まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲(せんきょく)を選曲(せんきょく)しました。。。古今東西のポップ・ソングのエピソード、洋楽和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。キャッチーでメロディアスなポップスは今の時代では”ニッチ”なものになってしまったのかなあとも思いますが、このブログを読んでくださる方の音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればと願っています。みなさんからの追加情報や曲にまつわる思い出などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「恋ほど素敵なショーはない」岩崎良美(1983)

 おはようございます。

 今日は岩崎良美の「恋ほど素敵なショーはない」です。

 昨日はオリビア・ニュートン・ジョンの「そよ風の誘惑」をピックアップしましたが、個人的にちょっとそれに似た質感を感じる曲です。

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  彼女の天性の可憐な声質、都会的に洗練されたレパートリーを考えると、代表曲が彼女にとって異色の「タッチ」とはなあ、、と僕は複雑な心境になるのですが、そういうことはポップスの世界では珍しくないことですし、たとえ1曲でも国民に長く広く知られている曲を持てたことだけでも、シンガーにとってはラッキーなことだろうとも思います。

 

 あらためて彼女のディスコグラフィを見ると、いま再評価されている”CITY POP”の人脈や、歌謡曲からJPOPへの移行期に活躍した名アレンジャーたちの名前が目立ちます。

 デビュー曲を作曲したのは芳野藤丸でした。僕の世代だと”SHOGUN"の人、という印象ですが、今はソロ作品やAB'S、藤丸バンドが今のCITY POPブームの中で人気みたいですね。

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 次のシングル「涼風」も芳野藤丸が作曲。「赤と黒」から一転、爽やかなポップス。

とはいえ、展開も凝っていてよくできた曲だと思います。

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 さて、この「恋ほど素敵なショーはない」を作曲したのは梅垣達志。荒井由実時代のユーミンのライヴでコーラスをやっていたこともある人で、彼女が作詞をした曲を含むソロ・アルバムもリリースしています。作曲家としては竹内まりやの「グッバイ・ユニヴァーシティ」の作・編曲、あと「真夜中のドア」が収録されていた松原みきのファーストアルバムにも2曲提供していますが、彼の代表作といえばこれでしょう。


気絶するほど悩ましい  Char

 

 そして、この曲のアレンジャー、大村雅朗の手腕もやはり見事です。

 彼女は大谷和夫船山基紀清水信之佐藤準芹澤廣明などこの時代の最高のアレンジャーたちと仕事をしていますが、歌謡曲感は抑えめで、少し洋楽風の軽快で洗練されたアレンジが彼女の声には合うように僕は思います

 そう考えると大村、あと鈴木茂あたりがいいなあ、個人的な好みです。

 

 彼女は、お姉さん(岩崎宏美)のように歌謡曲のど真ん中をやるには声質が可憐ですし、最近のシティポップ・ブームで再評価されているアイドルの曲は、本人の歌をちょっと”置いてけぼり”にして、サウンドをやり過ぎたくらいのものが人気みたいで、彼女の曲は歌謡曲とシティポップの中間に位置してしまったのかもしれません。

 歌も曲もサウンドも、全部バランスよくちゃんとできている、そういうものがかえって再評価されにく苦なってしまう、そういうことはあるかも、と思うのですが、、。

 

 それから、正確な出典がわからないのではっきり言えないですが、ネットで、この「恋ほど素敵なショーはない」を桑田佳祐が絶賛していたという文章が見つかりました。それは十分ありうるな、と僕は思ってしまいます。

 

 

 それから、彼女の歌声は尾崎亜美の曲ともよく合っていたと思います。「ごめんねDarling」、「化粧なんて似合わない」(共にアレンジは鈴木茂)も当時シングル盤を買いました。

 YouTubeで彼女が尾崎亜美と一緒に歌っている映像(そよ風の誘惑も)を見つけたので、最後にそちらをどうぞ。

 

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あらためて聴き直してみても良い曲が多いですね。岩崎良美のシングル集。

 

 

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