」はすごくリアリティのある妄想だったのに対して、こっちはけっこう幻想的ですね。

 これを「男子と女子の差」と言い切ってしまうのはちょっと乱暴でしょうか、、。

 ともかく「雨に消えた初恋」は、新海誠が短編映画を作っても良さそうな歌詞だな、と僕は思いました。

 

 さて、バンド名のカウシルってなんだろう?と思いましたが、名前、カウシルさん一家のグループということなんですね。ジャクソンズやオズモンズなどと一緒で。

 

 カウシルさんの子供たちは地元でけっこうな数のライヴをこなしていたので、楽器の腕も良かったようです。

 

 当初はビリー、ボブ、バリー、ジョンの4兄弟で活動を始めレコード・デビューも果たしますが、残念ながらあまりパッとしませんでした。

 

 この「雨に消えた初恋」も4人でレコーディングしたそうですが、ちょうどレコード会社の契約が切られてしまい、新しいリリース先を探さなくてはいけない状況でした。

 

 そこでプロデューサーのアーティー・コーンフェルド(この数年後に”ウッドストック”の主催者の一人として有名になります)は、他のバンドとは違う個性を出せる何かをこの曲にプラスしたいと考えました。

 

 そこで彼が思いついたのが彼らの母親をメンバーに加えるというものでした。

 

 母親のバーバラはレコーディング経験などまったくなく、大変緊張していたため、スタジオで子供達がすぐ後ろに立って、耳元で歌いながらフォローしてあげたのだそうです。

 

 音源が完成し新しいレーベル(MGM)も見つかり、リリースするやいなや全米2位の大ヒットになります。その時の1位はモンキーズの「デイドリーム・ビリーバー」だったといいますから、かなり素敵なワンツー・フィニッシュだと思います(ビルボードの当時のライバル音楽誌”キャッシュボックス”では見事1位になっています)。

 

 ちなみにもともとこの曲のタイトルは「The Flower Girl」だったそうですが、当時スコット・マッケンジー「花のサンフランシスコ」が大ヒットしたばかりで、紛らわしいから変えるようにレコード会社から指示されたそうです。「花のサンフランシスコ」の原題は”San Francisco (Be Sure to Wear Flowers in Your Hair)で、「雨に消えた初恋」の重要なフレーズに”Flowers In Her Hair"というのが出てくるので、その辺りが気になったのでしょうか。

 それで、プロデューサーが”The Rain, the Park & Other Things”(歌のタイトルというより短編小説っぽいですね)に変えた時、メンバーは聴いた人はきっとタイトルを覚えられないだろうと思ったそうです。

 実際にリスナーの多くは曲名をちゃんと覚えられなかったようですが、それでも大ヒットになったので彼らも驚いたそうです。

 

 それから、細かいネタですが、オープニングの雨の音のS.Eは実際はベーコンを焼いている音だった、というメンバーの衝撃発言(?)も見つかりました。ホントですかね?

 

 

 それはともかく、この曲が売れ始めると、グループに兄弟のポールと末っ子のスーザンが加わり7人グループになります(ちなみに、パートリッジ・ファミリーは彼らを参考にして作られたといわれているようです)。

 

 「雨に消えた初恋」の印象が強すぎるため”一発屋”っぽく見られてしまいがちですが、演奏力もコーラスワークも優れていて、ソフト・ロックとして聴きごたえのある曲がけっこうあります。

 次のシングルだった「We Can Fly」も個人的に好きな曲です。


We Can Fly -The Cowsills (Best upload online in stereo)

 

 1968年に全米10位になった「インディアン・レイク」。


Indian Lake

 そして「雨に消えた初恋」同様全米(ビルボード)2位(キャッシュボックスでは1位)になったミュージカル「ヘアー」のカバー。


The Cowsills Hair 1969 IN COLOR !!

 

 その後、父親とのもめごとが原因でビルがグループをやめさせられたことがきっかけになり、グループはバラバラになっていってしまったようです。その中ではドラムスのジョン・カウシルはトミー・ツートンやドワイト・トゥイリーのサパートをしたり、ビーチ・ボーイズ・バンド(マイク・ラヴとブルース・ジョンストン)に参加しています。またグループの人気者だった末っ子のスーザンがソロやグループで様々な活動をしているようです。

 それでは最後は、そのスーザンの1976年のソロ・シングルを。キャロル・キングの「It Might As Well Rain Until September」のカバーです。


Susan Cowsill -- "It Might As Well Rain Until September" (WB) 1976

カウシルズ

カウシルズ

  • アーティスト:カウシルズ
  • 発売日: 2014/11/19
  • メディア: CD
 

ネットオフ

  

ポップス大豊作の年”1967”。こんな曲も大ヒットしました。

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