まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ファミリー・アフェア(Family Affair)」スライ&ザ・ファミリー・ストーン(1971)

おはようございます。

今日もスライ&ザ・ファミリー・ストーンでいきます。「ファミリー・アフェア」です。


Sly & The Family Stone - Family Affair (Audio)

It's a family affair
It's a family affair
It's a family affair
It's a family affair


One child grows up to be
Somebody that just loves to learn
And another child grows up to be
Somebody you'd just love to burn


Mom loves the both of them
You see, it's in the blood
Both kids are good to mom
Blood's thicker than the mud


It's a family affair
It's a family affair
It's a family affair
It's a family affair
Over there, world gone bad


Newlywed a year ago
But you're still checking each other out, hey
Nobody wants to blow
Nobody wants to be left out, uh-huh


You can't leave 'cause your heart is there
But, sure, you can't stay 'cause you been somewhere else
You can't cry 'cause you'll look broke down
But you're cryin' anyway 'cause you're all broke down


It's a family affair
It's a family affair

***********************************************************

 

 ”それは家族の中の問題さ

 それは家庭内の問題さ

 ある子供は学ぶことが大好きな人間に育ち

 他の子は人が馬鹿にしたくなるような人間に育つ

 ママはどちらの子も愛してる

 わかるだろ、それが血の繋がりなんだ

 どちらの子もママにはやさしい

 血は泥より濃いものさ

 

 一年前に結婚したばかり

 でも、今もまだお互いを探り合っている

    機会を台無しにしたいヤツはいないし

    仲間外れにされたいヤツもいない

 おまえは出ていけないんだ 気持ちはまだそこにあるから

 でも居るわけにもいかない お前はずっとどこか違う場所にいるのだから

    お前は泣くことはできない ダメになったように見えるから

 でも、どっちみちお前は泣いている すっかりダメになってしまったから

 

 これは家族の中の問題だ、、、、”            (拙訳)

 

***********************************************************************

 

 それまでの派手なファンク・サウンドから一転、リズム・ボックスを使い”ミニマムなサウンド”に舵を切った代表作

 

   ”One child grows up to be somebody that just loves to learn
  And another child grows up to be somebody you'd just love to burn ”

 

  というところがあって、この「burn」ってどういうことだ?と途方にくれました。

「learn」と韻を踏むために選ばれた言葉のわけですが、CDのブックレットの和訳をはじめネットの和訳でもすべて文字通り「燃やしたくなる」といった感じで訳されていましたが、どうも腑に落ちないのでいろいろ調べていたら、スラングで「蔑む」「からかう」という意味があることを見つけ、ピンときたのでそちらを採用させていただきました。

 

 それから、"Blood's thicker than mud"という歌詞が出てきます。これは、古くからの"Blood is thicker than walter"(血は水よりも濃し)をスライなりに改変したものでしょう。水の代わりにmud(泥)にすることで、悪い意味でも血の繋がりは濃いと強調したのでしょう。

 

 さて、昨日紹介した「エブリデイ・ピープル」の大ヒットをきっかけにして、この当時、スライ&ザ・ファミリーストーンは完全に”覚醒”します。

 他には類のないオリジナリティや創作力を発揮しながら、商業的にも猛烈に魅力的な作品を連発していったのです。

 

  「ファミリー・アフェア」が収録されたアルバム・タイトル曲「スタンド」全米最高22位。


Sly & The Family Stone - Stand! (Audio)

 「ファミリー・アフェア」に続く2曲めの全米NO.1ヒット「サンキュー」。「グレーテストヒッツ」に収録。ジャネット・ジャクソンの「リズム・ネーション」にもリズムが引用されています。


Sly & The Family Stone - Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin) (Audio)

  

   バンドとしてのピークは「スタンド」と「グレーテスト・ヒッツ」に一番強く反映されていると思います。

 富と名声を得たアーティストの常として(?)、少なくともこの時代では常なように思いますが、スライ・ストーンはドラッグにどっぷり浸かるようになります。彼の立ち振る舞いや雰囲気も大きく変わっていったといいます。

 そのことはもちろんバンド活動にも大きな支障があったわけですが、クリエイティヴィティという点に限っては、新しいフェーズに彼を導くことになりました(もちろんドラッグを肯定するわけではありませんが)。

 

 そして「スタンド」から2年ぶりに作ったアルバム「暴動」からのファースト・シングルにして3週にわたって全米NO.1を獲得したのがこの「ファミリー・アフェア」でした。

 それまでの有無を言わせない圧倒的なノリは消え、この時代では最初期であるリズム・ボックスを採用しています。

 調べてみると、レコーディングに参加しているバンド・メンバーは、ボーカルのローズ・ストーン(妹)のみです。

 録音には、アーティストとしても有名なビリー・プレストン(エレピ)とボビー・ウーマック(リズム・ギター)が参加していて、その他の楽器は全てスライ本人が担当しているのです。

 彼はバンド優先から、クリエイティヴ優先に完全に舵を切ったのでしょう。「暴動」はスライ・ストーンの創作力の凄みが最も発揮された作品になります。

 

   さて「ファミリー・アフェア」はリズム・マシーンを使った最初期のヒットの一つと言われていますが、スライはその以前にリズムマシーンを使って他のアーティストのプロデュースをしています。

 リトル・シスターという女性3人組で、スライの妹ヴェットがメンバーの一人でした。「スタンド」に収録されていた「Somebody's watching You」をカバーさせていますが、「ファミリー・アフェア」の雛型とも言えなくもない楽曲になっています。

(全米32位 R&Bチャート8位とかなり健闘しています)

 


Little Sister - Somebody's Watchin You 1970

 

最後にこの曲のライヴ映像を2つ。

 

ファミリー・アフェア」の当時のTV番組の映像。最後まで妹と二人っきりです。


Family Affair - Sly & Family Stone (UK#15 USA#01) 1972

 そして2007年のライヴ映像


Sly & The Family Stone - Family Affair

 

 

 

 

 

popups.hatenablog.com

popups.hatenablog.com

popups.hatenablog.com

 

ネットオフ

楽器買取専門店【楽器の買取屋さん】最短30分の無料の出張見積もり

お名前.com