まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「レヴィテイティング(Levitating)」デュア・リパ(2020)

 おはようございます。

 今日はデュア・リパの「Levitating」です。"Lavitating"は<空中に浮揚すること>って意味みたいです。

www.youtube.com

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If you wanna run away with me, I know a galaxy
And I can take you for a ride
I had a premonition that we fell into a rhythm
Where the music don't stop for life
Glitter in the sky, glitter in my eyes
Shining just the way I like
If you're feeling like you need a little bit of company
You met me at the perfect time


You want me, I want you, baby
My sugarboo, I'm levitating
The Milky Way, we're renegading
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah


I got you, moonlight, you're my starlight
I need you all night, come on, dance with me
I'm levitating
You, moonlight, you're my starlight
I need you all night, come on, dance with me
I'm levitating


I believe that you're for me, I feel it in our energy
I see us written in the stars
We can go wherever, so let's do it now or never
Baby, nothing's ever, ever too far
Glitter in the sky, glitter in our eyes
Shining just the way we are
I feel like we're forever every time we get together
But whatever, let's get lost on Mars


You want me, I want you, baby
My sugarboo, I'm levitating
The Milky Way, we're renegading
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah


I got you, moonlight, you're my starlight
I need you all night, come on, dance with me
I'm levitating
You, moonlight, you're my starlight
I need you all night, come on, dance with me
I'm levitating


You can fly away with me tonight
You can fly away with me tonight
Baby, let me take you for a ride
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah
I'm levitating 
You can fly away with me tonight
You can fly away with me tonight
Baby, let me take you for a ride
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah 


My love is like a rocket, watch it blast off
And I'm feeling so electric, dance my ass off
And even if I wanted to, I can't stop
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah
My love is like a rocket, watch it blast off
And I'm feeling so electric, dance my ass off
And even if I wanted to, I can't stop
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah


You want me, I want you, baby
My sugarboo, I'm levitating
The Milky Way, we're renegading


I got you , moonlight, you're my starlight
I need you all night , come on, dance with me
I'm levitating 


You can fly away with me tonight
You can fly away with me tonight
Baby, let me take you for a ride
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah 
I'm levitating
You can fly away with me tonight 

You can fly away with me tonight
Baby, let me take you for a ride
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah

 

I got you, moonlight, you're my starlight 
I need you all night, come on, dance with me
I'm levitating
You, moonlight, you're my starlight 
I need you all night, come on, dance with me
I'm levitating

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私と一緒に逃げたいなら、銀河を知ってるわ
あなたを連れて行ってあげる
予感したんだ、私たちリズムの中に落ちたって
そこは一生、音楽が止まらない場所
空にキラキラ、私の目にもキラキラ
私の好きな感じで輝いている
もしちょっと仲間が欲しい気分なら
完璧なタイミングで私に出会ったのよ


あなたは私が欲しい、私はあなたが欲しいの、ベイビー
私のシュガーブー、私は宙に浮いている
天の河で 二人はレネゲード・ダンスしている
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah


私にはあなたがいるわ、ムーンライト、あなたは私のスターライト
一晩中あなたが必要なの、さあ、一緒に踊ろうよ
私は宙に浮いてるの
あなたは、ムーンライト、あなたは私のスターライト
一晩中あなたが必要なの、さあ、一緒に踊ろうよ
私は宙に浮いてるの

 

あなたは私のためにいるのよ
二人ののエネルギーでそれを感じる
運命だって私にはわかる
私たちはどこにだって行ける、だから、今しかできないことをしよう
ベイビー、何があっても、何があっても遠くへは行かないよ
空にキラキラ、私の目にもキラキラ
二人ありのままで輝いている
一緒にいるといつも永遠のように感じるの
だけど、とにかく、火星に行っちゃおう


あなたは私が欲しい、私はあなたが欲しいの、ベイビー
私のシュガーブー、私は宙に浮いている
天の河で 二人はレネゲード・ダンスしている
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah


私にはあなたがいるわ、ムーンライト、あなたは私のスターライト
一晩中あなたが必要なの、さあ、一緒に踊ろうよ
私は宙に浮いてるの
あなたは、ムーンライト、あなたは私のスターライト
一晩中あなたが必要なの、さあ、一緒に踊ろうよ
私は宙に浮いてるの

