まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「つのる想い」須藤薫(1989)

 おはようございます。

 今日は須藤薫。2013年に残念ながら病気で亡くなられてしまいましたが、1980年代に1960年代のアメリカン・ポップスをベースにした上質な楽曲をたくさん歌っていました。その時のメイン作曲家は杉真理、アレンジ、プロデュースは松任谷正隆でした。

 そのつながりで松任谷由実とも交流があり、彼女の最もポップ色の強いアルバム「SURF&SNOW」に収録されていたクリスマスの定番曲「恋人がサンタクロース」にもコーラスで参加していました。

 


恋人がサンタクロース

 また彼女の「あなただけI LOVE YOU」という曲は大瀧詠一が作詞、作曲、編曲(弦アレンジは松任谷正隆)を手掛けたもので、曲調、サウンドは「A LONG VACATION」への予告編ともいえる貴重な作品でした。

 *すみません!ライブ音源しかあがってませんでした。


須藤薫 / あなただけ I LOVE YOU (ライブ)

 実は僕が好きなのは小西康陽サウンド・プロデュースした「Tender Love」というアルバムでした。ピチカート・ファイブが「女王陛下のピチカート・ファイブ」をリリースした年のリリース。ということで、高浪慶太郎がストリングスとホーンのアレンジを手掛け、田島貴男がコーラスで参加しています。

 彼らの「カップルズ」「ベリッシマ」という2枚だけが、スタンダード・ポップスを目指してた”例外的な”作品と言われていて、その後から作風が変わっていくわけですが、この「Tender Love」はその2枚ととても近い存在として僕は認識しています。

 中でもシングルになった「つのる想い」。大瀧以外の日本の”フィル・スペクター風”作品のなかで、個人的にかなり好きな曲です。

 あと、このアルバムでは、スペクターの曲の最高峰と呼ばれるアイク&ティナ・ターナーの「River Deep Mountain High」をモチーフにした「恋のマニュアル・ブック」という曲も入っています。

 小西のこのアルバムでのサウンド・アプローチは、有名曲のイントロなどを巧みに引用してマニアをニヤッとさせるところもありますが、基本とてもストレートです。

 ご本人としては若い時代の”習作”的にとらえているところもありそうですが、僕はかえってこのストレートさが、彼女にぴったりだったと思えます。

 あと、彼女は明るいアメリカンポップスっぽさを当初、声のトーンにはかすかに憂いと言うか、儚げなところがあって、そういう特徴も「つのる想い」にはしっかり反映されているというのも大事なポイントです。

 

 ちなみに「つのる想い」は、フィル・スペクター自身がメンバーだったグループ”テディ・ベアーズ”の全米NO.1ヒット「To Know Him Is To Love Him」のカバー曲につけられた邦題ですので、確信犯的につけられたものですね。

 ちなみにテディ・ベアーズのオリジナルには「会ったとたんに一目ぼれ」という邦題がついていました。


Kaoru Sudo - Tsunoru Omoi

 

つのる想い (2008年リマスター)

つのる想い (2008年リマスター)

  • アーティスト:須藤薫
  • 出版社/メーカー: WM Japan
  • 発売日: 2019/03/27
  • メディア: MP3 ダウンロード