まいにちポップス(My Niche Pops)

令和元年初日から毎日更新中〜1日1ポップス。エピソード、歌詞の和訳、謎解き、マニアックな捜査、勝手な推理、などで紹介していきます。text by 堀克巳(VOZ Records)

「Loving is Easy (feat. ベニー・シングス) 」レックス・オレンジ・カウンティ(2017)

 おはようございます。

 今日は話題のレックス・オレンジ・カウンティ。新しい時代の”POP"とはこういうもんだよ、と気持ちよく、鮮やかに作りだしてくれる逸材です。

 

 彼の音楽を聴いて考えたことがありました。

 それはヒップホップをポピュラー・ミュージックとしてとらえる、ということです。

 少なくともアメリカではかれこれ30年くらい、ヒットチャート上で最も人気のあるジャンルなわけです。

  90年代にR&Bはヒップホップに吸収され、そのひとつのジャンルになったと言われています。70年代に作られたコンピューター会社が巨大になり老舗電機メーカーを吸収合併したみたいな感じでしょうか(?)。

 でも、考えてみるとヒップホップはR&Bだけじゃなくポップ・ミュージック全体を飲み込んだ、その言い方が大げさなら、全体に深く深く浸透しているのは間違いないと思います。

 例えば、たぶんいま世界で一番人気のあるシンガーソングライター、エド・シーランにもヒップホップの影響は強く感じるわけです。

 

 ヒップホップが音楽の”芯”まで食い込んでいるかどうか?

 それが昔のポップ・ミュージックと今のポップ・ミュージックの決定的な違いであり、今の洋楽と日本のポップスの宿命的な違いなんじゃないか、と思うわけです。

 

 レックス・オレンジ・カウンティを聴いて思うのは、ヒップホップを”ポピュラー・ミュージック”として当たり前のように聴いてきた世代の若者が、現代では”ニッチ”である古いポップスを掘り下げながら、それをコラージュするように、作っていった音楽だということです。

 彼の初期の作品「UNO」にすでにそれが見事に現れています。ヒップホップの手法を取り入れるとかいうことじゃなく、ヒップホップとポップスが最初から溶け合っている感じがします。こういうのは、もっと上の世代の人間にはできないですよね。


Uno

 

 もうひとつ感じるのは、現代のポップスは、パーソナルにカスタマイズされた感じをそのまま聴かせたほうがいいんじゃないか、ということです。

 昔は不特定多数にウケるように、ラジオやテレビで流れることを一番に想定して、さまざまな”プロ”の手で選別し加工して作品を作っていったわけです。

 でも、そういうプロの手でちゃんと普遍化したような曲は、スマホでサブスクで聴くと面白くなく聴こえてしまうんですよね。

 逆にパーソナルな感じが残っている曲のほうが、アーティストとのダイレクトにつながっているような錯覚が感じられるのです。

 作りこみ過ぎたサウンドより、わりとユルい感じのビートが多いのも、サブスク、イヤホンという聴き方と関係が大きいようにも思えます。

 

 そういえば、ユルい曲と言えば、このブログでもピックアップした「I Don't Care」を彼がカバーしている映像があります。すごくいいです。

popups.hatenablog.com


Rex Orange County - I Don't Care (Ed Sheeran & Justin Bieber cover) in the Live Lounge

 遅くなりましたが、一応、彼のプロフィールを。

 本名。アレキサンダー・オコナー。イギリス、ハンプシャー出身の21歳。オコナー(O'Connor)から「The OC」と先生が彼にあだ名をつけたらしく、The OCはカリフォルニアのオレンジ・カウンティの略称でもあって、同名の人気ドラマもあることから、その芸名を考えたそうです。 

  幼い頃、家のステレオからはクィーンやアバが流れ、父がディープ・パープルやジミ・ヘンドリックスを聴かせてくれて、独学でピアノでビリー・ジョエルを弾いてみたりしていたそうで、あと、グリーンデイやウィーザーといったバンドも好きだったそうです。

 そして、卒業生にアデルやエイミー・ワインハウスなどがいるパフォーミング・アーツの学校BRIT SCHOOLに入り、ドラムやソングライティングも始めたます。

 また、彼はやはりヒップホップもよく聴くそうで、特にトラックのコード感をよくチェックするとのこと。

 

 今回、ピックアップしたのはベニー・シングスとの共演。彼はオランダのアーティストで、日本でもポップス・マニアにはかなり人気の高い人です。レックスがずっと彼のファンだったことからコラボが実現し、べにーの住むアムステルダムで作業は行われたそうです。

 憧れのポップ・マエストロとの共同作業したせいか、彼のレパートリーの中では、最もオーソドックスなポップスに仕上がっています。

 


Rex Orange County - Loving is Easy (feat. Benny Sings) [Official Video]

 

Loving Is Easy [Explicit]

Loving Is Easy [Explicit]