まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ドリーム・タイム(Dream Time)」ダリル・ホール(1986)

 おはようございます。

 今日はホール&オーツのダリル・ホールの「ドリーム・タイム」です。


Daryl Hall - Dreamtime

   ”そこに立つ君を見て 君の怒りを感じたんだ 

  混み合った舞台にたちこめる暗い雲のような憤怒を

  君は空想の中で煙越しに話していた

     僕は君を知っている 何を信じたらいいのかも

 

 たぶん家であまりうまくいっていないんだね

 君の愛する人たちが全然気にかけてくれないんだ

 逃げ出したいんだね どこでもいいから

 逃げ出したいんだね それしかないんだね

 

 空想するのは全然いいことなんだよ

 君が僕を満足させられると思う言葉を言ってごらん

 だけど君はそれよりいいことを知っているんだよ

 だって君は嘘というのが何か知っているじゃないか

 

 君は夢の時間を生きている

 もう目覚める時間だ

 君は夢の時間を生きている

 もうしっかりやってゆく頃だ

 

    君の夢の中では 雲が空を覆い

 雨が降り出し 君の行く道を急かしている

 逃げ出したいんだね どこでもいいから

 逃げ出したいんだね それしかないんだね

 

 角を曲がると ドアが見える

 それを通り抜けると 君は床に倒れこむ

 ああ、そして見上げると 驚くことはない

 映画スターみたいな目をした男が立っている

 

 君はヤツが面倒見てくれるって思う

 君の心を見通すつもりのあの男が

 僕はもう逃げ道はないって言う

 だってヤツは嘘なんだから

 

 君は夢の時間を生きている

 もう目覚める時間だ

 君は夢の時間を生きている

 もうしっかりやってゆく頃だ

 君は夢の時間を生きている 逃げ出したくて

 

 こんなに早く破滅してしまう人は見たことがない

 ずっと続くはずはないとわかっていながら

 夢の時間に生きているんだ

 彼女が正しいと思う人に会ったことはない 間違っているとも

 夢の時間を生きることを続けていくのはむずかしいのさ、ガール” (拙訳)

 

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I saw you standing and I felt your rage
Like a dark cloud on a crowded stage
You were talking through the smoke in your fantasy
I know you girl, I know what to believe

Maybe things ain't been so good at home
And the people that you love never cared at all
You want to run away, don't care where you go
You want to run away, run away, that's all you know

Believe it's alright to fantasize
And say the words you think will satisfy me
But you know better than that
'Cause you know what's a lie

You're living in dreamtime, baby (you want to run away)
It's time to wake up, ooh
You're living on dreamtime, baby (you want to run away)
It's time to shape up

In your dream, it's overcast
Rain comes down, moving your way fast
You want to run away, don't care where you go
You want to run away, run away, that's all you know

You turn a corner and you see a door
Walk on through, throw yourself on the floor
Oh, when you're looking up, it's no surprise
Standing there is a man with movie star eyes

 

You think he's gonna take care of you
The man with the plan that'll see you through
And I say there ain't no way
'Cause I know he's a lie

You're living in dreamtime, baby (you want to run away)
It's time to wake up, ooh
You're living on dreamtime, baby (you want to run away)
It's time to shape up, shape up
You're living on dreamtime (you want to run away)
You're living on dreamtime, baby (you want to run away)
Want to run away, want to run away

I know I say

You're living in dreamtime, baby (you want to run away)
Shape up
You're living on dreamtime, baby (you want to run away)
It's time to wake up

I never saw anybody fall apart so fast
You're living in dreamtime you know it ain't gonna last
Never saw anybody think she's so right and be so wrong
Living in dreamtime, it's hard to carry on, girl

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 この曲は彼のソロ・アルバム「ドリームタイム(原題:Three Hearts in the Happy Ending Machine)」からのファーストシングルで、全米チャート最高5位まで上がるヒットになりました。

   1980年前半から半ばにかけてのダリル・ホール&ジョン・オーツはポップな曲が氾濫していたその時代においても頭一つ抜けていたように僕は思います。1981年から1985年まででトップ10入りしたシングルが11曲もあり、どれも見事なまでの”ポップ・ソング”でした。

 その勢いが続いている1986年にダリルが突如としてリリースしたソロ・アルバムが「ドリーム・タイム」で、共同プロデューサーにユーリズミックスデイヴ・スチュワートを迎え、ロンドンやパリでもレコーディングされたことが特筆されます。

 デイヴはこの前年にトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ(「サザン・アクセンツ」)、この翌年にミック・ジャガー(「プリミティヴ・クール」)といった大物アーティストの共同プロデュースを行っていて、まさにノリに乗っている時期でした。

 

 このアルバムを聴いた僕の個人的な妄想なのですが、1980年代前半のひたすら売れることを余儀なくされた時期の反動として、彼はもう少しパーソナルでアーティスティックなアプローチをしたくなってソロ・アルバムを制作しようと思ったが、レコード会社の強い要望でヒットしそうなシングルも用意せざるを得なくなり、作ったのがこの「ドリームタイム」だったように思います。

 

 共作者にJohn Beebyなる人物がクレジットされていますが、調べてみても他にめぼしい曲を書いた様子はなく、彼はプロのソングライターではなかったんじゃないかと思われます。

 「キッス・オン・マイ・リスト」や「プライベート・アイズ」といったホール&オーツのキャッチーな曲にはジョナ・アレンがソングライティングに大きく関与していることが知られていて、ダリル・ホール自身は本来はR&B色の強いソングライターで、それほどポップでキャッチーな曲を書くのは得意としてはいなかったんじゃないかというのが僕の見立てなんですが、このポップでキャッチーな「ドリームタイム」もJohn Beebyなる人物が、何かきっかけを作っているんじゃないかと僕は推測します。

 リフなのか、メロの一部なのか。とにかく、曲のほとんどはダリルが書いたにしろ、何かインスピレーションをもらったんじゃないかと思います。

 

 

 さて、この「ドリーム・タイム」日本のアーティストにも大きなヒントを与えたようで、ZARD「負けないで」大江千里「GLORY DAYS」などは明らかにこの曲にインスパイアされている気がします。


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 もちろん、どちらの曲も単に”パクリ”という言葉で片付けることのできない、日本人らしい素晴らしいポップ・ソングに仕上がっていることを僕は強調しておきたいと思います。

  そして、こんなレアなカバーを発見しました。歌っているのはなんと浅川マキ。でもオリジナルと同じなのはAメロだけなんですが、、、


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Dreamtime

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