まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「アイム・エヴリ・ウーマン(I’m Every Woman)」ホイットニー・ヒューストン(1993)

 おはようございます。

 今日もアシュフォード&シンプソンの曲を。映画「ボディーガード」で使われた「アイム・エヴリ・ウーマン」です。


Whitney Houston - I'm Every Woman (Official Video)

 そして、この曲のオリジナルのチャカ・カーン。1978年、彼女のソロ・デビュー曲でした(全米21位 R&B1位)。

www.youtube.com

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Whatever you want
Whatever you need
Anything you want done, baby
I'll do it naturally
'Cause I'm every woman (Every woman)
It's all in me
It's all in me

 

I'm every woman
It's all in me
Anything you want done, baby
I do it naturally
I'm every woman
It's all in me
I can read your thoughts right now
Every one, from A to Z

 

I can cast a spell
See, but you can't tell
Mix a special groove
Put fire inside of you
Anytime you feel danger or fear
Then instantly I will appear


I'm every woman
It's all in me
Anything you want done, baby
I do it naturally


Oh, I can sense your needs
Like rain onto the seeds
I can make a rhyme of confusion in your mind
And when it comes down to some good old fashioned love
I got it, I got it
I got it, got it, baby, baby

I'm every woman
It's all in me
Anything you want done, baby
I do it naturally
I'm every woman
It's all in me
I can read your thoughts right now
Every one, from A to Z
Whoa, whoa, whoa
Whoa (Oh), whoa (Oh), whoa


I ain't bragging
'Cause I'm the one
Just ask me
Ooh, it shall be done
And don't bother
To compare
I've got it


I'm every woman (I'm every woman)
I'm every woman (Can't believe, can't imagine)

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 ”あなたが何が欲しくても 何が必要でも

  あなたがしたいことは何でも 私は自然にできてしまうわ

  だって私は”普通”の女 女性の資質を全部持っているの

 

  私は”普通”の女 女性の全てが私の中にある

  だから、あなたがほしいものを自然に叶えられるの

 

  私は”普通”の女 女性の全てが私の中にある

    あなたの考えなんて瞬時に読めるわ AからZまで

 

 呪文を唱えるわ

 内容は秘密、あなたにはわからない

 特別な秘薬をまぜて あなたの心の中に火をつけるわ

 あなたが恐怖や不安を感じたときはいつも 私があっという間に現れる だって

 

    私は”普通”の女 女性の全てが私の中にある

 だから、あなたがほしいものを自然に叶えられるの

 

    あなたに必要なものはすぐにわかるの

    植物の種に降り注ぐ雨のように

 あなたの心の混乱を整えてあげる

 結局のところ、それは古き良きスタイルの恋愛

 わかってるわ わかってるわ

 自慢なんかしない だってあなたには私しかいないから

    ただ私に頼めば それで解決よ

    困らせないで 他と比べたりして 私は分かっているの”

(拙訳)

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 まさか!男性が歌詞を書いていた、あらゆる女性のためのアンセム

 


 う〜ん、”Every Woman”というのは訳すのが難しいですね。僕は全然ネイティヴじゃないので微妙な感覚がうまくつかめず、、。

 いろいろ他の和訳を見てみたのですが、全てを持っている女、どんなタイプにもなれる、といったものが多かったです。男の望みを何でも叶えるわけですから、確かにそうじゃないと辻褄が合わない。

 しかし、文字通り訳すと”普通の女性”、ドラマや小説や広告に登場するような特に変わったところのない”一般女性”です。

 

 それで、僕個人の感覚では、これは万能な”特別な”女性のことではなく、女性という存在自体があまねく”特別”なんだという歌なのだろうと思いました。

 Everyに”あらゆる”とうような意味があるところを、うまくかけているのでしょう。

 普通の女性だけど、普通だからこそ、あらゆる女性が持つ資質を全て兼ね備えている。女性というのはそういうものなのよ、男のみなさん、という風に最終的に僕には聴こえて来たのです。

 チャカ・カーンのPVでいろんな服を着た彼女が同時に歌っている、まさにそういうイメージなのでしょう。

 

 で、曲を書いたのはアシュフォード&シンプソンなんですが、歌詞はニコラス・アシュフォードのほうなんです。

このおっさん、やっぱりすごい感性の持ち主ですね、、、。

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 チャカ・カーンのために曲を書くことになって、ヴァレリーのピアノに合わせて作り始めたときにふいに彼が”I'm Every Woman"というフレーズを口に出したのだそうです。

 しかし、しばらくその後が全然出てこなかったので、ヴァレリーが彼に

「お尻に手をあてて、あなたの中の女性らしい部分に入り込んでいけば出てくるわよ」

 と言ったら、歌詞が出来上がっていたそうです。

 

 ヴァレリーは具体的に歌詞を指示することはなかったようですが、彼女との長いリレーションシップから学んだものがなければニコラスはこういう歌詞を書けなかったのは間違いないでしょう。

 

 さて、この曲をアレサ・フランクリンの「リスペクト」のように女性の社会的な立場の向上を訴える”女性解放運動”のポップ・アンセムととらえる向きもあるようですが、「リスペクト」は書いたのはオーティス・レディングですし、どちらも歌詞を男性が書いているのは興味深いことです。

 (「リスペクト」はもともと男性から女性に向けての曲だったのを、アレサが改編したのですが)

 

 歌詞の力以上にアレサ、チャカという凄いシンガーがパワフルに歌っていたことが、女性たちを勇気づけるアンセムとなった最大の要因のようにも思えます。

 

 ホイットニーがこの曲をカバーするアイディアは誰のものだったのかわかりませんが、プロデュースは彼女のデビューからのパートナーで「すてきなSomebody(I Wanna Dance with Somebody)」などを手がけているナラダ・マイケル・ウォルデンと、C&Cミュージック・ファクトリーとして一世を風靡しましたデヴィッド・コールとロバート・クライヴィルスのコンビ。彼らは、何と言ってもこの曲が有名ですね。

 


C+C Music Factory - Gonna Make You Sweat (Everybody Dance Now) ft. Freedom Williams

 ヴァレリーによると、「アイム・エヴリ・ウーマン」のレコーディング当時ホィットニーは妊娠していて、とてもハッピーそうだったとのこと。

  チャカ・カーンという”化け物級”(?)のシンガーのカバーという難題も、彼女らしいスタイルで見事にクリアしていると思います。

 先に挙げた彼女のPVでは、そのチャカ・カーンヴァレリー・シンプソンまで登場していますが、先達のお墨付きをもらったということなのかもしれませんね。

 

 せっかくですから、最後にこの曲が使われた映画「ボディガード」のサントラから、この超大ヒット曲を。オリジナルは曲も書いているドリー・パートン。ホイットニーにこの曲を歌わせようと考えたのは主演のケヴィン・コスナーだったそうです。

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