まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「Loretta」 Ginger Root (2021)

 おはようございます。

 今日はGinger Rootの「Loretta」を。

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Loretta, I see you walking now and then
Loretta, I see you coming near

Why's it oh so hard to turn back and finally whisper
How are we supposed to carry on?


Well I've got to for now

Forget her,and everything she said ,she lied
I met her, morning noon and night
Well I'd say I fooled ya
So Loretta, you never won the fight


Why's it oh so hard to turn back and finally whisper
How are we supposed to carry on?
Well I've got to for now

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ロレッタ、ときどき君が歩くのを見かけるよ

ロレッタ、僕に近づいてくる

どうして振り返るのがこんなに辛い

そしてとうとうささやく

僕たちうまくやっていけそうかな

 

いまはそうしなくちゃ

忘れなきゃ、彼女の言うことは、全部嘘なんだ

彼女に会ったんだ、朝、昼、晩

僕はこう言うよ、君をからかっていたと

君はこの勝負に勝てないよ

 

どうして振り返るのがこんなに辛い

そしてとうとうささやく

僕たちうまくやっていけそうかな

 

いまはそうしなくちゃ、、、

          (拙訳)

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 このMVを最初見はじめたときには”シティポップをなめとんのか〜”って言いそうになりましたが、見ていくうちに”よくできてるな〜”と感心してしまい、その勢いでこの曲のひと月前にアップされた曲をチェックしてみたら、こいつはなかなかの強者だと確信しました。

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 Ginger Root(ジンジャールート)は、カリフォルニア州ハンティントンビーチをベースに活動するCameron Lew(キャメロン・ルー)によるインディー・ソウル・プロジェクトです(ライヴなどでは、ベースとドラムスがサポートに入ります)。

 

 キャメロンはチャップマン大学で映画制作を専攻し、グラフィック・デザインを副専攻していたそうで、そのスキルを活かして、音楽制作だけじゃなく、ビデオクリップの制作やジャケットのアートワークも手がけています。

 音楽面でもキーボード、ギター、ベース、ドラムも演奏できるようで、まさにマルチな人のようです。

 Ginger Rootという名前は、彼が大好きなバンドVulfpeckがYouTubeにアップしていた「It Gets Funkier」のライブ映像の中で、フロントマンのJack Strattonが「uh, uh ginger root」と言っていたことからつけたそうです。

 

 2017年の「TWO STEP」という曲が彼の最初のリリースでした。

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 サブスクではこの曲が人気のようです。2019年リリースの「B4」。

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 また彼のYouTubeには「Toaster Music」というカバー曲を録音するビデオシリーズがあって、撮影、編集、ミックスまですべて彼が自分の車の中で行っています。ポール・マッカートニー「カミング・アップ」やグレン・キャンベル「恋はフェニックス」などのほか、先日このブログでもとりあげた秋元薫の「DRESS DOWN」もやっています。

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 彼は日本のシティポップもよく聴いているみたいですね。それと、秋元薫の「DRESS DOWN」はやっぱり海外で人気だったこともわかりますね。

  2020年にはアルバム「Rikki」をリリース、その時期彼はフランス語を学び、フランスの音楽やセルジュゲンズブールの映画などに夢中になっていたらしく、それが反映された曲も収録されています。

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そして、コロナ禍のロック・ダウン中の昨年には彼は日本語の勉強をしていたそうで、それがインスピレーションになったのでしょうか、2021年8月にリリースするEP「City Slickers」は、かれのTwitterによると

   <年は1981年、ジンジャー・ルートは架空の日本映画”街のやつ”のアメリカ版のサウンドトラックを依頼された>

 というテーマで制作されたもので、そこに収録されるのが「Loretta」と「Neighbor」です。

  それを考えると、彼のミュージック・ビデオは単に日本の80年代をパロっていたのではなく、日本のイメージを曲解して表現していた1980年頃のアメリカ映画のパロディということなんですね。

 1980年代の文化を再編集する、ヴェイパー・ウェイヴ、フューチャー・ファンクのスタイルも彼はしっかり頭に入れながら作っているのでしょう。

 

 ここにきて日本でも彼に注目されてきているようで、彼のTwitterではサブスクの彼のリスナー数がアメリカを抜いて日本が1位になったと書かれていますし、日本のインディーズ・バンド(Downtown Market)のリミックスも手がけているようです。

 

 今後、注目すべきアーティストかもしれませんね。

 最後は、彼が今年2月にアップした「残酷な天使のテーゼ」のカバーを。彼が一人で全部の楽器を演奏しているそうですが、日本のアニメ文化も理解していそうな曲の解釈です。このローファイな感じがなんだか心地よくもあります。

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<追記>この曲が収録された「City Slicker」の他の曲のMVが次々とアップされましたのでぜひ!

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