まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「Animal Spirits」Vulfpeck(ヴルフペック)(2016)

 おはようございます。

   今日はヴルフペック。LA出身のインディーズ・バンド。

 ここ数年で僕が聴いた中で、最もポップで楽しい曲じゃないかなあ、と思っています。

 日本向けに訳詞をつけたMVを作ってくれています。


VULFPECK /// Animal Spirits

 ネットで調べてみると、”ミニマム・ファンク・バンド”なんてカテゴライズされていますが、最小限の編成でファンキーなサウンドをやるグループということなんでしょうね。

 メンバーはジョー・ダート(ベース)、ウッディ・ゴス(キーボード)、ギター、ドラムやキーボードなどマルチ・プレイヤーのジャック・ストラットンとテオ・カッツマンの4人。

 彼らは、”打ち込み”が圧倒的に主流のいま、1960年や70年代のスタジオ・ミュージシャンたちへのリスペクトを反映させた音楽作りをしています。

 

 例えば、注目のシンガー、ジョーイ・ドーシックをメインに迎えたこの曲では、まさにレジェンドであるミュージシャン、デヴィッド・T・ウォーカー(ギター)とジェームス・ギャドソン(ドラム)が参加しています。こういう試みは素晴らしいですね。

 


VULFPECK /// Running Away (feat. Joey Dosik, David T. Walker & James Gadson)

 

 しかし、彼らは単なる古き良き音楽を愛好する通好みの面々ではなく、2014年にはSpotifyに無音の音源をアップして200万円くらい売り上げて、自分たちのツアー資金にしたり、今年はクラウドファンディングを使って、カーネギー・ホールでのライヴの2枚組アルバムを発売するなど、ユニークな曲者っぷりもかなり発揮しています。

 

 さて、「Animal Spirits」という言葉ですが、単に動物的な本能のことかなと思ったのですが、そこから派生した経済用語として知られているみたいで、経済学者のケインズが唱えたものらしいです。

 投資の動機となる"将来に対する主観的な期待"のことを指すようで、衝動や野心から時として予測不能で不合理な行動をする心理もそれにあたるようです。

 この歌では、”彼女はアニマル・スピリッツを持っている”と歌っているので、投資が好き、ということじゃなく”予測不能な不合理な行動をとる”という風に理解するのがよさそうです。

 アニマル・スピリッツなんて言葉を飄々とポップソングに使うあたりも、なかなかの曲者だと思います。

 せっかっくなので、この曲のMVのドローン撮影ヴァージョンもあるのでそれも貼り付けます。

 

 

 
VULFPECK /// Animal Spirits (Official Drone Video)

 

Animal Spirits

Animal Spirits

  • アーティスト:Vulfpeck
  • 出版社/メーカー: Vulf Records
  • 発売日: 2016/10/17
  • メディア: MP3 ダウンロード
 
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