まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます

「ニューヨークは淋しい町(New York's a Lonely Town)」ザ・トレイド・ウィンズ(1965)

 おはようございます。

   今日はカリフォルニアからニューヨークに家族で引っ越してきた男の子の歌です。


New York's A Lonely Town Tradewinds 1965

 ”言っておくけど、そっちじゃサーフィンできないよ”

 友達は警告していたそうです。

 外に置いたサーフボードはすっかり雪に覆われてしまってます。

 近所でただ一人のサーファー・ボーイにとって、ニューヨークはとてもさみしい街だ、主人公は嘆くのです。

 歌っているのは、ザ・トレイド・ウィンズ。この曲を書いたピーター・アンダースとヴィニ・ポンシアによる覆面バンドです。

 アンダース&ポンシアはフィル・スペクターの元でヒット曲を出していたソング・ライター・チームです。


The Ronettes - (The Best Part Of) Breakin' Up (Official Audio)


The Ronettes - Do I Love You? (Official Audio)

   またトレジャーズという名義でフィルのプロデュースによるビートルズのカバーもやっています。


TREASURES- HOLD ME TIGHT.wmv

 ちなみに、この曲の出だしは大瀧詠一の「白い港」の元ネタになっています。

 そして、この「ニューヨークは淋しい町」もフィルの元でリリースしてもらうために書いた曲でしたが、却下されてしまいます。

 理由はわかりませんが、曲が良くなかったというより、タイミングが悪かったんじゃないかと僕は思います。1965年あたりから彼は制作のペースが大幅にダウンしているからです。クリスマス・アルバムがこけたり、アーティストとの人間関係の問題もいろいろ出てきていた時期です。明るいノリのいい曲はもう彼の耳を捉えなくなっていたのかもしれません。

 

 しかし、「スタンド・バイ・ミー」や「ハウンド・ドッグ」など数々の名曲を作ったジェリー・リーバー&マイク・ストーラーというプロデューサー/ソングライター・コンビが、彼らに注目してその曲を自分たちのレーベル(レッド・バード)から出さないか?と持ち掛けます。

 (ちなみに、フィル・スペクターは彼らの舎弟として曲作りやレコーディングを経験させてもらい、それをきっかけに成り上がっていったという経緯があります)

 アンダース&ポンシアはトレイド・ウィンズという名義にしてレコードを発売し、全米32位まであがるスマッシュ・ヒットになります。

 アレンジも彼らでやっていますが、フィル・スペクター風になっていますね。フィルのレコーディングに立ち会って学んだのでしょう。

  

  その後、この歌と逆の設定になっている「The Girl From Greenwich Villege」、そして「Summer Time Girl」というビーチ・ボーイズ調のシングルを出しますが、こけてしまったようです。なかなかいいんですけどね。

 


TRADE WINDS - THE GIRL FROM GREENWICH VILLAGE


THE TRADE WINDS- SUMMERTIME GIRL.wmv

 

 さて、僕が「ニューヨークは寂しい町」を初めて聴いたのは、山下達郎のラジオ番組でした。

 それから、10年くらいたって達郎氏本人がアルバムでこの曲をカバーしました。しかも、舞台はニューヨークから東京に変えて「TOKYO'S A LONLEY TOWN」というタイトルになっています。セントラル・パークは外苑パークに、サーフ・ボードを覆うのは雪じゃなく、スモッグに、、。

 カバーとして完璧な出来じゃないでしょうか。

 


Tatsuro Yamashita - TOKYO'S A LONELY TOWN

 

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