まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「雨のウェンズデイ」大瀧詠一(1981)

 おはようございます。

 今日は水曜日ということでこの曲を。大瀧詠一の「雨のウェンズデイ」

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 山下達郎のレパートリーには素晴らしい雨の歌が少なくないですが、師匠である大瀧詠一にも、はっぴいえんど時代の「12月の雨の日」を筆頭に「五月雨」など”雨の名曲”が(達郎以上に)多いです。

 その中でも定番中の定番はこの「雨のウェンズデイ」でしょう。

アルバム「A LONG VACATION」の中では、今では「君は天然色」がダントツで有名ですが、発売当時は「恋するカレン」とこの「雨のウェンズデイ」が一般的には”2強”でした。

 1981年に「恋するカレン」がA面でこの曲がB面でシングル・リリースされましたが、翌年にはAB面入れ替わり、「雨のウェンズデイ」がメインで再びシングル化されています。

 ”がつん”とつかむんじゃなく、”じわじわ”くる曲なんですよね。聴けば聴くほどハマっていく。

 

 大瀧詠一というと、熱心なファンにとっては曲の”元ネタ探し”が楽しみなわけですが、この「雨のウェンズデイ」の場合はこの曲だという説が定着しているようです。

 

  ゾンビーズの1964年リリースのセカンド・シングル「Leave Be Me」。デビュー・シングル「シーズ・ノット・ゼア」は大ヒットしたのに、これはイギリスでチャート・インせず、アメリカではリリースすらされなかったものです。


Leave Me Be - The Zombies [HQ] (Full Song)

    参考にしたと思われるのはは、Aメロの感じでしょうね。 

 

   大滝作品の元ネタ探しの醍醐味は、未だ見ぬマニアックな楽曲の発見であると同時に、世の中で”パクリ”と呼ばれるものがいかに”薄っぺらい”借用なのかを思い知らされることでもあります。

 「Leave Me Be」を聴いて「雨のウェンズデイ」がパクリだと思う人はいないでしょう。この曲以外にもたくさんのインプットがあってそれを精緻にミックスしているはずです。

 豊かなインプットとディテイルまでこだわり抜いたアウトプット。

 創作というのはきっとそういうことなんでしょう。

 

 今回、調べても出典がわからなかったのですが、当時この曲について大滝本人がクリストファー・クロスの名前を挙げて何か語っていたのを音楽誌で読んだ記憶があるんです。

 それに興味を持って、僕は彼の曲を全く聴いたこともないのに、発売直後の「A LONG VACATION」を買ったんです。高校一年の終わりでした。

 

 その記憶が僕にバイアスをかけているのかもしれませんが、「A LONG VACATION」の中でこの曲だけ、当時の西海岸AORサウンドに近いものを僕は感じます。

クリストファー・クロスの「南から来た男」の中ではこの曲あたりの空気感。


Spinning

 

  長年この曲を聴いてきて、つくづく思うのは演奏の素晴らしさです。

「A LONG VACATION」の30周年エディションには各収録曲のトラックが入っていて、当初は「君は天然色」に飛びついて繰り返し聴いたのですが、最終的に「雨のウェンズデイ」のオケが個人的には一番好きでした。

 メンバーは鈴木茂(ギター)、細野晴臣(ベース)という”はっぴいえんど”時代に盟友に林立夫(ドラムス)、松任谷正隆(ピアノ)という”ティン・パン・アレー”のメンバー。(松任谷は今だにこのアルバムでピアノを弾いたというクレジット表記がされていません)

 これほどの凄いメンバーが”殺気立つ”ほどのムードでこの曲をレコーディングしたと言われています。その緊張感が、ピュアで凛とした音像を作り、結果的に”西海岸AOR”っぽいのにどこか違っていて、そのため古びることのないサウンドになったのかもしれません。

ネットオフ

 

 

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