 

あなたは今夜、私と一緒に飛び去っていけるわ
あなたは今夜、私と一緒に飛び去っていけるわ
ベイビー、あなたを乗せてあげるよ
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah
私は宙に浮いてるの
あなたは今夜、私と一緒に飛び去っていけるわ
あなたは今夜、私と一緒に飛び去っていけるわ
ベイビー、あなたを乗せてあげるよ
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah


私の愛はロケットみたい、発射するからよく見て
気分はすごくエレクトリック 踊り明かそう
止めたくても止められない
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah
私の愛はロケットみたい、発射するからよく見て
気分はすごくエレクトリック 踊り明かそう
止めたくても止められない
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah


あなたは私が欲しい、私はあなたが欲しいの、ベイビー
私のシュガーブー、私は宙に浮いている
天の河で 二人はレネゲード・ダンスしている


私にはあなたがいるわ、ムーンライト、あなたは私のスターライト
一晩中あなたが必要なの、さあ、一緒に踊ろうよ
私は宙に浮いてるの


あなたは今夜、私と一緒に飛び去っていけるわ
あなたは今夜、私と一緒に飛び去っていけるわ
ベイビー、あなたを乗せてあげるよ
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah
私は宙に浮いてるの
あなたは今夜、私と一緒に飛び去っていけるわ
あなたは今夜、私と一緒に飛び去っていけるわ
ベイビー、あなたを乗せてあげるよ
Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah


私にはあなたがいるわ、ムーンライト、あなたは私のスターライト
一晩中あなたが必要なの、さあ、一緒に踊ろうよ
私は宙に浮いてるの
あなたは、ムーンライト、あなたは私のスターライト
一晩中あなたが必要なの、さあ、一緒に踊ろうよ
私は宙に浮いてるの

                      (拙訳)

 

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デュア・リパ「Levitating」の楽譜はこちら

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 このMVは懐かしい日本のアニメのタッチになっていますが、オフィシャルなミュージック・ビデオとはまた別に制作された”オフィシャル・アニメイテッド・ミュージック・ビデオ”で、日本のアニメーション・チーム”NOSTALOOK(ノスタルック)”が制作したものです。

 

 さて、パンデミックで世界が大きく揺れた2020年に、一気に”時代の歌姫”の座についたのがデュア・リパです。

 今年のグラミー賞も賑わせた彼女のアルバム・タイトルは「フューチャー・ノスタルジア」。それは、彼女自身が思いついたコンセプトでした(NOSTALOOKのビデオはまさにフューチャー・ノスタルジアですね)。

 

 しかし、未来の郷愁とか、懐かしい未来、というのは決して目新しいコンセプトではなく、かなり前から見聞きしてきたもののような気がします。

 ただ、このコンセプトはまさに、今の時代にこそしっくりくるものなんじゃないかとも僕には思えます。

 

 20世紀にSFやアニメなどで描かれた21世紀はまさに”夢のような世界”でした。しかし、現実に21世紀になった今では、明るい未来を描くことができなくなりました。例えば、今作られているSF映画や近未来をテーマにしたドラマのほぼ全部が”ディストピア”ものです。

 

 今のこの時代に、ポジティヴに描くことができるのは、20世紀から見た21世紀のような、ただ”懐かしい未来”だけ。などと言ってしまったら少し悲観的すぎるのでしょうか。

 (ただ、海外で日本のシティポップが盛り上がったのも、それが”懐かしい未来”とリンクしたからだと僕には思えます)

 

 素晴らしいコンセプトは、誰が最初に考え実行したか、ということより、どういうタイミングでどんな形で提案できたかのほうが大事な気がします。そういう意味では、デュア・リパはタイミングも作品自体もうまくピタッとハマったのかもしれません。

 

 音楽的には、彼女はどうアプローチしたのでしょう。

「両親が好きだった音楽を聴いて育った思い出に触れて、それを今に再現したかったの。ジャミロクワイやブロンディ、プリンスとかね。それは心をオープンにして傷つきやすくいられること、そしてダンスをしてハッピーでいられることのお祝いなの。ダンスして泣く(Dance-Crying)のが大事なことなの」

