まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「カリフォルニアの青い空(It Never Rains in Southern California)」アルバート・ハモンド(1972)

 おはようございます。

今日はアルバートハモンドの定番曲「カリフォルニアの青い空」です。

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Got on board a westbound 747
Didn't think before deciding what to do
Ooh, that talk of opportunities
TV breaks and movies
Rang true, sure rang true


Seems it never rains in southern California
Seems I've often heard that kind of talk before


It never rains in California
But girl, don't they warn ya?
It pours, man, it pours

Out of work, I'm out of my head
I'm out of self respect, I'm out of bread
I'm under-loved, I'm underfed
I wanna go home


It never rains in California
But girl, don't they warn ya?
It pours, man, it pours


Will you tell the folks back home I nearly made it?
Had offers but don't know which one to take
Please don't tell 'em how you found me
Don't tell 'em how you found me
Gimme a break, give me a break


Seems it never rains in southern California
Seems I've often heard that kind of talk before


It never rains in California
But girl, don't they warn ya?
It pours, man, it pours

 

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  ”西(アメリカ)行きのボーイング747の乗ったんだ

  何をやるのか決める前に ちゃんと考えもしないで

  チャンスがあるってみんな話してるし TVや映画でもそう言うし

  それがもっともらしく思えたんだよ

 

   南カリフォルニアに雨は降らないらしい

  そんな話をよく聴いた

   南カリフォルニアに雨は降らない 

     でもさ、みんな言ってなかった?降るときは土砂降りなんだよ 土砂降り

 

  仕事はないし 正気じゃなくなって 自己嫌悪に陥って

       生活の糧もなく 誰にも相手にされず    腹もペコペコ

  もう故郷に帰りたい

  故郷の人たちには 僕はあとちょっとのところまで行ってると言ってくれ

  仕事のオファーがあって どれにするか決めてる最中だって

  君が見つけたとき僕がどんなだったかなんて、どうか絶対言わないで

  僕がどんな姿だったかなんて言うのは、それだけは勘弁してほしい、、、 ” 

                          (拙訳)

 

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  アルバートハモンドはイギリス出身のシンガー・ソングライターです。

  この曲は当時日本でもラジオで本当によくかかっていました。僕は小学生で英語もわからないし、「カリフォルニアの青い空」なんてタイトルだから、きっと爽やかな内容なんだろうなと思い込んでいたのですが、後年、なかなか悲しい歌だったと知りました。

 

 作曲はアルバートハモンド本人。作詞はマイク・ヘイズルウッド。

 アルバートはイギリス人で、ロンドンで音楽活動をしていましたがカリフォルニアに本拠地を移すことを決めていて、そのタイミングで作ったのがこの曲でした。

 

 彼がマイクの書斎で「Railways of Sourthern California」という本を見つけ、サビの仮歌詞は”On the Railway of Sourthern California~”にしたそうですが、最終的にマイクが”It Never Rains in Sourthern California"に変えたのだそうです。

 

 本編の歌詞は、アルバートが”ダイアモンド・ボーイズ”というバンドを組んでスペインで活動していたときの話をもとにマイクが書いたと言われています。彼は一文無しになって駅前で物乞いをしていたところを、ハネムーンに来ていた”いとこ”に見つかり、彼は”このことは親には絶対に言わないで”といとこに懇願したのだそうです。

 

 「カリフォルニアの青い空」は、ロンドンからカリフォルニアに来て辛い経験をした実体験を歌にしたと解説しているサイトもありますが、どうやらそうではなさそうですね。

 

 しかし、カリフォルニアに着いてからも実際に仕事はおろか寝るところもないという苦労をしたのは事実で、その時にいろいろ面倒を見てくれた女性のために書いた曲が「安らぎの世界へ(The Air That I Breath)」だったそうです。

 

 ”僕に必要なのは、息をするための空気と君を愛すること”というフレーズが印象的なこの曲は「カリフォルニアの青い空」と同じアルバムに収録され、1974年にザ・ホリーズがカバー、全米6位、全英2位の大ヒットになっています。

  

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 世界的には彼の代表曲はこの「カリフォルニアの青い空」(全米5位)ですが、日本ではそれと並ぶほどの人気曲があります。それが「落ち葉のコンチェルト(For The Peace of All Mankind)」です。

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 原題の「For The Peace of All MankInd」で検索すると、ヒットする上位はずう〜っと日本語のサイトが出てくるという、なかなか尋常じゃない(?)状況です。

 

 まさに日本人好みのメロディだと思いますが(ドリカムの「LOVE LOVE LOVE」のAメロがこの曲に似ているという評判になったこともありましたね)、海外でももっと評価されてもよさそうだとも思います。時期的にはニルソンの「ウィズアウト・ユー」が大ヒットした後なので、彼はその路線で書いたのかなとも勝手に推測してしまいますが。

 

 「It Never Rains in Sourthern California」や「The Air That I Breath」など印象に残るフレーズを書く傾向のあるマイク・ヘイゼルウッドですが、愛する人との別れを歌ったこの曲に「全人類の平和のため、平和のため、君は去っていってくれ」というのはあまりに変化球すぎて、聴き手にストレートに伝わるものではなかったようにも思います。泣きの曲の歌詞の場合はやっぱり直球が良いんじゃないかと。。。

 (「ウィズアウト・ユー」は”君なしでは生きていけない”という”ど真ん中ストレート”ですから)

 そういう意味でも、カバーしたときにサビのニュアンスを伝えるのがかなり難しい歌詞なんだと思います。

 言葉の違和感を感じないで、”雰囲気で受け取れる”日本人にはかえってこの曲は凄く受けた、というのが僕の見立てなんですが、どうでしょう?

 

 その後もうひとつ、日本だけで人気になった曲があります。AORブームにうまくハマった「風のララバイ(Your World And My World)」(1981年)です。

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 シンガー・ソングライターとしては大ヒット曲は「カリフォルニアの青い空」だけでしたが、ソングライターとしてはレオ・セイヤーの「はるかなる想い(When I Need You)」(ハモンドが先にリリースしてレオ・セイヤーがカバー)、カーペンターズの「青春の輝き(I Need To Be In Love)」などの名曲を書き、1980年代に入るとNO.1ヒット作曲家ダイアン・ウォーレンと組んでスターシップの「愛はとまらない(Nothing's Gonna Stop Us Now)」などの大ヒットを生み出しています。

 

「カリフォルニアの青い空」「安らぎの世界へ」を収録したオリジナル・アルバム。

 

「落ち葉のコンチェルト」も収録されたベスト盤

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 まさか、アルバートハモンドがこの曲を共作していたなんて、、当時僕はびっくりしました。

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