おはようございます。
今日はグレン・キャンベルの「ガルベストン」です。
Galveston, oh, Galveston
I still hear your seawinds blowing
I still see her dark eyes glowing
She was twenty one, when I left Galveston
Galveston, oh, Galveston
I still hear your seawaves crashin
While I watch the cannons flashin'
I clean my gun, and dream of Galveston
I still see her standing by the water
Standing there looking out to sea
And is she waiting there for me
On the beach where we used to run
Galveston, oh, Galveston
I am so afraid of dying
Before I dry the tears she's crying
Before I watch your sea birds flying
In the sun, at Galveston, at Galveston
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ガルベストン、おお、ガルベストン
なつかしい海風が今も聴こえるよ
あの娘の黒い瞳の輝きが今も目に浮かぶ
彼女は21歳だった、僕がガルベストンを後にした時は
ガルベストン、おお、ガルベストン
波の砕ける音が今も聴こえるよ
こうして大砲が火を吹くのを見ている間もね
僕は銃を磨き、ガルベストンを夢に見るんだ
波打ち際に立つ彼女が今も目に浮かぶ
そこに立って、遠く海を見つめているんだ
そこで彼女は僕を待っていてくれるだろうか?
二人よく走ったあの渚で
ガルベストン、おお、ガルベストン
僕は死ぬのがとても怖いんだ
まだ彼女の涙をふいてあげていないし
まだあの海鳥が太陽に向かって飛ぶ姿を見ていないから
あのガルベストンの、あのガルベストンの、、、 ”(拙訳)
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ガルベストンはアメリカ、テキサス州にあるメキシコ湾に面した古い港町(ヒューストンのすぐ南)で、この曲の作者ジミー・ウェッブは実際にガルベストンの浜辺で書いたと言います。
ジミー・ウェッブが作ってグレン・キャンベルが大ヒットさせた歌には他に「恋はフェニックス」と「ウィチタ・ラインマン」と、地名が入った曲という共通点があって、日本のファンには”ご当地ソング3部作”などと呼ばれています。
「恋はフェニックス」は恋人の元を離れ一人車を走らせる男の歌で、「ウィチタ・ラインマン」は恋人を思いながら黙々と働く架線工の歌、そしてこの「ガルベストン」は戦地から故郷に残した恋人のことを思う歌で、歌の世界が情景をイメージしやすく感情移入しやすいものであれば、その土地に行ったことがあるかないかなどは関係なくなるんだということを証明しています。
(「函館の女」とか「長崎は今日も雨だった」などをカラオケでよく歌う人の中にはその土地に行ったことのない人もたくさんいるでしょう)
特にこのご当地ソング3部作に共通しているのは、主人公はある女性のことを思っていて、今彼女と彼は遠く離れている状況にある、ということです。具体的な土地名をあげることで”その距離”を強く印象づける効果があるのではないかと僕は思います。
また「ガルベストン」をジミーが書いた時、メキシコ湾の向こうにキューバがある場所だったからでしょうか、米西戦争に赴いた兵士をイメージしたそうですが、曲が発売された時はちょうどベトナム戦争の最中で、聴いた人はみな主人公はベトナム戦争に行っているのだと解釈したそうです。
さて、この「ガルベストン」ですが、最初に歌ったのはグレン・キャンベルではありません。
オリジナルはドン・ホーというハワイ出身のエンターテイナーで彼は「タイニー・バブルス」という曲で知られています。
こちらが「ドン・ホー」のヴァージョンです。シングルのB面でした。
1st RECORDING OF: Galveston - Don Ho (1968)
2番の歌詞が違いますね
”Galveston, oh Galveston Wonder if she could forget me
I'd go home if they would let me
Put down this gun And go to Galveston
ガルベストン、ガルベストン。彼女は僕のことを忘れられるだろうか?
彼らが許してくれたら 家に帰るのに 銃を置いてガルベストンに行くんだ”
グレンのヴァージョンのほうがいい気がしますね。目の前で大砲の音がしているのに、そこに遠い波音を重ねるというのがすごく切ないですし。
ちなみに、ドンが1969年にキャンベルの番組『ザ・グレン・キャンベル・グッドタイム・アワー』に出演した時に、キャンベルにこのシングルのコピーを渡し、"俺はこれで運がつかめなかったけど、たぶんお前ならいけるんじゃないか "と言ったことから、このカバーは生まれたと言われています。
最後に2001年のグレンのライヴ・ヴァージョン。1960年代にアメリカ西海岸の凄腕スタジオ・ミュージシャン集団”レッキング・クルー”のギタリストとして鳴らしたグレンの素晴らしいギター・ソロが聴けます。
Glen Campbell Live in Concert in Sioux Falls (2001) - Galveston
ジミー&グレンの”ご当地ソング3部作”のあと2作です。
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