まいにちポップス(My Niche Pops)

令和初日から毎日、1000日連続で1000曲を選曲しました(苦笑)。古今東西のポップ・ソングをエピソード、歌詞の和訳、マニアックなネタ、勝手な推理、などで紹介しています。みなさんの音楽鑑賞生活に少しでもお役に立てればうれしいです。みなさんからの情報や思い出話などコメントも絶賛募集中です!text by 堀克巳(VOZ Records)

「ROSÉCOLOR」中山美穂(1989)

 おはようございます。

 今日は中山美穂の「ROSÉCOLOR(ロゼカラー)」です。

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 1980年代中頃から1990年代前半にかけての中山美穂の楽曲は魅力的なものが多かったと記憶しています。

 筒美京平小室哲哉大村雅朗船山基紀といった人たちとのポップなユーロビート路線の後を継いだ角松敏生は最初の「CATCH ME」でこそユーロ・ビートでしたが、その次の「YOU'RE MY ONLY SHININ' STAR」ではメロウなR&Bへとチェンジしました。

 

 彼女やWinkの和製ユーロビートは、なぜか今のシティポップ・ブームの中心人物の一人、韓国のNight Tempoがリミックスして人気が再燃していますが、本来の意味でのシティポップと共鳴しているのは「YOU'RE MY ONLY SHININ' STAR」以降の曲じゃないかと僕は思っています。

 

 そして、僕が注目したいのが、角松の後を継いだCindy(シンディ)という女性シンガー・ソングライター

 彼女は作詞の康珍化と組んで1988年に「人魚姫 mermaid」、「Witches」と2枚のシングルを手がけます。

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 当時、大ブレイクしていたジャム&ルイスなどに代表される”打ち込みR&B”、”デジタル・ファンク”をとり入れています。

 「人魚姫 mermaid」のアレンジを手がけたのは、ROD ANTOON。

 彼は同じ1988年にリリースされた久保田利伸の傑作アルバム「Such A Funky Thang!」を久保田本人と共同でプロデュースし、全曲でキーボードとドラムの打ち込みをやっているキーパーソンです。

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 彼はキャメオやレイクサイドといったファンク・グループのアルバムにプレイヤーとして参加していた人で、どういう経緯で日本に来たのかは不明ですが、その後、シング・ライク・トーキングのプロデュースも手がけていますので、J-R&Bの礎を作った重要人物の一人であるのは間違いないでしょう。

 

 「Witches」のアレンジは鳥山雄司。日本屈指のスーパー・ギタリストの一人で、昨今はシティポップ・ブームで彼のカッティングが注目されています。アレンジャーとしても松田聖子シャ乱Qから最近では上白石萌音なども手がけていますが、僕は1980年代後半から90年代前半の日本の”打ち込みR&B”のパイオニアの一人としても注目しています。

  同じ1988年に彼がアレンジした曲で、僕がものすごく好きなものがありますのでぜひ聴いてみてください。

 

  MINNIE 「LIKE A RAINBOW」。シティポップ・ブームでちゃんと再評価されるべき曲だと僕は思います。

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 そして、「Witches」に続いて、作詞:康珍化、作曲:Cindy、編曲:鳥山雄司で作られたのがこの「ROSÉCOLOR」でした。

 中山美穂の人気の絶頂期で、化粧品のCMソングとはいえ、こんなにメロウな曲がオリコン1位になるとは、と僕は正直驚きました。

 

 作曲したCindyは本名を山本真祐美といって、シンガーとして1984年にシングル「Chance On Love」でデビュー。TVアニメ「うる星やつら」の主題歌でした。スティーヴィー・ワンダーに師事したというプロフィールが、当時の”売り文句”だったようです。

 それと同時にコーラスの仕事も始め、佐藤博鳥山雄司松任谷由実「Da・Di・Da」、アン・ルイス、秋元薫、崎谷健次郎安藤まさひろ櫻井哲夫といったアーティストの作品に参加しています。

 また、1986年から1989年まで山下達郎のコンサートツアーやレコーディングでもコーラスをつとめ、「On The Street Corner2」やライヴ・アルバム「JOY」のクレジットに彼女の名前を見つけることができます。

 

 1986年には初のソロ・アルバム「Love Life」をリリース。スティーヴィー・ワンダーがアレンジ、プロデュースで2曲参加し、そのうち1曲は曲も書いていました。

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 そして、少しブランクが空いて1990年にセカンド・アルバム『ANGEL TOUCH』、1991年にサード『Don't Be Afraid』をリリース、この2枚が昨今再評価されています。

「ANGEL TOUCH」は鳥山、ROD ANTOONに加え、”東北新幹線”の鳴海寛がアレンジャーをつとめ、山下達郎もコーラスとギターで参加しています。

 特に鳴海がアレンジした「私達を信じていて」はシティ・ポップ・ブームで特に海外から大人気の曲になっていて、YouTubeでは500万回近く再生されていたり、アニメの映像と合わせたFuture Funk的な動画もたくさん見受けられます。

 その反響もあって、日本でもシティポップ・コンピレーションの定番になりつつあります。

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 彼女の作曲やボーカルのセンスは、尾崎亜美から連なる、そして具島直子に繋がるようなピュアなメロウネスをすごく感じます。

 そして、当時の最新のR&Bサウンドに取り組んだパイオニアとしても貴重な存在でした。

 彼女は残念なことに2001年に癌で亡くなってしまったとのことですが、もっともっと再評価されるべき人だと僕は思っています。

 

 サード・アルバム『Don't Be Afraid』には、鳥山、鳴海に加え、当時のアーバンR&Bの歌姫ミキ・ハワードの作品で知られるLemel HumesやJim Calabreseがアレンジをつとめています。僕は当時、アニタ・ベイカー、レジーナ・ベルミキ・ハワードなど好んで聴いていたのですが『Don't Be Afraid』は知りませんでした。

 それが不覚に思えるほどの出来の作品で、その中には「ROSÉCOLOR」のセルフ・カバー(アレンジは鳴海)も入っていますので、最後にそれをぜひ聴いてください。

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