まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ウェイト・フォー・ミー(Wait For Me)」ダリル・ホール&ジョン・オーツ(1979)

 おはようございます。

 今日はホール&オーツの「ウェイト・フォー・ミー」。特に日本のファンから人気の高い曲のようですが、僕も彼らの曲の中ではこれが一番好きです。


Daryl Hall & John Oates - Wait For Me (Official Video)

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Midnight hour almost over
Time is running out for the magic pair
I know you gave the best that you have
But one more chance
Couldn't be all that hard to bear

Wait for me, please
Wait for me

I guess that's more than I should ask
Why won't you wait for me
Please, wait for me 
Although I know the light is fading fast

You could go either way
Is it easier to stay
I wonder what you'll do
When your chance rolls around
But you gotta know how much I want to keep you
When I'm away I'm afraid it will all fall down
Please, wait for me
So, wait for me, please
Alright, I guess that's more than I should ask
But, won't you wait for me 
Although I know the light is fading fast


Love is what it does and ours is doing nothing
But all the time we spent, it must be good for something
Please forgive all the disturbance I'm creating
But you got a lot to learn if you think that I'm not waiting for you

So, wait for me, please
Wait for me
Oh I, I guess that's more than I should ask
So, won't you wait for me
Please, wait for me
Oh God, I know the light is fading fast

You've got a lot to learn if you think that I'm not waiting for you

So, wait for me, please
Wait for me
Alright, I guess that's more than I should ask
So, won't you wait for me
Please, wait for me 
Oh no, I know the light is fading fast, yes it is


You've got a lot to learn if you think that I'm not waiting for you

 

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 ” 真夜中はもう終わる

   二人にかけられた魔法も解けようとしている

   君ができるだけのことをやったのはわかってる

   でも、もう一度だけチャンスをくれることは

   そこまで耐え難いことじゃないはず

 

   僕のことを待ってほしい、どうか、待ってほしい

   わかってる そんなことを頼める立場じゃないってことは

   だけど、どうか待ってくれないか 待ってほしい

   光はあっという間に消えてしまうのは知っているけど

 

   君はどちらの道も選べるけど

      ここに残ることのほうが楽かもしれないだろ

      次のチャンスがきた時に君がどうするのかわからないけど

   僕がどれだけ君がいてほしいと思っているか、わかっていてほしい

   僕が離れてしまえば 全てが壊れてしまう気がする、、

    

    愛とは真に愛することで 僕らの場合はちゃんとしていなかったんだね

      だけど二人で過ごした時間は無駄ではないはず

   どうか愛を妨げてきた僕の行いを許してほしい

    だけど、僕が君のことを待っていないなんて絶対に思わないでほしい

 

      僕のことを待ってほしい、どうか、待ってほしい

   わかってる そんなことを頼める立場じゃないってことは

   だけど、どうか待ってくれないか 待ってほしい

   光はあっという間に消えてしまうものだけど   "   (拙訳)

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 まだ僕が中学生だった頃、何かのFM番組でふいにこの曲がラジカセから流れてきた瞬間に自分が気持ちよく高ぶってゆくような感覚と、その瞬間の部屋の空気感を不思議なことに40年もたった今でもよく覚えています。以来、僕にとってFMでラジカセから流れてくる曲といえばこれなんです。

 ずっと後になってこのPVを初めて見たときに、まさにそんな導入部だったのでなんだか泣きそうになってしまいましたが、、(苦笑。

 

 プロデュースはデヴィッド・フォスター。「ウェイト・フォー・ミー」が収録されたアルバム「モダン・ポップ(X-Static)」の前作「赤い断層(Along the Red Ledge)」から続いての起用です。

 これはTOTOデヴィッド・ペイチが彼をホール&オーツのマネージャーだったトミー・モトーラに紹介したのがきっかけで始まったそうです。

 ちなみにこのトミー・モトーラ、のちにCBSレコードの社長になってマライア・キャリーのデモテープを聴いて彼女を一気にスターにするという”シンデレラ・ストーリー”の立役者、そして旦那にまでなったことで(のちに離婚)大変に有名になる人です。

 

 デヴィッド・フォスターも自伝ではホール&オーツとの仕事の内容には触れず、トミーはギャングのような雰囲気が漂っていて、いつか彼が世界を支配する日が来るんじゃないかという確信に似た思いがあった、などと語っています。

 

 ともあれ、1980年代に爆発的に売れることになる両者の組み合わせだったのですが、時代とタイミングが合わなかったのかセールス的には成功しませんでした。

 

 というわけで、デヴィッド・フォスター・プロデュースの「赤い断層」と「モダン・ポップ」は彼らの低迷期の作品として括られているわけですが、この2作の肌触りが結構違っているように僕は思っていました。

 

 「赤い断層」はそれまでの彼らの作品の延長線上のように聴こえるのに対して、「モダン・ポップ」はその後の彼らの大ヒット作「モダン・ヴォイス」「プライヴェート・アイズ」につながるような”原型”を感じるのです。”ロック&ソウル”のスタイルから”ポップ”へと覚醒し始めているというか。

 そう「赤い断層」と「モダン・ポップ」の間に実は”断層”があるんじゃないか、というのが僕の考えです。

 売れなかった作品ということで、ホール&オーツも、デヴィッド・フォスターも詳しく語ってくれていないのでその理由は謎のままではありますが。

 なので、あくまでも僕の推測ですが、「赤い断層」は両者の初顔合わせで探り合う部分もあり、しかもジョージ・ハリスントッド・ラングレンロバート・フリップといった豪華なゲストも入っていたため、いまいちダリル・ホールの本領が発揮されていなかったように思います。そして、「モダン・ポップ」になるとお互いやりやすくなり、デヴィッドとダリルの共同プロデュースにもなったので、よりダリルの能力を発揮しやすい環境になったのでしょう。

 今までずっと他の人のプロデュースで作ってきた彼らなので、全体的にはまだ散漫になるところはあったとしても、何をどうやりたいのか、どうやるべきかという感覚とスキルがつかめたのだと思います。

 そして初めての自分たちのプロデュースによる次作「モダン・ヴォイス」で大ブレイクすることになるわけです。

 

 ですから、この時期は彼らにとって”低迷期”などではなく、ポップ・クリエイター、ダリル・ホールの覚醒期であり、ポップ・アーティストとしてのホール&オーツのスタイルを形成していった”目に見えない上昇期”だったんじゃないでしょうか。

 

  ちなみにダリル・ホールは「モダン・ポップ」が売れなかったことについて

「ロック好きはディスコだって僕らのことを責めるし、ディスコ好きには僕らはすごく奇妙で、R&Bというには十分じゃなかった。その時の僕らはどのジャンルの友達でもなかったんだ」

 と語っています。

 そしてその後彼らは、これはロックだ、ソウルだ、ディスコだ、とかいう括りが関係ないほどの”ポップさ”を獲得したことで大ブレイクを果たします。 

 

 僕は70年代の彼らも80年代の彼らも両方好きなのですが、その過渡期に生まれた「ウェイト・フォー・ミー」にはその両方の要素がうまく溶け合っているからこそ、今も僕は好きなのかもしれないですね。

 そしてあらためて聴くとメロディの節々に、彼らの初期の師匠であるトッド・ラングレンっぽさをちょっと感じます。

  (特に”OhI guess that's more than I should ask ”っていうあたりは特に)

 この

 なんて思っていたら、ファンには有名なダリルの番組「Live From Daryl's House

でこの曲をトッドと共演している映像がありました。二人の共作なんじゃないかと思うくらいよくハマっています。


"Wait For Me"- Daryl Hall, Todd Rundgren

 

 

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