まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「FEATURETTE」トット・テイラー(2019)

 おはようございます。

 今日はトット・テイラー。80年代の”ポップおたく”には絶対に忘れられないポップ・マエストロです。彼のひさしぶりの新曲「FEATURETTE」を。相変わらずのポップセンスです。


TOT TAYLOR - ‘FEATURETTE’ (CAMPUS 4)

 

Some kind of behavioural trait
Is making me late
Maybe you won’t wait
But what I’m coming to
Is a thing I do - to get to you

You got me runnin’ around
Thinkin’ aloud
Away from the crowd
I should be heaven bound
But you turned me down

I can’t go on alone
There’s nothing left to own

You’re just a featurette
How can I forget?
I’m not done with you yet
I’m not done with you yet
I’m not done with you yet
We seem to be going round, round, round, round…

Got the wind in my hair
Taking me there
But I’m going nowhere
Cos what I’m comin’ to
Is a thing I do (to get to you)

Now there’s no one to blame
Each day is the same if I stay in the game
Then just what makes me blue
S’what I have to do…

I can’t go on alone
There’s nothing left to own

You’re just a featurette
How can I forget?
I’m not done with you yet
I’m not done with you yet
Ever since we met
We seem to be going round, round, round, round…

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ある種の行動特性が
僕を遅刻させているんだ
たぶんあなたは待ってくれない
だけど、僕が向かっているのは
あなたのところに行くためだ

 

あなたは私を走り回らせ
声に出して考えさせた
仲間から離れさせて
僕は天国へ行けるはずだったのに
あなたは拒絶した

 

一人じゃやっていけない
手にするものは何も残っちゃいない

 

おまえはただの特典映像さ
どうしたら忘れられるの?
あなたとはまだ終わってない
まだ終わってない
まだ終わってない
僕たちは、ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる回っているようだ...

 

風が髪をなびかせながら
僕をそこへ連れて行く
だけど僕はどこにも行けない
だって、僕が向かっているのは
あなたのところに行くためだ

 

今や責める人はいない
毎日が同じなんだ、このゲームを続ける限り
じゃあ、ただ僕をブルーにさせるのは
僕がやらなきゃいけないこと

 

一人ではもう進めない
自分のものは何も残っちゃいない

 

おまえはただの特典映像さ
どうしたら忘れられるの?
あなたとはまだ終わってない
まだ終わってない
まだ終わってない
僕たちは、ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる回っているようだ...

                        (拙訳)

 

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 最近このブログで渋谷系関連を取り上げることが多かったので、その流れで彼のことも思い出しました。それでブログを書こうとネットを調べると、なんと!彼は新曲を発表していたのです。

 

   コンパクト・オーガニゼーション。彼が持っていたレーベルの名前です。古き良きポップス、ジャズ、映画音楽を蘇生させたような楽曲とおしゃれなアートワーク、そのコンセプチュアルな制作スタイルはピチカートファイブを始めとするアーティストに影響を与えました。

   例えば、レーベルにはこんなアーティストがいました。"スウェーデンの女スパイ"というコンセプトのヴァーナ・リント。

www.youtube.com

 エルヴィス・コステロも当時お気に入りのシングルにあげていたそうです。あと、古いスパイ映画のサントラ盤は日本で渋谷系ブームのころに人気でしたので、そのきっかけにもなったわけですね。

 

 自身のレーベルを持ち、そのマニアックなセンスを全面に打ち出して、所属アーティストの曲作り、アレンジ、プロデュースを手掛けることから、彼のことを”イギリスの大瀧詠一”などと呼んでいるのを見かけますが、大きな違いは大瀧は本人が売れたわけですが、トットの場合、自作はあんまり売れなかったことでしょう。いいんですけどね。

 

 彼は超久しぶりに復活したわけですが、今年10月に「YOKO,OH」というまるでジョン・レノンが歌いそうなピアノ弾き語りのバラードを出しています。

 


TOT TAYLOR: 'YOKO, OH'

 そして10日前に「FEATURETTE」という曲の動画をアップしました。

この曲は彼が学生時代に作ったものなのだそうです。まだ十代の彼に教師が

「お前は自分がすごい人になれると思ってるかもしれないが、とんでもない。怠惰で、バカで間抜けだ、ただの時間の無駄だ。お前は何者にもなれない、ただの”FEATURETTE”だ!」と言われたことがテーマになっています。タイトルには”十代の僕への手紙”という副題が添えられています。

 その教師、とんでもないですが、こういう物言いをする教師は昔からかなりいたようにも思います。 

 ”FEATURETTE"、これが理解しづらい言葉です。短編映画や短時間番組を主に指すようですが、DVDに入っているメイキング映像などのボーナストラックなどにも使うようです。

 メインになるような人物にはなれない、ということを指しているのでしょうか?

 45年もたって、あらためてレコーディングするというのは、そのショックはずっと残っていたんでしょうね。

 ちなみに、この曲のレーベル名は”CAMPUS"という名義になっていますが、イギリスのインディーズ・ファンには有名なレーベル”ラフ・トレード”を介しているようです。

 

 

 

Featurette

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「FEATURETTE」「YOKO,OH」収録のアルバム

Frisbee

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  • TheCAMPUS
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トット・テイラーが手がけた最大のヒット・アーティストは彼女でした。

popups.hatenablog.com