 (People   April 24, 2020)

 

 ”Dance-Crying”とは彼女が自分の音楽の特徴を示す言い回しのようで、踊っているけど、泣いているような音楽、ダンスを楽しんでいるけど歌詞には深い意味がある、そんな音楽を作りたいと彼女は考えているとのことです。

 

 コソボ出身のアルバニア系移民だったという彼女の両親は音楽が好きで、父親はミュージシャンでもあったようです。彼女が子供の頃、家族は一度ロンドンからコソボに戻りましたが、彼女が15歳の時、歌手になるためロンドンに戻り、YouTubeにアップした歌のカバー動画が話題になり、彼女はラナ・デル・レイのマネージメントと契約し、2015年にデビューを果たします。

 

 彼女が大ブレイクしたきっかけは2017年の「New Rules」という曲でした(全英1位、全米6位)。

www.youtube.com

 

 そして、”フューチャー・ノスタルジア”のコンセプトのもと、彼女はセカンド・アルバムはポップでダンサブルなものにしたわけですが、リリース目前でコロナの大流行が始まったため、リリースをためらったそうです。

 しかし、発売してみると、そのインドアでも楽しめるダンス・ミュージックが世界中で支持されることになりました。

 

「以前はもっと悲しい、心の痛みについての曲を書きたいと思っていた。ハッピーな曲だと、安っぽくなる気がして。でも今回は、そういう気持ちと戦わなければならなかった。それは、『私は幸せだ。私は幸せに値する人間だ』と思っていたから。ハッピーな思いを、アーティストとして妥協をしているのでは?という恐れを抱くことなく、きちんと曲にできなければ意味はない。だって、今は泣くような出来事もないし、誰かを思って泣くこともないのだから」

 (VOGUE     2021年5月25日)

「最初のアルバムでは、悲しみについて書くのが一番簡単だったような気がするの。今回のアルバムでは、自分の安全圏から抜け出して、ハッピーなことを書いてもいいんだと自分に言い聞かせ、その時の気分を書くことができたと思う」

( Variety  

 

 あくまでも僕個人の見解なんですが、今の新しい音楽をネットでチェックしていていつも思うのは、この時代は暗い気持ちを歌にすることの方が断然ナチュラルだし作りやすくて、聴く側も共感できるんだろうな、ということです。特に歌詞ですが。

 逆に明るい曲を作るのは難しい。彼女のように「ハッピーなことを書いてもいいんだ」と自分に言い聞かせなければ書けない、というのはすごく印象的に思えます。

 でも、その、思い切って書いたというハッピーな曲が彼女の大ブレイクにつながったというのは興味深いことです。しかもこのパンデミック下で。

 

 

「フューチャー・ノスタルジア」のために最初に録音されたという、この「レヴィテイティング」について、共作者であるサラ・ハドソンはこんなエピソードを語っています。

「はじめ、いろいろアイデアを試してみんだけど、気に入ったものがなかったの。その後、面白い話があって。デュアが "ドーナツを注文しよう、この店でドーナツを買うわ "と言い出したんです。私たちは皆「ええ?ドーナツ、、」って感じだった(笑)。それで、デュアがドーナツを注文し、私たちはドーナツをたくさん食べて、みんなで”シュガー・ハイ”になったの。面白いことに、この曲には "sugarboo "というフレーズがあるの。そして、私たちエネルギーがみなぎってきて、ハイテンションになったの。そして、Koz(プロデューサーに一人)がこのアイデアを演奏し始めたのですが、これがとても楽しかった。私たちは、文字通り、ただ踊って、歌って、最高に楽しみながらあの曲を作りました。あなたがこの曲を聴いたときに感じるエネルギーは、私たちがこの曲を作っていたときのエネルギーそのものなの」

(Songwriter Universe  February 22, 2021)

 

 ハッピーな歌を作るには、ドーナッツでもなんでもいいから、作り手がまずハッピーなテンションになることが大切なようですね。

 

 彼女の最新作はエルトン・ジョンのニュー・アルバム用にデュエットしたものですが、サウンドはエルトンのほうが彼女の土俵でやっている感があります。彼女のほうが「ロケット・マン」のフレーズを歌っているというところがいいですね。

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Levitating

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